第1章 失踪 「おはようございます、宮江さん。今日も暑くなりそうですね」 そう言って、郵便配達員が爽やかに去っていった。今日もまた、夫の宮江恭一は仕事に出かけた。私は、いつものように、家事に取りかかろうとキッチンへ向かった。 そこへ、突然のインターホン。誰だろうとモニターを確認すると、そこには見知らぬ男性が映っていた。 「はい、どなたですか?」 男性は、落ち着いた口調でこう答えた。 「初めまして、栗原と申します。実は、宮江さんのご主人に少しお話を伺いたくて参りました」 栗原と名乗るその男性は、探偵のような風貌をしていた。私は、何か嫌な予感がしたが、話だけでも聞いてみようと、彼を家の中に招き入れ…