愛子さま」が不登校になったの、いじめられているだの、逆に乱暴しているだの、学習院が学級崩壊になっているだのと、週刊誌を中心にいろいろと騒がれているようだ。私は別に、一次情報を知る立場にないから、こうした情報がどこまで本当なのか、よく分からない。よく分からないが、特別な存在をいじめたがる子どもの気持ちは、分からなくもない。悪いことだからかえってしたくなるのだろう。
この問題の根本は、皇室の存在である。前にも書いたが、皇室制度の一番の被害者は、他でもない、皇室の人々だ。そういえば、高円宮の娘の一人の不行跡が問題になったことがあったが、これも税金で養っている皇室だから問題になるので、そうでなければ世間の注目は惹かない。
もういい加減、皇室の人々を自由な立場へと解放したらどうか。そうすれば「愛子さまいじめ問題」も、「お世継ぎ問題」も、きれいさっぱり消滅するだろう。

北海道 地図で読む百年

約百年前の地図と、現代の地図を比べて、都市や地域の変遷をたどるシリーズ。この「北海道」では、札幌、函館、旭川、釧路、帯広、小樽、苫小牧、室蘭といった代表的な都市や、夕張、稚内、北見、網走、根室などの特色ある地方都市、登別温泉大雪山といった観光地、標茶や別海などの開拓地(ほかのところも開拓地だが)、深名線が通っていた幌加内町など、27の地域が扱われている。目次の松前市という表記はいただけない(松前町だから)。
北海道 地図で読む百年

あなたまかせのお話

地下鉄のザジ」の作者であるレーモン・クノーの短編集。実験的な作品が多いが、あまり面白くない。表題作は、ゲーム本のように読者に選択肢が与えられた短編だが、どう選んでも面白くない。こんなものを、ブール代数の応用だなどと持ち上げるのはバカげている。後半部は、クノーへのラジオインタビューを活字化したもので、文学は「イリアス型」と「オデュッセイア型」の二つに分かれるという話は興味深かった。前者は長い歴史を多くの登場人物を備え、後者は一人の人間の視点で統一された小説、というほどの意味。
あなたまかせのお話 (短篇小説の快楽)

ネットの炎上力

著者は元朝日新聞記者、AERA編集長で、退職後にJ-CASTニュースを立ち上げた蜷川真夫氏。J-CASTニュース運営での経験談が中心だが、ネットが新聞を苦境に追い込む点を早くから予見していたという点で、先見の明があったと言えるだろう。但し、「毎日新聞変態記事事件」(毎日新聞の英語版ネットニュースで、日本を貶めるような記事が書かれていたことが問題になった事件)については、毎日新聞がちょっとかわいそうな気がしている。もしもこれ以上読者が減り、毎日新聞がつぶれてしまったら、今の日本の言論環境は大きく変わってしまうのではないだろうか。
ネットの炎上力 (文春新書)

おかしいぞ 警察・検察・裁判所

「立川反戦ビラ事件」(自衛隊官舎へ反戦ビラをまいただけで逮捕され拘禁された事件)や「板橋高校事件」(卒業式で君が代を拒否しただけで公安警察が捜査した事件)など、表現の自由を脅かすような異常な捜査が行われる一方で、警察や検察の内部は、裏金作りを組織的に行い内部告発者を口封じするなど完全に腐っている。私は、治安の維持は非常に重要だと思っているが、異常な捜査はむしろ警察・検察不審を招くし、裏金など以ての外で、かえって反国家的な行為だろうと思う。そして、マスコミも取り込まれた記者が多く、こうしたことを記事にできない、あるいはしない。
本書はこうした事柄を扱った書。後半のシンポジウム発言の採録で、元毎日新聞記者が、給料の高い大マスコミは読者の感覚から乖離していると話しているのは、もっともだろう。あ、なんか上の本と感想がつながってしまったな。
話を戻す。監視すべきは、まずは民衆ではなく国家だ。警察・検察・防衛省幹部全員にGPSの携帯を義務付けたらどうかね。
おかしいぞ!警察・検察・裁判所―市民社会の自由が危ない