わが宿の 花しなべての 色ならば 何かはさらに 君を待たまし 藤花の宴に 源氏を招待した右大臣が源氏に送った歌🪻 〜わたしの邸の藤の花が世間一般の色をしているのならば どうしてあなたをお待ち致しましょうか (格別に美しいからこそ、あなたをお招きしたのですよ) 【第8帖 花宴 はなのえん】 有明《ありあけ》の君は 短い夢のようなあの夜を心に思いながら、 悩ましく日を送っていた。 東宮の後宮へこの四月ごろはいることに 親たちが決めているのが 苦悶の原因である。 源氏もまったく何人《なにびと》であるかの 見分けがつかなかったわけではなかったが、 右大臣家の何女であるかがわからないことであったし、 自…