賀田金三郎は賀田組の社長であり、台湾や日本の数々の会社の株主、取締役、監査役を務める人物であったが、決して威張ることはなく、賀田組の若手従業員達とも時間の許す限り、色々な話をするのが好きな人物であった。話す内容は、自分の成功話はせず、失敗談ばかりを話したり、恩義のある人達の話をしていた。 今日も仕事を終えた賀田組若手従業員達が賀田の話を聞きたく、事務所2階に集まっていた。 そこへ賀田がやって来た。「おー、今日も沢山集まっているなあ。」と少し驚いた表情で彼らを見渡した。そこには常連である菊地や青木の顔もあった。すると青木が「社長、今日は後藤長官の阿片対策についてお話してくださるのですよね。」と言…