元院長から何も言って来ない。 昔から優柔不断な人だったが、歳を取られた今はさらにその傾向が強くなったのか。 それと諦めが悪いと思わざるを得ない。産まれて80年、一回も思いが叶わなかったことはないのだろうから、今回も偽診を認めることなく乗り切れると思っているのかも知れない。 偽診のことは入院中に関しては譲ってみたのだが、案の定元院長は欲が出た。 この際、診察室で会って、「久しぶりに診たが今も統合失調症が残っている」とでも結論を持っていきたかったのだろうと察する。 そうであれば、譲ったことは撤回し、明らかに入院当初に病気を捏造した、と正解に戻しておきたい。 私は今更それほど大金が欲しいわけではない…