携帯の電池が尽きるまで群馬旅行記
朝八時、北千住にて。七時半の電車かと思ったら七時五十一分だった。しかも茂林寺駅で車両点検が発生したとかで十分遅れ。まあ特急だから到着時刻には影響すまい。たぶん。
▲マニュアルフォーカスになってるの忘れててピンボケしてしまった
八時五十分
館林。埼玉の田圃は田植えが済んでいたが群馬にはいると麦畑が目立ち始めた。天気がいい。空がかすんでいて遠くの山は見えない。まだ十分遅れだと言ってる。あたしゃ予定の時刻に高崎にたどり着けるのかね。
[追記]
ほんとうに見事に群馬に近づくと麦畑になる。群馬の平野部は昔はあまり米作が盛んじゃなかったっぽいです。土壌の関係で美味しい米がとれないんだという話を子供の頃に聞いたような気がするけど、養蚕のほうが儲かってたから必死じゃなかっただけじゃないのかな。米を作ってる人は、裏作に麦を作るケースが多々あって、群馬の田んぼって冬でも遊んでない。田植えの前に麦が風にゆれてるのが初夏の風景。田んぼを休ませておく時は、昔はレンゲソウをまいて緑肥にしてたけど、今はやらないみたいだね。
▲これは伊勢崎市内で夕方写したもの
九時五十分
伊勢崎駅到着。時刻表を見ると次の高崎方面は十時二十分。ここからJRなので改札をでてみるが駅前に暇をつぶす場所などないのであーる。わたしがここに住んでたのは二十年以上前なんだけど、正直駅前はぜんぜん変わってないっていうか昔よりサビレてるかも。早くも電池があやしい。送受信時以外は回線を切ってるんだけどな。安いけど使えない。WSO11SH。
[追記]
駅前を大手町(伊勢崎にもそういう町名があるんだよー)の交差点あたりまで歩いてみた。町並みが異様に変わってない。二十年前どころか、わたしが子供だった三十年以上前から変わってないような気がする。でも、もうすぐ伊勢崎駅周辺の線路が高架になるらしいので、そうしたら町並みも変わってしまうのかな。
伊勢崎駅は駅舎がまだ古いままで、とても懐かしい地方都市の顔をしている。もったいないから駅舎はこのままで、中に入るとホームが新しいって感じにしてくれないかな。
▲伊勢崎駅。JR両毛線と、東武伊勢崎線が止まる。
▲高架にする工事が進んでいる。ああ、しまった、ホームの写真も撮ればよかった。
▲伊勢崎駅前。なんにもない。昔一度入ったことのある食堂がまだ看板を出してたから、やってるのかと思ったら中が自転車置き場になってたし。
▲三光堂書店、まだやってた。昔よくここで本買った。もうちょっと先まで歩くと新井書店という大きな本屋さんがあったのに閉店しちゃったらしい。
▲遠くに見えるお城みたいなやつは結婚式場らしい。昔そのあたりに「ショッピングセンター」と呼ばれるデパートがあった。エレベーターがピューーーン↑ピューーーーン↓という変な音を発してたのでのですごく印象に残ってる。田舎でデパートって言ってるやつはイトーヨーカドーレベルのやつななので、東京の人に言わせると「あれは百貨店ではないからデパートじゃない」らしいんだけど。数年前まで建物だけは廃墟のまま残ってた。とうとう取り壊されて式場に変わったみたい。
バスで移動中、十二時十二分
室田。群馬バスのターミナルがある。街道が集まってくるところだからなのか、このへんにしては町が大きい。でもサビレてる。自家用車が普及する前の町の名残なんだろうね。だいぶ山が近くなってきた。運転手が交代した。まだ電波はきてる。
そろそろ本気で電池がやばい。
十二時五十五分
榛名湖到着。一週間前にも来たばかりなんだけどさ。たった一週間で山は春から初夏になってしまったよ。八重桜が満開だけど、わたしが見たいのはこれじゃない。先週まだ咲き始めだった色の白っぽい桜は一週間ですっかり葉桜さ。ああ、今年も榛名湖の桜に負けた。もうちょっとするとツツジが見事だろうけど見たいのは満開の桜なんだよね。
湖畔でもウィルコムは電波がバリ3、いや4本たってるね。でも電池がない。次はソフトバンクからメール投稿かな。
▲榛名湖畔。左側はじに写ってる赤い花はヤエザクラ。見たいのはヤエザクラじゃないんだよねー。
▲湖畔の桜。これが咲いてるかどうか確認しにきたんだけど、すっかり葉桜だった。道路に散った桜の花びらがたくさん落ちてた。5月6日に来たときは、まだ葉が出ておらず、白っぽい花がちらほら咲き始めた感じだったんだけどねえ。
↓地図で言うとこのへん。
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[追記]
榛名湖の桜が一番見事に咲きそろう時期を狙って毎年頑張ってるんだけどうまくいきません。目的は桜なので、桜が終わってるのを確認するとやることがない。いや、景色は美しいし、いつまでもここにいたいという気持ちは大いにあるんですが、なんせ東京は遠くて、田舎はバスも電車もろくにないから、あっという間に帰る心配をしなきゃならない。
来るときの逆で高崎へ降りてもいいんだけれど、もう少しだけ楽しもうと思い、湖畔を半周してゆうすげの湯ってところまで歩いた。伊香保行きのバスがそこから出るはず。
道を歩いていると体操服姿の中学生が大勢歩いてる。すれ違う時にみんな「こんにちはー」と声をかけてくれる。うっ、これは紛れもなく高原学校の生徒だ。ってことはこっちの方向に高原学校があるはず。わたしも中学のときに「二泊三日の高原学校!」ってやつに来たことがあるんだけれど、正確にどこだったか場所をよく覚えてないんだよね。google地図にポイントされてるのはどれもこれも場所がデタラメだし。
すたこら歩いていたら、高原体育センターという看板を発見。ああ、そうか、この看板は友達の車で何度も見てるけど、正式名と通称が違うのでわからなかったんだなあ。
▲このオレンジ色の建物の入口に「来たときよりも美しく」というスローガンが掲げてあって、なんかすごく昔のままだった。
▲高原学校のカッター(船)。これで船をこぐ練習とかもさせられたねえ。で、湖から町を見たら、満開の桜に埋もれるようになってて、そりゃぁ綺麗で、その風景をもう一度見たくて、毎年桜の時期にチャレンジしてるわけ。でもなかなか見られない。
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▲壱つ岩という文化財の看板が出てた。どれが岩なんだろうってキョロキョロしてみたけど道沿いからはわからなかった。探したい気持ち満点だったんだけど、次のバスを逃すと一時間後なのであきらめた。どうせまた行くのでその時忘れなかったら探してみる。
十四時すぎた
まだ電池あるみたい。今日は風が強くて早くも天気が下り坂? 湖は大きな雲に覆われてしまった。青空も見えてるから下界は晴れてるかもしれないけど。あまりゆっくりしていると帰りがいろいろとあれなので伊香保・渋川経由で山を下りるよ。ちょうどバスがきたので乗りました@ゆうすげの湯、榛名湖
[追記]
お昼頃から急に風が強くなって、山の高いところに雲が集まってきた。榛名湖の水もざわざわ波立って、少し恐いくらいだった。バスで伊香保側に下り始めると、いきなりウィルコムは圏外になっていた(湖畔ではバリ4だったのに)。長峰自然公園あたりまで降りてくるとツツジが満開だった。伊香保の町ではウィルコムもソフトバンクもちゃんと電波が来てた。
さっきのタイトルちがってた
十四時過ぎじゃなくて十四時四十分ね。
[追記]
ほんとは伊香保の町を歩くつもりだったんだけど、強風が吹き荒れて空模様があやしく、バスがあと数分で来ることがわかったのでやめてしまった。いいんだ、榛名も伊香保も来年また来るし。ひょっとすると今年の紅葉の時期にまた来ちゃうかもしれないし……どんだけ榛名好きなんだよ(ちがう、桜が見たいだけ)。たまには赤城山とかも行きたいんだけどなあ。
▲空模様がこんななんだよ@伊香保のバスターミナル
で、十五時十分渋川到着。強風で沼田方はバスで代行輸送だって。わたしは逆方面行に乗るから平気。接続が良すぎて町を見る余裕なし。
珍獣 from j-phone
▲渋川駅。思いっきり工事中だった。そろそろお腹すいたので、渋川駅のまわりで何か……と思ったら、今も駅前に何もなかった。渋川まで降りてきたら空はきれいに晴れてた。高い山で雲がせき止められて平野部は晴れ上がり強い北風という典型的な群馬の空模様だわ。
ここまでのバス代まとめ
追記:伊勢崎で下車してから本庄で高崎線に乗るまで
強風で電車がおくれまくり、伊勢崎に到着した時は16:30をまわってた。伊勢崎経由でと思ったのは相川考古館で弾琴の埴輪(膝の上に琴をのっけて弾いてる埴輪)を見たかったからなんだけど、たぶん半には入場が終わってそうだし、歩いてるうちに17時になってしまうだろうな。
▲曲輪町あたりの裏道。左の塀の下から顔出してるのって土管だよねえ。昔は道じゃなくてどぶ川だったんですかね。
▲伊勢崎市のマンホール。真ん中の陰陽図(曲玉二個で円になってる図)は伊勢崎市の市章です。「い」をかたどるとともに、曲玉で古墳時代からの歴史を表しているらしいです。このあたり、小さな古墳がたくさんあります。
裏道をテクテク歩いて市立図書館横の橋を渡り、赤城山を見るとやっぱり分厚い雲がかかってる。強い北風が吹く時っていつもこんな。下を流れてる川は広瀬川(仙台のとは同名の別の川)。ここらも景色がいいよねえ。けっこう川幅があるんだけど、小さな橋がたくさんかかっていて便利だし(葛飾は中川や江戸川にかかってる橋が少なくてとてつもなく不便なんだよ)。
▲栄橋(図書館のとこ)から。遠くにうっすら赤城山が見えてるけど、写真じゃわからないかもね。
▲こっちは榛名山。ここから降りてきたわけよ。
川沿いを少し歩いて、町にもどりたいので次の橋でもう一度川を渡った。
もうすぐ17時だし、昼には遅く、夕飯には早いので、軽く焼き饅頭でも食べておくことにした。十日前くらいに通りがかった時、本局近くに古い店がまだ残ってたなあと思い立ち寄ってみることに。けっこう人気があって焼き上がるのを四、五人待っていた。店の人が「今日は売れちゃってアンコ入りしかないんだけど」と言うので、内心では餡入りは邪道だと思いつつ「あ、それでいいです。ひと串ください」と頼んだ。240円だった(餡なしは120円)。
▲郵便局の本局近くの焼きまんじゅう屋さん。
▲焼くときは串に刺さってるんだけどお持ち帰り用に抜いてくれた。
焼き饅頭は群馬の郷土食で、通常は何も入ってない白い饅頭を、ごっつい竹串に四個くらい刺して、甘辛い味噌だれを塗りながら炭火で焼く。駄菓子屋とか和菓子屋で作っているんじゃなく、たいてい焼き饅頭の専門店で焼いてる。昔はそういう店がけっこうあって、町中だけでなく郊外にもあったね。
わたしが住んでた名和地区はけっこう田舎で、もんじゃ焼きとかお好み焼きの店は見たことなかった(今はあるけどね)。でも、焼き饅頭屋はあったっけね。どこにでもあるものだと思ってたら、東京にはないって友達に言われてけっこう驚いた。
▲相川考古館。一応来てみたけどやっぱり閉まってた。風で電車が遅れてなかったら、ひょっとすると滑り込みで見られたかもしれないんだけどね。17時で閉まってしまう施設はついでに立ち寄るのが難しい。なかなか見られないなあ。
▲中沢肉店。すごい、まだやってた。
▲看板「ペットの専門薬局」ペット専門の薬局なんて新しいんじゃないかって思うけど、実は何十年も前からここにあったと思う。ボクサーだかなんだかの犬のマークにものすごく見覚えがあるし。
▲ペット専門の福田薬局。残念ながら木曜定休だった。
焼き饅頭をどこで食べようか考えてるうちに連取町まで歩いてしまった。開いた本と地球儀のモニュメントがある公園をみつけて饅頭を食べた。
▲この公園、昔来たことがある。シオカラトンボが大群で飛んでるのを見たのですごく覚えてる。ついでに本のモニュメントが謎で「何コレ?」って感じだった。
▲今井町のスケートセンター。たしか冬だけの営業だったと思う。中西工業って会社がやってる。
◎中西工業
http://www.nkk-nakanishi.co.jp/index.htm
冷凍関係の会社なのかと思ってサイトを探したら……うっ、ひどい。リンクが全部ローカルに貼ってあるじゃないか。恥ずかしいぞこれ。なおしたい、すっごくなおしたい。あ、でもスケートセンターのページだけはちゃんとリンクされてるのね。謎だわ。
▲今井町の布施肉店。昔ここで鶏モモとか肉団子とかを買ってた。今はやってないみたい。もしかすると新しい店舗がどっかにあるかもしれないけど探せなかった。
今井町あたりでバスに乗ろうか迷ったけれど、麦畑が夕日にはえるのを見てついつい名和小のあたりまで歩いてしまった。
▲まだこんなに広い農地が残ってる。ここ、たぶん夏になると水田になるはず。北を見ると赤城山がでーん。北西を見れば榛名山、南西には妙義山(写真に写ってる山はたぶんこれ)、南には秩父の山がぐるっと見渡せる。
名和小の前でバスに乗ろうと時刻表を見たら、時刻通りなら4分前に通り過ぎたみたいだった。4分くらいなら遅れて来る可能性は高いんだけれど、どうしたものかな。堀口町のバス停も近いはずなので、そこまで歩いてみた。その間追い抜かれていない。うーん、どうなんだろう。次は15分後くらい。15分もダラダラ待つなら次のバス停まで歩くかそこらを散歩したほうがいいんだけど。
堀口町の交差点で先に行くべきかどうか迷ってたら後ろからバスが来た。わー、乗る乗る、止めて止めてーとお願いしたら、曲がったところで止まってくれた。ああよかった、乗れたー……って、えっ、曲がった? このバス曲がったわよね。本庄行きって書いてあるけど曲がった。がーん、東武バスが撤退して十王交通がやるようになってから経路が変わったのか。東京福祉大学ってところと板東小を経由して、八斗島あたりで昔のルートに戻るみたいだった。危なかった。知らずに歩いてたら八斗島まで歩かされてた。
本庄にたどり着く頃黄昏時になっていた。だいぶ日が落ちてたけど、まあなんとか町を探索できる時間。本庄も懐かしい。昔何度か映画を見に来たことがある。映画館は……バスの窓からそれらしい場所を探したけれど今はなさそう(まあそうだろうな)。駅の南側にあった おわりや というデパート(これも東京ではヨーカドーレベルのものだけど)にもしょっちゅう買い物に来てた。今はでっかいスーパーだかショッピングモールだかになってるみたい。
とりあえず電車の時間を見たら……げっ、あと5分くらいすると通勤快速とかいうのが来るではないか。あまりにも良すぎる接続にまたもや負けた。これに乗って帰ります。弱いです、わたし。
▲本庄の駅前(北側)。ロータリーの向こう、角にあるのはミスド。ここのミスドは20年前にはすでにあったと思う。今はわかんないけど当時は始発前から開いてたような気がするよ。珈琲のみながら上野行きの始発(たぶん)を待ったことがあるもん。このあたりに昔は繭人形を売る小さな店があったはず。蚕の繭を切ったり貼ったりして干支の動物にしたりする小さな民芸品だった。今はそんな店はないみたい。
本庄駅といえば、昔は積み木を重ねたような可愛い形の駅舎だったはず。関越新幹線が通る計画がかなりまことしやかになった頃、それと関係してかあるいはまったく無関係なのか、駅舎を建て替えられてしまって、今では面白くもなんともない駅舎になってる。オモチャの家みたいな建物は、当時でも「これは貴重なんじゃないのか」という話が出ていて、どこかに移築しようっていう計画も出たと聞いたけど、どこへ行ったかは耳にしないのでやっぱり取り壊されちゃったのかな。新幹線の駅は、本庄駅からちょっと離れたところに本庄早稲田駅というのができた。
早稲田というのは東京の早稲田大学の早稲田で、このあたりにセミナーハウスを持ってる関係らしい。今は早稲田の高等部が本庄にあるっぽいです。わたしが中学の頃、早稲田の分校みたいなのが本庄にできるという噂があって「ほんとに早稲田の高校が来るんなら、冗談で受けに行くよねー。早稲田受けたけど落ちたのって言いたいもん」などと友達と言い合ったのを思い出す。わたしたちの高校受験には学校が間に合わなかったし、そもそも2007年まで男子校だったらしいけど。
上野行の電車にのった
本庄も懐かしいので歩きたいんだけど余りにも良い接続にまけてのってしまった。余る話は帰宅してから。
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