田山花袋(1872~1930)とは、日本の自然主義派の小説家であり、紀行文も優れていたという。その田山には、『一日の行楽』(博文館、大正7年)という一冊が知られ、文字通り、一日で各地を歩くのに適した、名所・景勝などを記した本である。同著の中に、能登から鶴見に移転してきた大本山總持寺について書かれているので、採り上げてみたい。 鶴見の總持寺 鶴見の停車場は、昔は素通りをされるので有名なほど小さなさびしい駅であった。それが、曹洞宗の本山總持寺が能登から此処に移転して来てからは、立派な大きな昇降の客の多い停車場となった。 總持寺は今はまだ伽藍がすつかり完成しないけれど、その規模の大きいのは、一部だけ…