320『菊と刀』ルース・ベネディクト(現代教養文庫1997年第43刷)■ これほど有名な日本人論、日本の文化論が他にあるだろうか。読んだことがなくてもこの書名とベネディクトという著者の名前は知っているという人は少なくないだろう。戦後まもなく出版された『菊と刀』はずっと読み継がれてきている。巻末に収録されている「改版に寄せて」で訳者は次のように指摘している。**本書は、日本人の外面的な行動の描写と、それらの行動の背後にある日本人の基本的な考え方――日本文化のパターン――の分析とから成り立っており、そして外面的な生活の変化にもかかわらず、ある民族の文化のパターンはなかなか変化するものではない、とい…