相変わらず日本の近代文学をいろいろ読んでいます。最近は私小説をいくつか読んだので感想をば。なぜ私小説かというと、私も書いてみたいと思っていて、その参考にと。 田山花袋「少女病」(1907) 田山花袋といえば「蒲団」が有名だが、その少し前に書いたのがこれ。「蒲団」と同じく、自身をモデルにした主人公の情けない姿が描かれる。 通勤中に見かけた少女を観察したり匂いを嗅いだりするというヤバい話である。しかも最後は電車に轢かれて死んでしまう。主人公の容姿の描写もかなり辛辣で、これでもかというほど自分を滑稽なものとして描いている。 特に印象的だったのは、主人公について同僚が陰口を言っているシーン。あの人は若…