羽田新ルート

2025年5月7日、 国交省は「羽田空港周辺地域における地価動向分析調査の結果」を公表した。調査結果の結論は、「新飛行経路運用に伴う不動産価格への影響は確認できませんでした」というもの。 調査結果は国交省のホームページに「報告書」（A4判32枚）として公開されている。 今回の調査報告書は、精緻な分析を装いながらも、その手法と前提に疑問が残る。評価対象の範囲設定、サンプル数、飛行高度、図表の読み解き方──どれをとっても、「影響なし」と結論づけるには違和感がある。 なぜそう感じたのか。筆者が抱いた4つの違和感について、国交省の担当者に電話で直接ぶつけてみた。 質問日：2025年5月12日（月） 相…

2024年度の「羽田空港機能強化に係る情報提供・意見把握検討等業務」は、博報堂が2.5億円で受注した。過去8年で7回目の受注となるが、23年度だけは東北新社がその椅子を奪っている（次表）。 背景にはあの事件がある。 2020年東京五輪テスト大会をめぐる独占禁止法違反疑惑によって23年2月28日、東京地検特捜部は博報堂など法人6社を独占禁止法違反の罪で起訴。その結果、博報堂はこの業務の入札日（ 23年3月27日）を含む期間、国交省から入札への指名停止措置（23年3月6日～12月5日）を食らっていためである。 「解明！24年度「羽田空港機能強化に係る情報提供・意見把握検討等業務」より 博報堂が国交…

2025年5月7日、 国交省は「羽田空港周辺地域における地価動向分析調査の結果」を公表した。 調査の結論はこうだ。「新飛行経路運用に伴う不動産価格への影響は確認できませんでした」。あたかも問題なし、と言わんばかりである。だが、その調査の中身を見ていくと、いくつかの違和感が浮かび上がってくる。 果たしてその“影響は確認できませんでした”は、信頼に足る判断なのだろうか。 もくじ きっかけは情報開示請求!? 前回（2018年）の調査結果を振り返る 今回の調査結果に感じた違和感 なぜ影響範囲を「1km」ではなく「5km」に設定したのか？ A・C滑走路着陸ルート：箱ひげ図の評価がなぜ記されていないのか？…

20年3月29日から羽田新ルートの運用が始まった。 東京都は羽田新ルート周辺の騒音測定局（5か所）で測定した騒音モニタリング結果（速報値）を数日後に公表している（24年度からは、1週間に1回程度の更新頻度に変わった）。 ※投稿20年4月21日（更新25年5月10日） もくじ 東京都の騒音測定局の位置 南風運用時、最大騒音レベルの最大値（3か所）の推移 北風運用時、最大騒音レベルの最大値（1か所）の推移 【参考】小松川第二中（～21年3月31日） 小松川図書館（21年6月2日～） 【追記】24年度からデータ更新、概ね1週間に1回程度に変更 【参考1】「北・南風運用」と「南・北風運用」の表記の違い…

南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が開始されたのは20年4月3日。 品川区は毎月末、羽田新ルート周辺に設置した測定局2か所（立会小学校・台場小学校）で測定した騒音データを3か月後に公表している。 ※投稿21年7月12日（更新25年5月2日：25年1月分までのデータを反映） もくじ 品川区の騒音測定局の位置 最大騒音レベルの最大値・騒音発生回数の推移 立会小学校 台場小学校 騒音環境の比較（立会小 vs 台場小） 品川区の騒音測定局の位置 品川区が羽田新ルート周辺で騒音測定している測定局は、次の2か所（次図）。 立会小学校（A滑走路到着ルート直下から約200ｍ） 台場小学校（C…

2025年4月23日（水）深夜3時半頃、ユナイテッド航空3921便ボーイング777貨物機（乗員4名）が、羽田新ルート（悪天時運用）を使用して緊急着陸した。当時の状況を以下にまとめる。 ※投稿25年4月24日（追記25年5月1日） もくじ 羽田空港、未明の緊急着陸（産経） 国交省、トラブル発生当日に情報を公表 深夜3時半頃、羽田新ルート（悪天時運用）を使用し緊急着陸 飛んでなかったことに!? 【追記1】深夜はメンテのためA・D滑走路しか使えなかったのだが 【追記2】なぜ、深夜緊急着陸機は航跡動画と航路図に表示されていないのか 羽田空港、未明の緊急着陸（産経） 産経新聞の報道によると、太平洋上空を…

第217回 国会 衆議院「安全保障委員会」において4月11日、松尾明弘 衆議院議員（立憲）により「米軍ヘリ飛行と羽田新ルート問題について」の質疑があった。 ネット中継録画をもとに、テキスト化（約4千文字）しておいた。 ※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。 質疑応答のポイント 松尾明弘 衆議院議員（立憲） 松尾：在日米軍のヘリコプターの離発着状況、把握？ 地方協力局長：逐一詳細を把握しているわけではございません 松尾：（米軍ヘリと羽田着陸便との交差）リスクについて？ 航空局交通管制部長：十分安全間隔を確保するということにしている 松尾：航空法に…