近現代の文学は、作者がいて作品がある、というのが一般的である。 しかし、今回紹介する作品は、それとは異なる意味がある。 石牟礼道子氏が著した作品、 『苦海浄土』 は、水俣病の患者たちが本当の語り手だと、石牟礼氏は述べる。 水俣病の患者たちは、言葉を奪われて書くことができない。自分はその秘められた言葉の通路になっただけだと、石牟礼氏は述べられていた。 その『苦海浄土』を深く理解するための一助になりえるのが、NHKブックス100分de名著の 『悲しみのなかの真実 石牟礼道子 苦海浄土』 である。 NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土―悲しみのなかの真実 (NHK「100分 de…