(*ここからは、noteの方にも書いている記事になります) 2018年の春、私はロンドン大学SOASの図書館の狭い棚の間で座り込んでいた。とある英文小説に出会い、これは、日本で映画にしなければならない、と思った。よくそこまで飛躍できたと思うけれど、その思いは、四年以上経ったいまでも驚くほど変わっていない。 タイトルは、’The Gift of Rain’『雨の贈りもの』としたいところだが、この本における ’gift’ は、そう簡単には訳せないのだ。 マレーシア人作家 Tan Twan Eng氏のデビュー作、’The Gift of Rain’は、2007年にイギリスで刊行された。太平洋戦争時の…