橘の 香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を 訪ねてぞとふ 花散里の姉君💐麗景殿 れいげいでんの女御に 語りかける源氏の君🌸 〜昔を思い出させる橘の香を 懐かしく思って ほととぎすが花の散ったこのお邸にやって来ました 【第11帖 花散里 はなちるさと】 「橘の 香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を 訪ねてぞとふ」 昔の御代《みよ》が恋しくてならないような時には どこよりもこちらへ来るのがよいと今わかりました。 非常に慰められることも、 また悲しくなることもあります。 時代に順応しようとする人ばかりですから、 昔のことを言うのに 話し相手がだんだん少なくなってまいります。 しかしあなたは私以上…