明石に来ていた人たちが昔の面影とは違ったはなやかな姿で 人々の中に混じっているのが船から見られた。 若い顕官たち、殿上役人が競うように凝った姿をして、 馬や鞍《くら》にまで華奢《かしゃ》を尽くしている一行は、 田舎《いなか》の見物人の目を楽しませた。 源氏の乗った車が来た時、 明石の君はきまり悪さに恋しい人をのぞくことができなかった。 河原《かわら》の左大臣の例で 童形《どうぎょう》の儀仗《ぎじょう》の人を 源氏は賜わっているのである。 それらは美しく装うていて、 髪は分けて二つの輪のみずらを紫のぼかしの元結いでくくった十人は、 背たけもそろった美しい子供である。 近年はあまり許される者のない…