#15 「……ふぅ。先輩、お疲れ様でした。外はすっかり本格的な雨になってしまいましたね」 彼の部屋のドアを閉めた瞬間、しとしとと窓を叩く雨の音が、静かな室内に心地よく響いた。お互いにバイト先のカフェの制服から私服に着替え、ようやく一息ついたところ。 彼はいつものように、生活感のない洗練された空間の中で、非の打ち所がないスマートな所作で温かいハーブティーを淹れてくれた。並んでソファに腰掛けると、薄暗い間接照明のなかでも、彼はきっちりと「拳二つ分の適切なルール」を守って、凛とした佇まいで座っている。丁寧で、理知的で、どこまでも私を尊重してくれる自慢の恋人。 けれど、今夜の彼は、いつもと少しだけ様子…