むかし武道をやっていたころ「統一体」という言葉をよく耳にしていたのだが、今になって考えるとわかったようなわからないような観念的な言葉である。 大学の頃に通っていた空手道の先生も「統一体」という言葉を使っていたし、たしか合気道の本にも統一体という言葉が出てきた。当時にしてそれらが全く違うものを差しているように思えたことを覚えている。 確かに体が統一されれば理想的と考えられるが、具体的に「何が、どう」ということはこれまで深く考えてはこなかったのである。 特に「統一」の中に「こころ」とか「精神」といった形而上の概念が含まれると、途端に語意がぼやけてくる。 統一体はこころも澄んでいる、精神も統一されて…