モーパッサンの中編2つが収録されている。『脂肪の塊』と『テリエ館』 有名な作品だが、初めて読んだ。『脂肪の塊』についてのみ述べる。いや、『テリエ館』も面白いのだが、『脂肪の塊』の方が印象が強いので。 「脂肪の塊」というのは、主人公である娼婦の綽名。フランス語で「ブール・ド・スイフ」というらしい。ルッキズム云々が言われている今の時代に於いて、かなり失礼な話ではあるが、それをそのまま日本語に訳して「脂肪の塊」とタイトルにするセンスは、なかなか良いのではないか。内容を知らずにタイトルだけ目にすると、どういう話なのだろうと興味を抱かせる。秀逸なタイトルだと思う。 「フランス文学」「古典」「娼婦」「戦争…