フーデリ配達員は、料理を運んでいる。 これは間違いない。 店で商品を受け取り、バッグに入れて、お客様のところまで届ける。 作業としては非常にシンプルだ。 だが、空腹時の配達バッグは、たまにこちらを攻撃してくる。 しかもかなり卑怯な攻撃である。 見えない。触れない。もちろん食べない。 でも、香りだけは来る。 ポテトの香りである。 あれは危ない。 夜の住宅街。少し疲れている。腹も減っている。売上もあと少しほしい。そんな時に、背中のバッグからふわっと漂うポテトの香り。 この瞬間、脳内会議室の空気が変わる。 さっきまで冷静だった職業倫理委員会が、急に資料を抱えて立ち上がる。 食欲誘惑係は笑っている。 …