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『優生学と人間社会――生命科学の世紀はどこへ向かうのか』(米本昌平ほか 講談社現代新書 2000)

著者:米本 昌平〔よねもと・しょうへい〕 科学史、科学論
著者:松原 洋子〔まつばら・ようこ〕 生物学史、医学史
著者:橳島 次郎〔ぬでしま・じろう〕 先端医療を中心とする科学技術政策論 
著者:市野川 容孝〔いちのかわ・やすたか〕 医療社会学
NDC:498.2 民族衛生.優生学.家族計画.産児制限


『優生学と人間社会』(米本 昌平,ヌデ島 次郎,松原 洋子,市野川 容孝):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部


【目次】
目次・凡例 [003-004]


はじめに 005
  「優生思想」というタブー
  出生前診断への批判
  遺伝子治療は優生思想につながるか
  本書の構成と狙い


第一章 イギリスからアメリカへ――優生学の起源 013
  一九世紀自然科学主義
  社会ダーウィニズムとは何か
  なぜ自由の国アメリカで優生学は広まったか
  人体測定学
  第一回イギリス社会学会の優生学者たち
  優生教育協会
  優生学の国際会議
  優生学は極右の学問か
  実験進化研究所
  断種法が合憲となるまで
  倫理的変革としての優生運動
  IQテスト
  移民制限の論理
  ナチスの断種法とアメリ
  遺伝学者たちの批判
  ナチズムの封印がもたらしたもの
  「ナチズム=優生社会=巨悪」という図式


第二章 ドイツ――優生学はナチズムか? 051
2.1 ナチズムの再発見 052
  ヒトラーという隠喩
  フリッツ・N
  見捨てられた人びと
  一九八〇年代の変容
  ナチズムの二つの思想
2.2 ドイツにおける優生学の形成 059
  細菌学と優生学
  「遺伝」という概念
  シャルマイヤーの優生学
  変質の三つの原因
  優生学の処方箋
  アルフレート・プレッツ
  プレッツの人種衛生学
  生殖衛生学
2.3 ワイマール共和国と優生学 074
  廃墟から出発した福祉国家
  反戦平和と優生学
  人間の国有化というプログラム
  ゲルリッツ綱領とグロートヤーン
  幻の断種法
  婚姻前検診の推奨
  性と生殖の健康に関する相談所
  一九二〇年代の断種法論議
2.4 ワイマールからナチズムへ 089
  世界恐慌と断種法
  医療における「強制同質化〔グライヒシャルトゥング〕」
  「帝国医務規定」
  優生政策の拡大
  優生学と人種主義の結合
  キリスト教会はどう対応したか
  一九三九年九月一日の三つの出来事
  安楽死計画――優生学の終焉
  「死に至る憐れみ」
  ホロコーストとの関係


第三章 北欧――福祉国家優生学 107
3.1 北欧の優生政策 108
  ワイマールとの連続性
  デンマーク――手厚い福祉と引き換えに
  検討委員会の結論
  ドイツに先立つデンマークの断種法
  断種法の「改正」
  スウェーデン――「本人同意」で広がった優生政策
  「国民の家」の断種法
  拡大を望む声
  断種法の「改正」
3.2 戦後から今日に至るまで 125
  不妊手術をめぐるドイツの戦後
  不妊手術をめぐるスウェーデンデンマークの戦後
  出生前診断優生学
  東西ドイツにおける中絶
  一九七〇年代の変化
  スウェーデンデンマークにおける中絶
  削除されたドイツの胎児条項
  新しい優生学とは――自己決定という問題


第四章 フランス――家庭医の優生学 141
  スウェーデンの強制不妊スキャンダルの飛び火
  フランスには断種法がなかった
4.1 フランス優生学の歴史 144
  「医学者の優生学
  「育児学」――フランス独自の優生学
  ゴルトン優生学はフランスでいかに受け取られたか
  フランス優生学
  フランスでの優生学的言説
  遺伝か環境か
  優生学におけるフランス・ナショナリズム
  人種の改善策としての安楽死議論
  フランスでの断種論議
  婚前検査立法への道のり
  第二次大戦下で実現した唯一の優生政策
  なぜフランスでは強制的優生政策が採られなかったか
4.2 現代フランスの生命倫理優生学 161
  ドイツ優生政策はフランスでいかに受け取られたか
  優生学論議の復活
  「生命倫理法」
  放置された不妊手術の無法状態
  人道に対する罪――民族主義と優生思想


第五章 日本――戦後の優生保護法という名の断種法 169
5.1 戦後日本の優生政策 170
  優生保護法とは何だったのか
  ポスト・優生保護法のゆくえ
5.2 国民優生法から優生保護法へ 175
  優生保護法と総力戦体制
  厚生省の「民族優生方策」
  国民優生法
  敗戦と国民優生法改廃運動
  強化された「優生」の規定
5.3 福祉と「優生」 190
  経済成長と人口資質向上対策
  「社会開発」というキーワード
  福祉コスト削減のための発生予防
  厚生省の発生予防研究プロジェクト
5.4 一九七〇年代の「優生」 198
  『厚生白書』と『人口白書』における「優生」
  「人類遺伝学将来計画」
  タブーではなかった「優生」
  「不幸な子ども」
  優生保護法改正案
  「青い芝の会」の胎児条項批判
5.5 「優生」はいかにタブーとなっていったか 219
  優生条項への批判
  「神聖な義務」問題
  優生条項削除の兆し
  優生保護法から母体保護法
  リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
  自己決定のジレンマ


終章 生命科学の世紀はどこへ向かうのか 237
  再発見されたナチズム優生学
  DNA観はいかに変遷してきたか
  出生前診断による中絶をどう考えるか
  中国の優生政策
  遺伝子資源という考え方
  ヒトゲノム計画の急展開
  バイオインフォマティック
  アイスランド・プログラム
  二一世紀における優生学的危険とは何か
  ワトソンの発言
  われわれはいま何に向かいあっているのか
  体系的懐疑の目と畏怖の感覚を


おわりに(二〇〇〇年六月 執筆者を代表的して 米本 昌平) [277-278]
著者略歴 [279]
参考文献 [i-vii]