田んぼの蛙ももう消えた……。

僕の家の前には、広い広い水田地帯が広がっています。
家に隣接する農業用水路には、僕が子供の頃、草が生い茂り、小魚がいて、蛙がいて、ザリガニがいて、そしてホタルが毎年たくさん見られました。
夏の夜の蛙の大合唱とウシガエルの重低音の合いの手、掌のホタルの明滅……すべてが忘れられません。
そこは、全面コンクリ化され、草が消え、ホタルが消え、蛙が消え、田んぼのカブトエビも消え、思い出したように異常発生するザリガニだけが、今、残された生体反応の全てです。
小魚釣りのおじさんも少年も消え、今は、ザリガニが異常発生したときだけ数えるほどの子供が網を持って自転車に乗ってやってくることがせいぜいのところです。
普段の水位も下がってしまい、今はもうブルーギルも空いたニッチに入り込むようなところですらありません。

コンクリ化も当時は良いことばかりと喧伝されていたのでしょうが……僕たち社会は、効率化や利便性と引き替えに、あの時代に何をそぎ落として駆け抜けてきたのでしょう……。

そこには、バス利用派も規制派もない、論理云々抜きの丸裸の郷愁、原風景だけがあります。

共通点は、出発点にあるのかもしれません。

本当に勉強になります。

  • One of Bassersさん

http://haluna.at.webry.info/200504/article_13.html

  • CHAOS‐DIVERさん(気付かなくて申し訳ありませんでした)

http://blog.livedoor.jp/phantom3xv/archives/18676161.html

 時間のあるときに、ゆっくり過去に書かれたものも含めて読ませていただきたいと思います。

 (うう、TBのやり方がいまいちわかりませぬ(__))

未来へ向かって

単にライセンス制がどうので済ますのではなく、前向きな本当の「具体」案をなんとか提案しようと、ちょっとネット巡りをしました。膨大過ぎて全然巡りきれていないんですが。

でも――

(社)全日本釣り団体協議会(http://www.zenturi-jofi.or.jp/)の「私の主張」を見て、はっきり言って脱毛……いやいや、脱帽。
僕の提案する余地は無いな〜というくらい感心しまくりでした。
例えば、以下の匿名希望氏の投稿なんて、具体的も具体的……

2005年4月9日 20:32

 私は、一般的バス釣りファンですが、昨今の状況を非常に心配いたしております。
しかしながら、どこからも今後のバス釣りについての未来図のようなものが聞こえてきません。

 私としましては、「特定外来生物による生態系に係る被害の防止に関する法律」施行後もバス釣りを続けるために、「釣り人による何らかの提案」を社会に対し発信する事が必要と考えています。
 そうした事から、オオクチバスコクチバスの法律施行後の管理方法の案を提示いたします。ご一読くださいますようお願いいたします。

提案 「総合レジャー施設としての、大規模バス管理釣り場を設定。」
①目的
  「生物多様性保全」ならびに「在来魚種の保護・増殖」と「オオクチバスコクチバスの有効利用」を同時に可能にし、さらに周辺の地域経済・まちおこし・むらおこしに貢献する。

②具体的な管理釣り場の選定方法
例えば(自分の場合、中部地方以西については、知識がないため)、私の住む、東海地方以北では、桧原湖野尻湖白樺湖・神流湖・霞ヶ浦利根川水系の一部・亀山湖・笹川湖・印旛水系・牛久沼・高滝湖・河口湖・山中湖・西湖・相模湖・津久井湖芦ノ湖などのいわゆる“メジャーフィールド”の内、既に、地域との合意が形成されている、もしくは、合意が、近い将来に可能な地域。
 および、既にバスの生息が確認され、地域から請願書・嘆願書などによる要望が出ている釣り場、または、既存の管理釣り場で、且つ、絶滅を危惧される魚種が、極めて少ない湖を選定する。この場合の地域とは、都道府県の単位ではなく、その水域を保有する「市町村」という細分化された単位で考える。ただし、この内、漁協が管理し駆除を要望する、複数地域にまたがる河川については、駆除事業を並行する。
 選定に当たっては、水域を保有する市町村・水域の経済的利用で収益を得る各団体などから希望を募り、生態系・環境保護の立場の学識経験者から意見を聞く。
 上記に当てはまらない地域の水域については、市町村ごとに「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に従い、具体的な防除方法を模索する事とする。

③予測される反対理由
    <オオクチバスコクチバスを容認すれば、>
●希少種(絶滅危惧種)の減少が起こる。
●食害による在来種の減少が起こる。
●漁協の収益が減少する。
生物多様性保全が、危ぶまれる。
●管理体制の不備による特定外来魚の拡散が、懸念される。
●釣り人が来なければ、絵に描いた餅ではないか?

④考えられる対策と予測される効果
●希少種(絶滅危惧種)の減少・食害による在来種の増殖(非漁獲対象魚)
【全国のバス釣り場を限定(管理釣り場化)】
 釣り人を限られた水域に集中させる事によってオオクチバスコクチバスの生息に対する圧力が、極めて高くなり、オオクチバスコクチバスは、減少し、食害による希少種(絶滅危惧種)・在来種の減少を抑えられる。
 その水域に釣り人を集中させる事を前提にするためキャッチアンドリリースは容認する。たくさんの釣り人が集中して訪れる事により、『在来魚の増殖・湖岸の環境改善(過度の護岸整備の見直し、湖岸の保護・修正、水生植物の再生など)・監視員の導入・バスの持ち出し禁止についての啓発活動』のための資金調達が可能になる。
 年間を通し、アマチュアによるトーナメント等の釣り大会を定期的に開催し、かつ、オオクチバスコクチバスの繁殖期に合わせて大会開催の頻度を増やす事によって、かなり高いレベルで繁殖を抑制する効果が期待できる。(私が、以前、頻繁に通っていた下久保ダム、通称、神流湖では、日本バスクラブの参加者150名程度の大会が、年間5回定期的に開催されるようになってから3年程でオオクチバスの生息数は激減した。「釣り人に対するバスの危険回避能力の向上による釣果の低下」もあるが、「釣り人の技術の進歩」を考慮すれば、大会結果報告から、その事は、はっきり判る。)
【水域利用ライセンス制度の導入】
 対象を釣りだけでなく、レジャー用ボートやジェットスキー、ヨット、カヌー、ウェークボードなども含め、それぞれの水域を利用する為の地域ごとに第三セクターもしくは、NPO法人によるライセンス管理事務所を置き、ライセンスを発行し、それを資金源とし、在来魚の増殖・湖岸の環境改善(過度の護岸整備の見直し、湖岸の保護・修正、水生植物の再生など)・監視員の導入・バスの持ち出し禁止についての啓発活動に当てる。合わせて、ライセンス制度上でレジャー用・漁業用に使用される船外機の排気量を地域ごとに制限する。
【釣具税(目的税)の導入】
 釣具に関しては、消費税と同率の目的税を新たに課して、それを各地域のライセンス管理事務所に案分する、同時に、興行収入を得るような活動、例えば、バスプロ団体が母体になって開催されるトーナメント、プロによるウェークボードなどの大会においては、全選手のエントリーフィーと同額(コンサートなどの入場税に近いものと考える)を開催地域のライセンス管理事務所に収める事とする。
●漁協の収入の確保
 上記の対策により在来種の生息数は、確保されると思われるため、法改正し、漁獲対象魚のみの増殖のための費用としてバス釣りも含めた遊漁料の徴収を可能にし、漁協の収入を確保する。
生物多様性保全
  上記の対策によりオオクチバスコクチバスの生息数は、減少すると思われるため、現状維持または、再生の可能性が高くなる。合わせて、船外機の制限により水質の悪化を防ぐ事に貢献する。
●管理体制の不備による特定外来魚の拡散の懸念
  ライセンス制度導入により、拡散要因(危惧される不法な持ち出し・放流)は、排除できる。
●釣り人が来なければ、絵に描いた餅ではないか?
 バス釣り産業の状況から推測するに当面は、釣り人の動員は問題ないと思われる。
上記のライセンス制度を導入した上であれば、10年20年後のことを考えた場合、全国で画一的に強引に規制しなければ、需要と供給のバランスは保たれるため、個々の水域ごとに『在来魚の増殖・湖岸の環境改善(過度の護岸整備の見直し、湖岸の保護・修正、水生植物の再生など)・監視員の導入・バスの持ち出し禁止についての啓発活動』のための資金調達が可能になる。
釣り人の動員数と環境改善のバランスを見ながら、5年もしくは10年単位で見直しをしていけば、さほど大きな問題にはならない。最終的に利用する釣り人が、少なくなれば、駆除に反対する釣り人も自動的に減る事になる。

 以上です。

                             < 匿名希望 > 

いや〜、凄いです。脱皮!

僕は、一端減少してもそれによってまた……という考えもかたくありますし、その辺り???なところ、異論もあったりするし、その点、違う方向性の意見を投稿されている方に「賛」な部分も大きいのですが、釣り具税の導入については前からの持論でもありますし、ともかく、ここまで、具体的かつ総合的な提案を頭の中で積み上げるって凄い……。

あとは、マナー知らずの「ちょっと釣りでもやってみるべ」的なヤンキー風無法釣り人に対しての敷居を高くするために、それこそ釣りインストラクターから講習を受けなければならない旨、釣り場に掲示し、マナーや意識向上に努めるとか考えたりもするのですが。もちろん、罰則付きで。バックが無いと注意もできませんからね。なんなら通報システム。

敷居というのは、高すぎてはいけませんが、まったく無いというのは、水辺意識を高めるためにも大問題だと思いますので……。

「食べられる魚の身になれ」の偽善

いや、別に偽善シリーズ(http://d.hatena.ne.jp/Burke/20050304#Burke)にしようとは思ってないんですけど(汗)。

よくいらっしゃいますね〜。ネットまわりに特に。

バスを違法放流したわけでもなんでもない、一般のバスアングラーに対して、「食べられる魚の命のことを考えたことがあるのか! その魚の身になってみろ!」と、半ば恫喝的に仰る人。言葉は丁寧でも、結果的に、それはある種の恫喝なんですよね。

でも、そんなこと言われても――と思いませんか? バスに限らず、釣り人諸氏。

バスだって、いかに親が守っても、ばかばか稚魚のときに食べられてますね。

捕食者といっても、例えばあるところでは、成魚も、チャンネルキャットフィッシュにばかばか食べられてますね。

そのとき、「バスの身になって考えろ」って言いますか? 普通。言いませんよね。

実は、このときには、人為も非人為も関係のない論点になってるんですけども。

バスを駆除している人と在来魚を生活の糧にしておられる方々と、バスアングラーと――彼我の差は?


これって、言い始めたら、際限の無い話で、いかに、そういう言挙げする人が、「命」というものに対して真剣に思索していないかという証左ではないかと。

バスに食べられる魚も、魚を食べてたり、水棲の生物を食べてたりするんですよね。
そういう人たちは、そのとき、その魚なり水棲生物、プランクトンなりの命のことを慮ってるんですかね、本当に、我が家族のことのように。

釣りをする人がもしそういうことを言ってたら、僕は、眉に唾をつけたくなります。
生き餌として、なんらかの命に、針を串刺しにしてるんじゃないんですか、と。そのことまで考えて仰ってますか? と。浅慮が過ぎるんじゃないですかって。

こういうのは、すべては、個々人の思い入れの問題だと僕は思います。

怪我をしたウサギを治して野に返して「無事生きていけるかな」と気を揉んでいる人と、鷹を育てた人がはじめて鷹に狩りをさせて「ちゃんと食べ物を確保できるかな」と気を揉んでいる人――。

熱帯魚に金魚やメダカを与えて、その成長・成育に精力を傾けている人と、大切に金魚を育てることに腐心している人――。

そうした思い入れの差は、まさに十人十色であって、それは善し悪しの次元で語られるべきことではないと僕は思っています。

このような一種の不条理、人間という生き物の感情の傾きのグラデーション――これらは、文学なりなんなりで語られる次元にあると僕は考えています。

あえてちょっと批判的に池田清彦先生の持論を

底抜けブラックバス大騒動

底抜けブラックバス大騒動

字句は性格な引用ではありません。
利害関係も無いところへ出張ってくださっている池田先生への無礼はどうかご容赦ください。

※関係ありませんが、個人的には、池田先生の「生命至上主義」「価値相対主義」には反対です。

※もうやめて次は建設的な話をしたいと思います。(もちろん、以下の書いたことについての応対は別にして)

  • 「何のために生物多様性保全をしなければならないか」あまり説明されなくなった。問答無用。
  • 人間中心主義の情緒的な問題だ。
    • 僕:確かに。「将来に役立つ遺伝子プール」云々を含めて人間中心主義の話だし、そのあたりを除けばどれも情緒的な理由だと思います。ただ、それは、例えば、前述のように、岩槻邦男氏なんかもかっちり書いていて……。
    • 「人間中心主義」でいいじゃないか、と。
    • あと、「情緒的」だから軽んじていいか、とかどうでもいい、とか、没論理的だから駄目だ、とかになると、僕は、それは違うように思う。
    • 「情緒」って「郷愁」「日本の里山の自然」を含めて結構大事だよね、と思ってしまう。それに言ってしまえば、池田先生はともかく、僕らバスアングラーははじまりから「情緒」です。「感情」です。
    • ただ、情緒的なものを金科玉条にはできないし、出だしで「論理であるかに装う」のを相対化しようとの発言としてなら理解。同意です。
  • 多様性とか自然の保護とか無いよりあった方がいいというのは当たり前。常識的な話。
  • 他の価値と抵触したときにどうするかという調整の問題がある。その調整をやらないで、生物多様性が一番大事だと突っ走ると変なことになる。できることなら、両方とも納得できる方法を。
    • 僕:納得です。ただ、「一番大事だと突っ走ってる人などどこにいるのか」との反論が多数あり……。うーん。藁人形?(;´▽`A``
  • 日本の固有生物相を完璧に守るというのは現在では不可能。是々非々でいくしかない。
  • 今のは単なる「現状保護」じゃないか。
    • 僕:わかる気もします。一部について。ただ、ここでも「原理主義者」と言っていて、「藁人形」と批判されそう。
  • (池田先生は)移入種でもなんでも放したらいいとは言っていないのにそう言っているかのように言う人がいる。全く逆でどんどん規制したらいい。新しく入ってくるものに関しては。
    • 僕:池田先生も僕と同じ予防原則支持者だった!
  • 定着した種については全くの別問題。問題は影響の程度。
    • 池田先生が、僕と同じことを言ってるぅ〜\(^^@)
  • キャッチ&リリースの禁止は論外だ。
    • 僕:そうだよなあ。結局話はそこへかえる。
  • ブラックバスだって、ものすごく美味しくて、マグロのトロと同じくらいに売れるっていうんなら……
    • 僕:いや、そしたら、生物多様性保全を真面目に考えている人たちは、釣り人と同様、漁業者も批判するだけでしょう。ただ、経済問題との勘案、もっと前に、こういうような大問題になるかならないかってところで違ったとは思います。
  • 移殖の禁止はザル法だ。埼玉から東京へってどうやって取り締まるのか。
    • 僕:おっしゃるとおりだと思いますが、一釣り人としては、それを言ったら開き直りに。
  • 里地里山の自然が大事だっていうのは人間込みの生態系も大事にしようということだ。その中には移入種もいっぱい入っている。自然生態系の歴史から比べれば、1000年単位の歴史なんてごく短いタイムスケールでしかない。
  • 僕(池田先生)は、人為込みの自然も保全したらいいと思うけれども、里地里山は人間生活の結果として作られた。それを税金をかけて保全しようとなると別の話。税金が切れたら終わりだし。
  • 里地里山保全も含めて、結局、安定的な多様性が大事だということだ。ならば、ある池で、ブラックバスとかを入れて、それが100年も安定していれば、その安定そのものを守るべき多様性だと考えてもいい。
    • 僕:なるほど。
  • 栽培植物は違いますよという話はとってもよくわかる。それだったら、たとえば、霞ヶ浦八郎潟のように人間の手で自然環境が大きく変えられてしまった所は、畑や田んぼと同じだ。
    • 僕:過激かと思いますが、論理的にはすごく納得。あくまで原理的には、ですけど。
  • 結局は政治的な話に収斂される。
    • 僕:うーむ。
  • 駆除できないと思うのは常識。やるんだったら、一挙に相当なお金をかけてやらなければ、何にも意味がない。だけど、琵琶湖みたいな所で本当に駆除できるのかと。できるわけないでしょう。小さな池だったら別だが……。できるなら、害虫なんていなくなってる。小笠原のグリーンアノールというトカゲなんて僕(池田先生)も早く駆除できたらいいなと思ってるが。(注:上の程度の問題ということでしょうね)
    • 僕:ここはバスアングラーの開き直りじゃなく、ブルーギルでもなんでも、本当に日暮れて道遠しであることは間違いないと僕も思います。ゼゼラさんの本のときからの話ですが、それこそ、ウィルスだのみ。一端やめたら元の木阿弥。続けてもお金の無駄遣いの手助け。

o( _ _ )o。

    • 僕:はい。両方のやろうとしているようであります、隊長。
    • はい。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

と、こんな感じになりました。前から、「バス問題はバス自身が抱えている問題とは別のところでアドバルーンとして利用されている面が確かにあると思っている」と言ってきましたが、しかし、後ろ向きな話も、書いてていい加減、倦んできました。

次は、ちょっとネットを、ご無沙汰しているところも含めてまわってみて、もうちょっと建設的かつ具体的な「提案」――ままごとと言われても――をしてみたいと思います。

それと、池田先生、えらそーに、しかもはしょってしまいすみませんでした。