89. 翻訳の説明として正しいのはどれか。

  1. ゲノム情報をRNAに置き換えることである。
  2. RNAポリメラーゼによる。
  3. 反応は核内で進む。
  4. 二本鎖DNAを鋳型とする。
  5. リボソームが関与する。
解説
1.2.ともに転写の説明である。3,反応は細胞質で進む。4.mRNAを鋳型とする。mRNAは1本鎖のRNAである。5.mRNAの遺伝情報をリボソームでタンパク質に読み替える。
解答
e

90. 遺伝暗号の特徴として正しいのはどれか。

  1. 27通りの組み合わせがある。
  2. 全てのコドンに意味がある。
  3. 全てのコドンがアミノ酸に対応する。
  4. 4つないし5つのヌクレオチドが単位になる。
  5. 終止コドンは2種類である。
解説
1.4種類の塩基で三つ組み暗号であるので4の3乗(64通り)である。2.64通りのコドンそれぞれに一つの意味が割り当てられている。3.3つの終止コドンはアミノ酸に対応しない。4.3つのヌクレオチドを単位として暗号となる。5.終止コドンはUAA、UGA、UAGの三通りある。
解答

91. グアニンヌクレオチド交換因子はどれか。

  1. EF-Tu
  2. EF-Ts
  3. EF-G
  4. RF-1
  5. IF-3
解説
伸長因子であるEF-TuはGTP結合タンパク質、EF-TsはEF-Tuのグアニンヌクレオチド交換反応に関与するグアニンヌクレオチド交換因子である。EF-Gはリボソームのトランスロケーションに関与するGTPを結合する伸長因子、RF-1は翻訳の終結の際に終止コドンに対応する収支因子である。IF-3は翻訳の開始に際して不活性70Sリボソームを活性化する開始因子である。
解答

92. 翻訳について正しいのはどれか。

  1. EF-TuはmRNAに結合する。
  2. EF-Tsは翻訳の開始に関与する。
  3. EF-GはリボソームA部位に結合する。
  4. eIF-2は終止コドンに結合する。
  5. RF-1はホルミルメチオニンtRNAに結合する。
解説
1.EF-TuはアミノアシルtRNAに結合する。2.EF-TsはGDP型のEF-TuをGTP型に変換する。3.EF-Gは空のA部位に結合しリボソームのトランスロケーションを起こさせる。4.eIF-2は真核生物のメチオニルtRNAに結合するGTP結合タンパク質で、翻訳の開始に関与する。5.RF-1は終止コドンを認識し、リボソームをmRNAから解離させる。
解答

93. 原核生物のリボソーム30S開始複合体に含まれていないのはどれか。

  1. 30Sサブユニット
  2. ホルミルメチオニルtRNA
  3. 50Sサブユニット
  4. IF-1
  5. GTP結合型IF-2
解説
解答
原核生物の不活性70SリボソームはIF3の結合により50Sサブユニットが解離して活性化され、GTP型のIF2が結合したホルミルメチオニルtRNAとIF-1,mRNAが複合体となった30S開始複合体を形成する。開始因子が遊離し、50Sサブユニットが結合して70S開始複合体ができる。

94. 原核生物のリボソーム30S開始複合体に含まれていないのはどれか。

  1. 30Sサブユニット
  2. ホルミルメチオニルtRNA
  3. 50Sサブユニット
  4. IF-1
  5. GTP結合型IF-2
解説
IF-3の結合により活性化された30SサブユニットはmRNA、GTP結合型のIF-2、ホルミルメチオニンを結合したtRNAにさらにIF-1が加わって30S開始複合体を形成する。開始因子(IF-1, IF-2, IF-3)が外れたのちに50Sサブユニットが結合すると70S開始複合体となり、P部位にホルミルメチオニルtRNAが配置する。
解答

95. tRNAの構造で正しいのはどれか。

  1. 3’末端にアミノ酸が結合する。
  2. 二重らせん構造をとる。
  3. 2つのアンチコドンループをもつ。
  4. 2000nt以上の大きさである。
  5. M字型の立体構造をとる。
解説
1.tRNAはアミノアシルtRNA合成酵素に触媒されATPの加水分解のエネルギーと共役し、3’末端のアデニンヌクレオチドのリボースの水酸基にアンチコドンにマッチするアミノ酸を結合する。2.複雑な立体構造を取るが、二重らせんではない。4.ほとんどが100ヌクレオチド以下の小さな分子である。5.立体構造はL字型と表現される。塩基対の組み方でクロバー型と表現されることもある。
解答

96. 真核生物のリボソームの構造で正しいのはどれか。

  1. 沈降係数は70Sである。
  2. 大小サブユニットの複合体である。
  3. 28S rRNAは小サブユニットに含まれる。
  4. 18s rRNAは大サブユニットに含まれる。
  5. 大サブユニットはmRNAの結合部位をもつ。
解説
真核生物のリボソームは沈降係数60Sの大サブユニットと40Sの小サブユニットの複合体で、沈降係数は80Sである。大サブユニットには5S, 5.8S, 28Sの三本のrRNAとタウ数のタンパク質が含まれて複合体を形成する。小サブユニットには18S rRNAと多数のタンパク質が含まれる。mRNAの結合部位は小サブユニットにある。
解答

97. 真核生物リボソーム小サブユニットに含まれるのはどれか。

  1. 5S rRNA 
  2. 5.8S rRNA 
  3. 18S rRNA 
  4. 28S rRNA 
  5. H1ヒストン
解説
5S、5.8S、28SrRNAはは真核生物リボソーム大サブユニットに含まれる。5.H1ヒストンはヌクレオソームに結合しており、リボソームには含まれない。
解答

図について以下の問に答えよ。(98-99)

98. 図に描かれているのはどれか。

  1. 複製起点
  2. アミノアシルtRNA
  3. ポリリボソーム
  4. RNAポリメラーゼ
  5. DNA
解説
真核生物のmRNAにリボソームが多数取りついて、タンパク質を翻訳しつつある。このような構造をポリリボソームと呼ぶ。
解答

99. 合成途中のタンパク質はどれか。

解説
リボソーム大サブユニットからひも状に伸びているのがタンパク質である。
解答

図を見て以下の問に答えなさい(100~102)

100. 図は何を表しているか。

  1. mRNA
  2. ミトコンドリアゲノム
  3. アミノアシルtRNA
  4. リボソーム大サブユニット
  5. リボソーム小サブユニット
解説
3’末端にアミノ酸を結合したtRNA(アミノアシルtRNA)を示している。

tRNAは3つのループをもち、5’側から順に、Dループ(オレンジ色)、アンチコドンループ(青色)、Tループ(黄色)と呼ぶ。
3’CAA末端に結合しているのがアミノ酸である。

解答

101. コドンを認識するのはどれか

解答

102. アミノ酸を示すのはどれか。

解答

103. リボソームのペプチジル転移活性を阻害するのはどれか。

  1. リファンピシン
  2. エリスロマイシン
  3. クロラムフェニコール
  4. ストレプトマイシン
  5. ペニシリン
解説
a.リファンピシンは原核生物の転写を阻害する。b.エリスロマイシンはリボソーム大サブユニットのペプチド出口を塞ぐ。c.クロラムフェニコールはリボソームのペプチジル転移反応を阻害する(正解肢)。d.ストレプトマイシンは低濃度ではコドンの読み違いを誘い、高濃度では翻訳の開始から伸長への移行を阻害する。e.ペニシリンは細菌のペプチドグリカン合成酵素に結合し細胞壁合成を阻害する。
解答

104. リボソーム大サブユニットの説明で正しいのはどれか。

  1. mRNAと結合する。
  2. tRNAの3’末端にアミノ酸を転移する。
  3. ATPの加水分解活性をもつ。
  4. ペプチジル転移を触媒する。
  5. 開始tRNAと複合体を形成する。
解説
a. mRNAと結合するのは小サブユニットである。b.tRNAにアミノ酸を転移するのはアミノアシルtRNA合成酵素である。c.リボソームにおけるペプチドの延長反応は直接ATPが加水分解されることはない。d.Aサイトに入ったアミノアシルtRNAにペプチド鎖を転移する。(正解肢)e.開始tRNAと複合体を形成するのは小サブユニット、および幾つかの開始因子である。
解答

105. 翻訳後に小胞体に取り込まれるタンパク質の特徴はどれか。

  1. GTPと結合している。
  2. 電荷をもつアミノ酸が数個並ぶ領域がある。
  3. N末端に疎水性側鎖のアミノ酸が並んでいる。
  4. 遊離リボソームで合成される。
  5. 小胞体内腔側のリボソームで合成される。
解説
N-末端に疎水性のアミノ酸が8残基以上並んだ小胞体輸送シグナル配列があると、翻訳中にシグナル配列がシグナル識別粒子に結合し、小胞体膜上のシグナル識別粒子受容体に結合し、タンパク質輸送チャンネルからタンパク質を小胞体内腔に送り込む。タンパク質の合成は膜結合型リボソームで行われる。膜結合型リボソームは小胞体膜の細胞質側に結合している。
解答