朝の地下鉄は人がひしめき合う。狭いなりに一定の間隔を保って二列に並ぶ群れ。眠そうな目をこする背広のサラリーマン、ずっと携帯をいじる人、友だちとテストの範囲を確認する学生、キャリーバッグを引いて旅に行こうとする人。その列を通り過ぎて、比較的人が少ない場所に並ぶ。頭上の電光掲示板には「電車は2つ前の駅を出発しました」の文字が流れる。ピンポンと軽やかな音が流れて、また違う文字が流れていく。これをちゃんと確認している人は一体どれだけいるのだろう。対向側も似たような感じで人々が電車を待っていた。あちらの方が一分早く到着する。 まもなく一番ホームに〜という案内が響く。車両が近づく轟音が大きくなって、車体が…