訓読 >>> 東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)立つ見えてかへり見すれば月 傾(かたぶ)きぬ 要旨 >>> 東の野にあけぼのの茜色が見え始め、振り返ってみると、もう月が傾きかけている。 鑑賞 >>> 柿本人麻呂の作で、亡くなった草壁皇子(くさかべのみこ)の追憶と、その息子の軽皇子(かるのみこ)の前途を賛美する長歌の後に添えられた反歌5首のうちの1首です。とても有名な歌ですね。 草壁皇子は、皇位継承者として天武・持統天皇に期待されながら、689年、28歳の若さで他界しました。後に文武天皇となる軽皇子はこの時まだ10歳。持統天皇が即位したのは、軽皇子に皇位を継がせるまでの中継ぎ的なものでした。 歌…