元禄8年1月16日。文左衛門はこの日朝から初めて本丸の御番に出る。昨日の番は都筑助六・平岩五右衛門・藤江理太夫。相番は松井勉右衛門・大岡又右衛門。それぞれ弁当を持ってきたが、煮物をたくさん持ってきて、相番及び御番の足軽7人に酒と共に食わせる。午刻(午後11時)前、若林元右衛門・今井茂右衛門が見廻りにやって来る。申の刻(午後3時)前に御上洛の御座敷を見物する。洞房・廻廊・書院・台所・深殿・曲屋・幽間・大家、色とりどりの光に照らされる。巧みな彫りは魯般の技を極め、公輸の斧によるもののようであった。厳かな美しさをここでいちいち述べることはせず。そのほか御天守の高大さは目も心も楽しませる。巳刻(午前9…