ランキング参加中【公式】2024年開設ブログ それは杞憂には終わらなかった。 その日は朝から雨が降っている陰鬱な日だった。 悠介は最寄り駅である荻窪から新宿まで中央線の快速に乗り、ぎゅうぎゅう詰めの車内で、足場を気にしながらあっちに揺られこっちに揺られ、浮草のように身を任せていたら何だか眠気を催してきた、まさにその時だった。 突然、右手首を掴まれた。いやガッチリと固められたように、全く右腕を動かせなくなっていた。身体も金縛りになったみたいに、何故か身動き一つできない。 -何だぁ、これは? 何が起こったんだぁ? そう思った途端、女性の鋭い大声が車内に響き渡った。 「痴漢です!痴漢で-す!」 そう…