「長生きがしたい」――最近、事あるごとに口を衝いて出る言葉に、自分自身がいちばん驚いている。 初っ端から暗い話で恐縮なのだが、私は小さい頃から人生に対する希望やら欲といったものがあまりなかったし、数年前からはうつ病を発症し、率直に言ってしまうと、何度か死を考えたこともある。 そんな私が、今では、生きたい、生きなければならない、と強く思うようになった。こんなことを思うようになったのは、ひとえに、この袴田事件の再審公判に関わらせていただいたおかげである。 初公判からの短い間ではあるが、袴田事件再審公判を追うなかで、私はあまりにも多くのものを目にした。決して許すことのできない、あまりにも重大な司法の…