「正露丸のラッパ」 「正露丸のラッパ」田中聡 正露丸はもともと、日露戦争に出征する兵士たちのために陸軍が開発した薬だったという。 それまでクレオソートはヨーロッパからの輸入に頼っていたが、これを国産化し、さらに生薬を数種加えることで、新たな薬として完成された。 当時の戦争では、戦死者よりも病死者のほうがずっと多かったくらいで、安価で有効な薬を国産化することは極めて重要な課題だったのである。 こうして生まれた薬は「征露丸」と名付けられた。文字通り、ロシア征伐のための薬という意味で、士気高揚のためのネーミングだった─── 本書は、薬のパッケージやネーミングに関する考察が展開される。 気軽に、さらっ…