PHSについて

popopo_20042005-03-07

PHSについて書かれている記事があったのだが、内容にどうも気になるところが多いので、自分のことも含め書かせていただきます。はっきり言わせてもらえれば少し事実と違わないかい?ということです。

DoCoMoPHS撤退の発表で、現在、外での通信手段として利用している@FreeDをサービス停止までこのまま使うのか? AIR-EDGEに乗り換えるのか? 乗り換える場合に現在利用しているAH-K3001Vをどうするのか? 料金プランは? AH-K-3001Vを持っていることと無線LANスポットも増えつつあるので思い切って通信用のCFを持つのをやめるか? 等々、最近いろいろ考えています。
AIR-EDGEは仕事の関係もあって初期のころのC@rd H"から利用していますが、それと比較しても、@FreeDは低価格で電波が届くところで移動せずに通信するのであれば速度もそこそこ速く安定しているのですが、DoCoMoPHS撤退の発表以前から今まで使えていたところで使えなくなったりすることがあります。これは減少気味の電話ボックス撤去時に上に設置してあるアンテナ毎なくなっているのでは? と思わないでもないですけど。
ここ最近の、DDI POCKETからWILLCOMへ転進、DoCoMoPHS撤退発表、といろいろ話題もあるので、今までのPHSのことを語っている記事をよく目にするのですが、今日はこんなのを発見。

PHSの10年と今後


 10年目を迎えたPHSに変革が起こっている。業界2位のNTTドコモが撤退を表明。業界3位のアステルグループも各地域会社で撤退・縮小を行っている。その一方で、IBMのCEOだったLouis Gerstner氏が率いる世界的に有名なプライベート・エクイティ投資会社のCarlyle Groupは、DDIポケットを傘下に収め、ウィルコムとして再スタートを切った。目玉は高速なデータ通信と定額通話パッケージである。果たしてPHSの今後はどうなっていくのだろうか。過去を振り返りつつ、PHSの未来を考えてみることにする。

という出だしで記事は始まっていきます。PHSの黎明期の話から入っていくのですが・・・

繋がり難いPHSは誤解だったのか


 筆者が週に2〜3回往復で利用する東北新幹線の東京〜宇都宮駅間は、走行中でありながらもPHSが切れない。ウィルコム(旧DDIポケット)のAIR-EDGE対応データ通信カードをノートPCに挿し、この間インターネットに繋ぎっぱなしにしている。さすがに最高速に達する一部の区間は電波が微弱になるが、乗車時間約50分前後のうち40分以上は接続できる。

確かにAIR-EDGEは電車移動中でも切れにくいですが東北新幹線で移動中でも切れない区間がそれほどあるのですか? 在来線で無く新幹線ですよ? 本当に? 東海道新幹線で名古屋−東京の移動中にAH-K3001Vは使えないことが多いのでちょっと意外でした。在来線で名古屋−東京の移動中にはずっと使えるのですけどね。私は東北新幹線には数えるほどしか乗ったことありませんし、そのときにAIR-EDGEを利用したことが無いのでわかりませんけど。
で、さらに・・・

 このことに気が付いたのは、2年ほど前のことだった。当時、ほかのPHS事業者のデータ通信カードを同区間で試したことがあるのだが、走り出すとまもなく切れてしまう。今、振り返ると、他社のPHSは「会社で使えない」「自宅では繋がらない」と、小規模な対応範囲に穴があった。筆者はDDIポケットの開業当時からのユーザーであるが、スタート当時タクシーに乗りながら通話ができたことに感動したことを覚えている。
 ただ、筆者は、しばらくその違いがわからなかった。PHSの仕組みは前述したとおりで、小型のアンテナが多数散らばっていて、半径100m程度の範囲で通信する。ところが、ウィルコムのアンテナは当初から高出力で、半径500mは電波が届いたというのである。その理由は、当時のウィルコムは、他社ほどアンテナの数を用意する資本力がない、それを補うために当初から高出力アンテナを設置することにしたのだという。これがウィルコムPHSの繋がり易さとなっているのだ。
 一方で、他社のPHSは半径100mのアンテナ数を競い、カバレッジを上げていくのだが、どうしても隙間やムラができる。それを埋めるため、さらにアンテナを増やす必要が出てくるのだが、そこで採算性に疑問が出てくるし、それ以上カバレッジを広げても「持ち運べるコードレス電話」というコンセプトを崩し、携帯電話の市場と直接競争することになってしまうという問題に直面するのだ。NTTドコモが2005年2月28日、PHSサービスの新規受付を4月30日に終了し、2年後までにPHSの全サービスを終了させると発表したのには、そのようなビジネスモデルの矛盾があったのではないかという意見もある。筆者も、おおむねその意見に同意している。

確かにDoCoMoとASTELは半径100mがエリアのアンテナを持つ基地局をメインに構成されています。対してWILLCOMは半径500mがエリアのアンテナを持つ基地局をメインに構成されています。これはいいですよ。
問題は、WILLCOM(当時、DDI POCKET)が資本力が無いので仕方なく高出力アンテナを持つ基地局を採用した・・・本当に?
DoCoMo(当時、NTT Personal)は同じグループのNTT地域会社を生かし電話ボックスの上や電話線が設置されている電柱の上などをメインに基地局を立て、ASTELは資本が電力関係であることを生かし電線が設置されている電柱の上などをメインに基地局を立てる。ところがDDI POCKETは上記2社と事情が異なるため基地局はビルの上などに設置することも多くなる。そのためどうしても出力が強い基地局を設置する必要が出てくる。結果的にこれはコストダウンにつながったのかもしれないが、そもそもそういう事情ではないと思います。実はライターさんしか知らない極秘情報で、本当は資本力が無くて仕方なく高出力アンテナを持つ基地局を設置した情報をキャッチしているかもしれない。でも、この記事はそういった裏事情を話すことを主に置かれておらず、PHSの歴史を解説されているのですよね? だったら違いませんか? もしその極秘情報が正しければもっとこれ見よがしに書けばいいのに。実際にはこうだったって。
それとWILLCOM基地局はかなり高性能でインテリジェンスなもので、PIAFS対応等は基地局のハードウェアは変更せずにソフトウェアの変更だけで対応できています。かなりコストのかかった基地局です。DoCoMo等は基地局のハードウェア変更をしての対応です。本当に資本力の問題だったら出力を上げるだけでDoCoMo等と同等の基地局を採用しているのでは? このようにコストのかかる基地局を最初に採用したからこそ、AIR-EDGEパケット通信への対応もソフトウェアの変更だけでできているわけです。対するDoCoMoはサービス終了を宣言した今でも64kbpsでの通信が対応していないエリアがあります。これは基地局を変更していないからです。本当にWILLCOM資本力不足で基地局の数を減らして、それが結果オーライになっているのでしょうか? 資本力はともかく、個人的な見解では、PHSサービス開始当時としてはかなりオーバースペックな基地局を採用していて、少なくともインフラ整備にはかなりの投資をする会社という印象が強いのですが・・・。
大体、出力が高いほうが隙間やムラを作らずエリアを形成するという発想そのものが間違ってると思うのですが・・・。エリアが半径100mだろうが500mだろうがエリアが重なっていれば良いわけで、逆に100mの方が細かくエリアをふさぐことができるはずです。エリアが小さい基地局のほうが隙間やムラのあるところに設置していけばよいが、エリアが大きい基地局のほうが基地局同士が離れていて隙間やムラができやすいでしょ? それとDoCoMo等の基地局のほうが小さくコストもかからないですから。ただするかどうかは別問題ですけどね。つまりそれはPHS会社のやる気ですよ。それと1つの基地局の同時通話数を考えればWILLCOMのほうがエリア内でも使えない可能性が高いと思うのですけどねぇ・・・。最終的にはWILLCOMがせっせと基地局を増やしていったおかげでエリアの隙間やムラがなくなったのだと思います。
さらに言えば、PHS開業当時にタクシーで通話できたという印象は、500mのエリアをカバーする高出力アンテナがあったことが原因でしょう。初期のPHSはエリアから外れて次のエリアを見つけるのに時間がかかります。これをハンドオーバーといいいますがここで切れたり無音状態となります。エリアが広ければハンドオーバーが少なくなるので切れたり無音になる回数が少ないことがそう感じたのでしょう。ただ、先ほども言ったようにエリアが隙間やムラが無いのは高出力であることとあまり関係ないのでは?
で、最初の新幹線の話しに行きますが、これはエリアの隙間やムラがなくなることは大前提ですが、ハンドオーバーの短くなるように改良し、さらに複数のアンテナを探すようにしてハンドオーバーをしやすくする改良したことのほうが大きいですよね。これが当時DDI POCKETの「H"」といわれるものです。もっともこの改良はDoCoMoもASTELも同じ変更をしていますけどね。


ライターさんが何でも知っている必要は無いと思います。技術的な説明が無くても自分の経験談を書けばよいのです。でも、この記事って詳しく知ってます的な書き方ですよね? だったらしっかり調べて書くべきだとも思うのですけど。ま、こんな記事はよく見かけますけどね。


いや、やっぱり、私のような普通の人が知らないだけで、ライターさんしか知らない極秘事情を語っているのかもしれない^^; それをこれ見よがしに書かずさらっと書く。さすがプロだな。