あいにく、正月三日の空は、薄曇りだった。 そして折々は映《さ》す日光が、 北山の遠い雪を、ふと瞼にまばゆがらせた。 ——天皇の鸞輿《らんよ》は、もう今しがた、 二条の里内裏《さとだいり》をお立ち出でと、 沿道ではつたえていた。 行幸《ぎょうこう》や御幸《ごこう》を仰ぐのは めずらしくない都の男女だったが、 朝覲《ちょうきん》の行幸《みゆき》と知って 「……今日ばかりは」 の、ひしめきらしい。 少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋🪷も ぜひご覧ください🌟https://syounagon.jimdosite.com 🪷聴く古典文学 少納言チャンネルは、聴く古典文学動画。チャンネル登…