群馬県と長野県の県境にある碓氷峠は、古来より重要な交通路であるとともに、そこに立ちはだかる難所として名高かった。峠の西側(長野側)は、有名な高原避暑地の軽井沢だが、ここから峠の上までの標高差は20m程とほとんどない。しかし、東側は、峠下の横川との標高差が500m以上。しかも距離は10km程でこの標高差だから、交通路としては急峻極まる。上るも下るも超難儀である。 古代には、ここを東山道が通過していた。大和(現奈良県)から美濃(現岐阜県)や信濃(現長野県)といった山国を抜けて、碓氷峠を通過、上野(現群馬県)、下野(現栃木県)から陸奥(現東北地方)へと通じていた。 江戸期になると、中山道と名前を変え…