今はフィルムセンターとなっている、京橋の日本近代美術館で、新進気鋭の写真家たちを特集した「現代写真の10人」展があった。一九六六年の七月から八月へかけてだ。高校生にとっては、知らぬ名前ばかりが並んでいた。出展者最年少の篠山紀信という人が二十五歳と聴いて、あぁ、だんだん自分らと近くなってきたなぁ、と感じた。 今プログラムを眺めると、その顔触れにため息が出る。安斎吉三郎、佐藤 明、篠山紀信、高梨 豊、東松照明、富山治夫、中村由信、奈良原一髙、細江英公、横須賀功光の十人だ。およそ三十歳前後で、出るべき人は出てきていたのだなあ、といった想いがする。 写真についても写真家についても、ひとつも予備知識がな…