1965年、東京都生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。同大学院を経て、1995年、ケンブリッジ大学古典学部にてPh.D.取得。現在、慶應義塾大学文学部教授。著作に『ソフイストと哲学者の間−プラトン『ソフイスト』を読む一』(名古屋大学出版会)、『プラトンー哲学者とは何か―』(NHK出版)、『哲学者の誕生−ソクラテスをめぐる人々−』(ちくま新書)、『ソフィストとは誰か?』(人文書院)などがある。
週末、仲間と勇気をもって、お互いの領域に踏み込む対話があった。 仲間の声を聴き、それはヒリヒリする危うさがあり、当事者同士は目を合わせて話が できない緊迫感があった。心にあるが語られなかった言葉が、表に出された瞬間だった。 その声を出していただいた方に、その勇気に感謝だし、その想いをしかと受け止め大切に したいと想った。 哲学者の納富信留さんの「対話の技法」に、対話する勇気という箇所がある。紹介する。 『対話には危険を伴う、そしてそれに向かう態度、それを乗り越える覚悟や努力が必要に なる。その勇気には4つの条件がある。第一に、直面し対抗する相手がいる。第二に闇雲 にではなく、何かに向けて勇気を…
納富信留『プラトンとの哲学』(岩波新書)を読んだ。プラトンの著作や当時の状況を通した著者とプラトンとの対話、そして著者自身の内的対話という独特の形式で書かれている。各章、『ソクラテスの弁明』、『饗宴』、『ポリテイア』などの著作をテーマにしてその解説を通じ、著者と共に哲学を実践するというもの。哲学は学問である。しかし単に知識を蓄積するためのものではない。哲学という形而上形而下を問わず対象をラディカルに考えること、つまり哲学を生きることを示してくれる一冊。引っ掛かりのある書名は、同レーベルに『プラトンの哲学』という著書があるが、それを被らないようにとの理由もあるだろうが。 朝から在住自治体内の図書…
最近また間食が増えたせいか、お腹周りが重い。冬を前にして栄養を蓄える熊ではないのだから、色々節制しなければいけない。まあ、食欲があるのは健康のバロメイターなのだろうけれど。 仕事は週明けのせいか多少は忙しかった。特に商談の予定はないが、いざそれが入った時に対応できるよう、準備しているだけで午前中が終わってしまった気がする。もうすぐ師走だが自発的に忙しくすることもできるだろうし、また大して積極的に動こうとはせずほっかむりをしたままやり過ごすこともできそうな気がする。消極的対応にしても積極的対応にしても、やることが否応なく降りかかってくるのが仕事だ。まさに生まれ出る仕事……。 納富信留『哲学の誕生…
読了。技法というタイトルがついているが、技法論というよりは対話の基本構造についてという感じ。対話実践の入り口として使いやすいかもです。 対話の技法 作者:納富信留 笠間書院 Amazon こちらも読了。著者はアーティストらしいが哲学書の使い方がうまく、ドゥルーズのバートルビー論としては一番実践的なんではないかと感心しました。過激なアクティビズムでもなく、過度な自然回帰主義でもなく、妙にバランス感がよいのが気に食わない人もいそうですが、そのぶん身近に読めます。 何もしない 作者:ジェニー オデル 早川書房 Amazon あとは阪大・人骨問題の真相を究明する会による「阪大によるアイヌ民族人骨の略奪…
読書ノート、哲学科教授の納富信留著「対話の技術」より抜粋 言葉とはどういうものか、私たち人間はなぜ言葉を発するのかと言う問題です。 対話と言う問題を哲学から見るとどうなるのでしょうか。 3つのポイントがあります。 言葉は伝達の道具ではなく思考そのものだと言うこと、言葉は現実を形作ること、そして、言葉は相手に発することで成り立つことです。 私たちは通常、心の中にある考えを、言葉と言う手段で相手に伝えると思っています。 しかし、その見方は言葉の本性を捉え損なっています。まず、考えがあってそれを言葉に して運ぶのではなく、私たちはそもそも言葉で考えているのです。 言葉はたんに何かを写し取ったり、記述…
フォンターネ 山小屋の生活 (新潮クレスト・ブックス) 作者:パオロ・コニェッティ 新潮社 Amazon ツイッターでこの本面白そう、読みたい、といいねしても、ツイッターはどんどん流れていってしまうので、ここらでまとめてリスト化して日記に残しておくことにしました。 来年はもっと本を量読む年にしたいし、とりあえずデータ上に積読を作っていきたい。 『フォンターネ 山小屋の生活』 友達がよかったと言っていて、田舎暮らしを実際にするのはもうこりごりだけど、都会で田舎的思想暮らしをしたい自分は是非とも読んでみたい一冊。 『「社会正義」はいつも正しい』 ヘレン・プラックローズ、ジェームズ・リンゼイ、山形浩…
20世紀のロシアにおける哲学や思想に一体どんなものがあるのか、概略をつかむのにちょうどよい入門書ないしハンドブック かなり広範に扱っているが、ページ数は手頃な長さにおさまっている。その点、個々の思想について説明が少なくなってしまっているところはあるものの、「そもそも20世紀ロシア思想全然分からん」という身としては「こんなのがあるのか、こんなのもあるのか」と見ていくのには程よい分量であった。また、筆者自身、深彫りするというよりは、様々な思想があったことの紹介を目指しているようである。 20世紀のロシアといえば、やはりソ連の存在感が圧倒的だが、本書では、革命前から革命初期までにあった、宗教哲学、ロ…
プラトンとの哲学 対話篇をよむ プラトンとの哲学――対話篇をよむ (岩波新書) 作者:納富 信留 岩波書店 Amazon
「ソクラテスと3人の人物の対話を通して、弁論術に潜む欺瞞が明るみに出される。「言葉で誰かを信じ込ませることは正義か?」という現代に通じる問題も」BRUTUSに「ギリシャ哲学って難しそう?入門におすすめのプラトン3冊」掲載。納富信留さんが『ゴルギアス』をご紹介。☞ https://t.co/01RY344xG5 https://t.co/sh5LDJLk7f pic.twitter.com/w0MSB1b3Rj— 岩波書店 (@Iwanamishoten) 2022年9月7日 令和4年司法試験論文憲法の出題趣旨だが、設問1からフルスケール(平成19年新司ヒアリング1頁/例えば典型的な自由権規制の…
自分は人生において報われたと思って、もうあとは他者のために生きようと思っても、残業が増えたりブラック環境になったりすると容易に砕け散る。閑暇こそ大切だと思う。健康と閑暇のために労働していると言ってよいのに逆の状態になるとは。いや閑暇のために労働してるなんて思ってなかったけど、閑暇がないと労働してる意味がないと感じるから閑暇は大切だと思う。全然旦那と晩ごはん食べれないし、今日何食べた?って聞いてもしっかりわかるまえに眠くて仕方ない。進歩がない。 下っ端は出勤するべきという人がいるけど、長時間労働するべきという人もいるけど、それは芸術家になりたいなら作品をいっぱい見て勉強しろと言ってるような感じ。…
スノッブ・・・「紳士・教養人を気どる俗物。えせ紳士。スノブ」(『デジタル大辞泉』より) 精神現象学 作者:G.W.F. ヘーゲル 作品社 Amazon みなさん本を読んでいますか? 読書家の皆さんはきっと月に10冊、ハードカバーのごっつい本を大量に乱読しているかもしれませんが、私は違います。 私は本を買っても積んでばかり。さらには集中力がないのでを読んでは投げ、読んでは投げという生活を続けているのです。 本のチョイスにも問題があります。 SDGs的意識高い系の私はエコロジーを第一に考えているので、100年後に読まれなくなりそうな本を倫理的に買うことができないのです。 沈黙の春(新潮文庫) 作者…
詭弁、誤謬一覧 【注意】 ・以下は、wikipediaの記事「詭弁」を参考に平易に言い換え、分類したうえで例文と考えられる反論を加筆したものである。例文作成にあたり本文書作成者による誤解などで不適切な例文が生まれた可能性があるため注意。学術的な正確性や網羅性を期したものではなく、砕けた表現についても目を瞑っていただけたら幸いである。尚、一部の項目では発言者に差別主義者や陰謀論者を想定したため例文に差別的な表現が含まれている。また、例文やその反対は必ずしも記事作者の意見を表すものではない。 ・譲渡、転載、改変などは制限しないが上記の点に留意し、あくまで参考にとどめること。あくまで、あくまで参考に…
世界哲学史6 近代I 啓蒙と人間感情論 世界哲学史6 ――近代I 啓蒙と人間感情論 (ちくま新書) 作者:伊藤 邦武,山内 志朗,中島 隆博,納富 信留 筑摩書房 Amazon 南風原カーリングストーンズ(1) なんとものんびりした導入である。 南風原カーリングストーンズ(1) (ビッグコミックス) 作者:なかいま強 小学館 Amazon
マルクス・トゥッリウス・キケロ 哲学者共和政ローマ紀元前43年 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 マルクス・トゥッリウス・キケロMarcus Tullius Cicero(M. Tullius M. f. M. n. Cicero) マルクス・トゥッリウス・キケロ胸像 誕生 紀元前106年1月3日アルピヌム 死没 紀元前43年12月7日(満63歳没)フォルミア 職業 政治家、弁護士、哲学者他 言語 古典ラテン語 国籍 共和政ローマ 市民権 ローマ市民権 代表作 『国家論』『法律』『義務について』他 政務官履歴クァエストル(シキリア、紀元前75年)アエディリス・プレ…
納富信留「プラトン」を読む2 正しいとか、美しいとか、善いとか、現実とは違う次元で離れて存在する。それがプラトンの言うイデア。著者はそれは理想主義や彼岸主義とかではなく、プラトン哲学の現実そのものを見据える破壊力だと言う。イデアについては、有名な洞窟に閉じ込められた囚人の例え話が出てくるのだが、ボク的に言い換えれば、暗室でも光を求めて育つもやしのようにイデアを感じていたい。 ソクラテスもプラトンも教育に情熱を注いだ。今日、知識技能偏重のマニュアル化された教育方法を是正しようとして、主体的に学ぶ力が重視されているが、そもそも何が人の心を揺さぶり、学びへと向かわせるのか? それはソクラテスの昔から…