翼の回復

azamiko2005-08-01

29日(金)はポレポレ東中野で整理券を入手してから銀座シネスイッチで旧ユーゴスラビア出身の監督エミール・クストリッツァの新作『ライフ・イズ・ミラクルズ』を観ました。その後、ポレポレ東中野で映画『17歳の風景』、音楽を担当した友川かずきさんのライヴをポレポレ座で聴きました。充実、満足な一日でした。以下、ネタバレあり、未見の方はお気をつけください。

[映画]『ライフ・イズ・ミラクルズ』監督:エミール・クストリッツァ

エミール・クストリッツァ監督作品は今まで『アンダーグラウンド』『ジプシーのとき』『白猫・黒猫』を観ていますが、走る、転がる、飛ぶ、落ちる、壊す、ぶつかり合う、この摩訶不思議さは日本映画の伝統に最も遠いのでは。アンダーグラウンド [DVD]黒猫白猫 [DVD]
ジョニー・デップフェイ・ダナウェイの『アリゾナ・ドリーム』もフィルモグラフィーエミール・クストリッツァ作品だというのをはじめて知りました。アリゾナ・ドリーム [DVD]

ライフ・イズ・ミラクルズ』はサラエボ紛争のさなかにあった実話を基にしたとか。セルビアボスニアとの民族紛争の苦い記憶が蘇ります。
現実諷刺、反骨精神、底に流れる人間讃歌。生命への讃歌はこの新作でも強烈です。もう、クストリッツァとしか言いようのない猥雑さと清らかさ。
ルカを追うサバーハの一途な愛。サバーハを必死に助けようと雪の上に血を滴らせた橇を引くルカと意識の遠のく中で微笑むサバーハのシーンはビットリオ・デ・シーカの『ひまわり』を思いださせます。ひまわり デジタルリマスター版 [DVD]
ロシア娘(リュドミラ・サヴィエーエヴァ)が雪の中で瀕死のイタリア兵(マストロヤンニ)を引きずりながら家に連れ帰るシーン。ここでは敵対する民族、救うものと救われるものの男と女が反転しています。この作品がロミオ&ジュリエットを意識してつくられたといわれますが、『ひまわり』も必ず意識されていたはずです。
いつも動物がよく出てくるのも印象的ですが、泣く驢馬が象徴的です。そのほか熊、犬。ジャム&バターつきパンを食べる太った猫が可愛くて、可笑しい。民族紛争を象徴しているペットのデブ猫と犬との猛烈な喧嘩はどうやって撮ったものでしょう。
ピーター・ブリュ−ゲルの『狩人』の絵そのままのシーンがあったり、ジプシーブラスも楽しめました。★★★★

『17歳の風景〜少年は何を見たのか』監督:若松孝二〜もがれた翼

母を殺した17歳の少年が自転車で日本海べりを北上。少年の言葉はほとんどありません。少年の吐息と車輪の音。脇を通り過ぎる車の音、波の音、海鳥のなき声などが重なります。風景は渋谷の雑踏、延々と続くアスファルト、海岸、波の中を突き進む砂地だったり、海鳥の舞う海だったり。わずかに出会う人たちとの会話、それも風景の一部のようです。
彼はなぜ、北へ北へと向かったのか?水のないプール デラックス版 [DVD]
もがれてはじめて飛ぶことを欲望したのか。
翼のもがれた身体で飛ぶための助走をしたのか。
若松ファンには失敗作との評もあるようですが、カメラの捉える少年の溶け込んだ風景と車輪を駆ける息づかいとに飽きることはなかった。特に印象的だったのは海鳥の舞う砂地を波に向かって突き進むシーン。この海鳥のシーンは辰巳ヨシヒロの『鳥葬』やつげ忠男の『カラスのかんざぶろう』を思い出した。
ときどき挟まれる母の姿、殺害の一瞬。少年にとっても観客にとっても脳裏を離れないこの現実を説明するものは何もない。★★★★

友川かずき@東中野ポレポレ座

俺の裡で鳴り止まない詩?中原中也作品集?
友川さんのライヴは久しぶりです。お酒を飲みすぎてステージに上がる友川さんは恐いのであまり前には行きません。でも、この日は映画の前に、何年ぶりかに美術評論家のヨシダ・ヨシエさんにおめにかかったとかで、ゴキゲンでした。友川さんが絵を描いているということを新宿のゴールデン街で聞いて、ある日絵を見せてほしいと家にやって来たそうです。女性だとばかり思っていたので、緊張して待っていたとか、以来個展をすることをすすめられて、今まで何回となく個展をしています。私も一枚もっています。
照明が明るすぎると言って、しきりに暗くするようにスタッフに頼んでいました。ビールを飲みすぎたと言いながら、泡盛は美味しすぎて飲みすぎるといいながら、大きなコップで5杯くらいお代わりしていました。
映画の話や政治の話しやいろんな面白いお話をされていたけれど、映画の中で挿入されている自身の歌について「海鳥に負けている」と言っていた。「ボクの歌を歌っている人はみんな精神病院にお世話になっています」
映画を観に来て、友川さんの歌をはじめて聴く人も多いようだった。歯に衣着せぬ話の面白さと歌とに圧倒されて、さかんな拍手。でも、私は友川さんの歌に拍手する気になれません。拍手をしてしまうとそれで歌が完結してしまいそうで。この日は拍手できるスローテンポの曲は歌わなかった。

9条を世界へ!

友人から送られてきたメールです。主旨に賛同し転載します。

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9条を世界へ!「グローバル9条キャンペーン」
8/15に9条をサポートする世界同時意見広告を出そう!

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■世界に誇るべき9条
日本人にとっての平和の誓いであり、かつて侵略したアジアの人々に対しての不戦の誓いでもある憲法9条は「戦争をしない」「軍隊を持たない」という理念を明記した世界に誇るべき存在です。この9条を世界に伝え、国際的なサポートを得るために、私たちは「グローバル9条キャンペーン」をはじめました。
■9条サポート!8・15世界同時意見広告
最初のアクションとして戦後60年目の8月15日、9条を支持する世界の市民の声を全国紙の意見広告で紹介。さらに同日、約20カ国で現地NGOと協力して地元紙に9条をアピールする意見広告を出します。この世界同時意見広告ではインターネットでの9条サポート署名も呼びかけます。                          
<掲載予定国と予定紙>
・ 台湾  …中國時報紙   ・イギリス…ガーディアン紙 ・香港…蘋果日報コスタリカ…ラ・ナシオン紙 ・スペイン…エル・パイス紙 ・韓国…ハンギョレ新聞 ・イラク  …アズ・ザマン紙  ・中国…人民日報 ・米国…ニューヨークタイムズ紙 ・フィリピン…インクワイアラー紙など約20紙 ※日本では、全国紙(全五段)に掲載予定
■世界同時意見広告賛同のお願い
必要な掲載費は国内外を含め総額2,000万円です。9条に対する世界の支援の声を日本国内に届け、さらに9条への支持を世界に広げるチャレンジです。是非ともご賛同お願いいたします。
個人賛同金: 一口¥1,000より  団体賛同金: 一口¥5,000より
郵便振替口座 00110-9-741009
   口座名 GPPAC 東北アジア 
   ※通信欄に「世界同時意見広告」と記入
<呼びかけ人>(順不同)
■ 灰谷 健次郎(作家)       ■ 土井 香苗(弁護士)
■ 松井 ケティ(清泉女子大学教授) ■ 武者小路 公秀(反差別国際運動)
■ 前田 哲男(軍事ジャーナリスト) ■ 姜尚中(東京大学教授)
■ 小林 カツ代(料理研究家)    ■ 小森 陽一(九条の会事務局長)
■ 佐高 信(評論家)

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GPPAC JAPAN(ジーパック・ジャパン)とは?
アナン国連事務総長の呼びかけに応え始まった、NGO主導の国際紛争予防ネットワーク=GPPAC(武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ)を、憲法の9条理念に基づき継続的かつ発展的に広げていくことを目的とした日本のNGO紛争予防ネットワーク。



#クロワッサンを食べた野良猫たぶら
首のまわりと尻尾に毛がふさふさ。ペルシャ系(?)
正面を向いていたのにシャッターが下りる前に横を向いてしまいました(^−^;