女弟子が去ったあと、その蒲団をクンクンする話。
作者は、田山花袋。元祖ネタ小説(=自然主義小説)。
こんなのを小説にしてもいいのか、と明治の小説家はみんな驚いた。
田山花袋の作。初出:明治40年9月「新小説」
人に秘し隠しておくべき恥ずかしいこと、醜いことをありのままに、自分自身を主人公として書くという執筆態度が、発表当時評判になった作品である。いくらかの虚構はあるにしても、主人公は花袋自身であり、女もその恋人も実在の人物を、そのまま描いたとされ、わが国の自然主義文学の代表作と見なされている。