過敏性腸症候群(IBS) は、慢性的に下痢や便秘を繰り返し、同時に腹痛や腹満などを併発して日常生活に悪影響を及ぼす疾患です。漢方的には、主症状により対応する方剤が異なってきます。腹痛が主の例では、桂枝加芍薬湯が代表的ですが、ほかにも大建中湯、小建中湯、四逆散、柴胡桂枝湯や桂芍六君子湯があげられます。下痢を主とする例では、半夏瀉心湯、人参湯、啓脾湯、補中益気湯や真武湯が、便秘が主となる例では、桂枝加芍薬大黄湯や桃核承気湯、麻子仁丸等が使われます。本疾患の原因として、腸内細菌叢の異常が指摘されています。漢方方剤のうち、大建中湯、小建中湯にはプレバイオティクスとして、膠飴10gが含有されており、腸の…