「私ね、仕事に戻ってからはもう注射針が打てないのよ。だから人間ドックの担当にしてもらったの。」 「大丈夫よ、すぐに感を取り戻すわよ。」 「そうかしら?でも震えて、怖いのよ」 そんな話が笑いとともに三人の女性連れから聞こえてきた。彼女たちは病院の看護師仲間なのだろうか。自分が勤務する施設への見学者だった。今日は休日か。楽しんでくれると嬉しい。僕は何かを言おうと思ったが、やめた。 ガンの治療が終わってからは三年ほど毎月採血をしていた。可溶性インターロイキン2という悪性リンパ腫のマーカーを確認するためだった。大きな動きがありしきい値を超えたなら再発の可能性が高い。毎月ハラハラドキドキしていた。 しか…