訓読 >>> 190真木柱(まきばしら)太き心はありしかどこの我(わ)が心 鎮(しづ)めかねつも 191毛ころもを時かたまけて出(い)でましし宇陀(うだ)の大野(おほの)は思ほえむかも 192朝日(あさひ)照る佐田(さだ)の岡辺(をかへ)に鳴く鳥の夜哭(よな)きかへらふこの年ころを 193畑子(はたこ)らが夜昼(よるひる)といはず行く道を我(わ)れはことごと宮道(みやぢ)にぞする 要旨 >>> 〈190〉真木柱のように太く動じない心でいたつもりだが、皇子の御薨去によって打ち砕かれ、今は平静でいられない。 〈191〉狩りの季節が来るたびにお出ましになった宇陀の大野は、これからもしきりに思い出され…