インターネット上で流通している暗号通貨のひとつ。仮想通貨。通貨の単位はBTC。
紙幣・硬貨は発行されていないため、「仮想通貨」や「デジタル通貨」などとも呼ばれる。
流通を管理する事業主体や国家もなく、中央銀行のようなものも存在しない。米ドルや円など現実通貨との交換は、ウェブ上の「取引所」を通して行われるが、決済は金融機関を通さないため、諸経費や手数料などが発生しない。そのため、小口の売買やP2P(個人同士)の取り引き、とりわけ国境を越えた送金・決済に利用されている。
2009年5月、サトシ・ナカモト(中本哲史)と名乗る人物が論文でその原理を発表し、「非・中央集権」の仕組みに共感したハッカーたちが開発・普及させた。通貨の発行は、ユーザーが高度な演算問題を解く「mining(採掘)」という作業などを通して行われる。ただし、その演算処理は発行量が増えるに従って複雑になり、また2100万BTC以上は創出できないように設計されていることから、通貨供給増に伴うインフレーションを防ぐことができるとされている。
当初は、IT(情報技術)の専門家やマニアが集う一部のネット空間で利用されていたが、次第に大手事業者が決済に採用するようになり、2011-2012年にかけて顕在化したキプロス金融危機の際には、「金」に近い安定した通貨として注目が集まった。
金のように対象となる裏付けもなく、政府を背景とした信用もないため、現実通貨との交換レートは、需給関係や経済状況に左右され、投機の影響も受けやすく、暴落したときの歯止めもない。
また、上記のようなリスクに加え、資金洗浄など不正な取り引きの温床になっているという批判もある。しかし、手軽さや利便性の高さが人気で、開発からわずか4年の2013年4月には流通量10億ドルを超えるまでに成長した。
米ドルとの相場も、2012年12月には1BTC=13ドル台だったものが、1年後の2013年12月4日には1BTC=1240ドルの最高値を付けた。