まぼろしの女(織守きょうや/文藝春秋) 作者は、2か月ほど前に紹介した『有栖川有栖に捧げる七つの謎』に参加した作家のひとり。ホラー小説を書く人らしいので、読むことはないと思っていたが、捕物帖を書いているのを見つけて、読んでみた。 捕物帖は基本的に短編連作で気軽に読めるから好物のひとつだが、面白さの要因は作者によってさまざま。人情話の要素がまじるのは当然だが、それしかないような作品は苦手。 で、この作品の特徴は、本格推理を意識して、謎を論理的に解き明かすところ。5編が載せられていて、「三つの早桶」は、どこかで聞いたようなタイトルだと思ったら、本の題名になっている「まぼろしの女」こそ、ひらがなを使…