1924年6月8日、ジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィンの姿が、エベレストの雲の切れ間に消えた。二人が本当に世界最高峰の頂上を踏んでいたのかどうかは、今もはっきりしないままだ。人類が公式に頂上へ立ったとされる1953年より29年も前の話で、もし本当だったとしたら、登山の歴史そのものが書き換わることになる。 その謎に、思いがけない場所から手が届きかける。舞台はネパールのカトマンドゥ。土産物や古道具が積まれた店先で、カメラマンの深町誠は一台の年代物のカメラに目を留める。値札もろくについていない、ただの中古品だ。それなのに、深町の中で何かが引っかかって離れない。 調べていくと、そのカメラはマ…