🌸【源氏物語261 第11帖 花散里1】麗景殿の女御の妹君の花散里(はなちるさと)と古くからの恋仲であった源氏。ふと尋ねてみようと思った。 〜みずから求めてしている恋愛の苦は 昔もこのごろも変わらない源氏であるが、 ほかから受ける忍びがたい圧迫が近ごろになって ますます加わるばかりであったから、 心細くて、 人間の生活というものからのがれたい欲求も起こるが、 さてそうもならない絆《ほだし》は幾つもあった。 麗景殿《れいげいでん》の女御《にょご》といわれた方は 皇子女もなくて、 院がお崩《かく》れになって以後は まったくたよりない身の上になっているのであるが、 源氏の君の好意で生活はしていた。 …