わたしたちは、毎瞬、毎瞬、絶えず頭の中で何かを考え続けています。フランスの哲学者パスカルは「人間は考える葦である」と語りました。その言葉のとおり、思考することは人間の本質的な性(さが)であり、わたしたちはその働きから逃れることができません。 けれども、考えているとき、わたしたちの意識は一体どこへ向かっているのでしょうか? その多くは、思考の中にある「過去」や「未来」に向かっています。わたしたちは、かつての失敗や悲しみを何度も思い返し、「二度と同じことが起きないように」と未来を思い描きます。過去が思い通りにならなかったからこそ、その反動として、理想の未来を想像し、そこに自分を投影してしまうのです…