『チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白い!2012〜ぶちかましじゃい〜』に参加!

 今年も、ブログ『漫画脳』様の企画、チャンピオン読者が選ぶこのマンガが面白いに参加させていただきます。

概要はこちら。
祝『BJ創作秘話』本家このマン1位獲得!今年もやります「チャンピオン読者版このマン」!


 宝島社から発売されている本家『このマンガがすごい!2012』では、週刊少年チャンピオンの『ブラック・ジャック創作秘話』がオトコ編第一位を取るというチャンピオン読者にとって非常に嬉しい結果になりました。
 またオンナ編の一位も同じ秋田書店の『花のズボラ飯』ということで、秋田の時代が来ていますよ!
 ……と言いながら秋田書店部門(週チャン作品除く)は今年も不参加です。理由は去年と同じで週チャン以外の秋田書店作品の単行本購入数が少ないためです。
 秋田の時代は来ているというのに私がそのビッグウェーブに乗っていませんでした。
 ただ2011年は初めて週刊少年チャンピオン以外の秋田書店の雑誌を購入したという意味では一歩前進した気がします。
 もし来年があるのならこの部門にも参加出来るようになりたいです。


 秋田書店以外部門

1位 『兎の角』 睦月のぞみ
エンターブレイン 2011年8月11日に2巻発売 Fellows!連載

兎の角 2巻 (ビームコミックス)

兎の角 2巻 (ビームコミックス)

 やらしくかわいくおもしろく。ちっちゃい身体ででっかい鈴もって物理的に殴るアヤと、大きいおっぱいと愉快な精神のお嬢様イズミのバディ退魔ものなのですが、退廃的な空気や、コメディに隠されたホラー描写からは本物を感じます。条件付きで百合と言われることが多いような気がしますが、百合としても本物です。
 これはガチ百合作品ですぜ。


2位 『兄さんと僕』 西 炯子
白泉社 2011年9月5日に発売 全1巻 MELODY連載

兄(アニ)さんと僕 (花とゆめCOMICS)

兄(アニ)さんと僕 (花とゆめCOMICS)

 落語の大名人に弟子入りした間抜けなわん小(25)と、その兄弟子にして名人の孫の小学生小いぬ(11)の落語のような日常コメディ。
 与太郎のようなわん小が何故かモテるのが好きで、そのわん小は兄さんの小いぬ一筋なのがまた好きです。


3位 ごっこ 小路啓之
集英社 2011年12月19日に2巻発売 グランドジャンプPREMIUM連載

ごっこ 2 (ジャンプコミックス デラックス)

ごっこ 2 (ジャンプコミックス デラックス)

 血のつながらない父幼女ものにして禁断の親子ごっこ。ありえないのに、ありうるとしたら怖いくらいにリアル。親子関係を形成するための土台が劇薬すぎていつぶち壊れるのかという緊張感と歪なキャラクター達が親子の愛を際立たせてくれます。
 人間失格状態から、偽りの娘を手に入れることにより少しずつ真っ当な人間に、そして親になっていく様には、きちんとした育児漫画としての側面もあって侮れません。
 


 週刊少年チャンピオン部門


1位 モメンタム 濱口裕司

モメンタム 1 (少年チャンピオン・コミックス)

モメンタム 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 新連載予告を見たとき、私はこの作品を舐めていました。読み難くつまらない作品になりそうだと思いました。それがいざ読んでみると驚くほど面白くすっかりファンになってしまいました。描かれる思想、ドキっとさせられる台詞、大胆な画面構成、それらを活かす印象的な演出は退屈とは無縁で、何が飛び出してくるのかわくわくとページをめくることができました。2巻以降ダシタイナの常ですが、未収録部分こそ読んでほしいんですよね。



2位 空が灰色だから 阿部共実
 お空は灰色、誌面は玉虫色。毎週色々な意味で心が削り取られていくのですが、それがまた心地よく、どんどん罠にはまっていっている気がします。
 連載決まったときは毎週このクオリティでいけるのかと不安になったりもしたんですが、杞憂に過ぎなかったことに嬉しい悲鳴を挙げています。



3位 りびんぐでっど! さと

りびんぐでっど! 1 (少年チャンピオン・コミックス)

りびんぐでっど! 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 ゾンビ少女キテル……。女の子は可愛いし、ギャグは面白いし、ゾンビが苦手な人でも楽しめるつくりでありながら、ゾンビ要素はけして少なくない按配がいいですね。
 もなこを面白可愛いと思っていたらいつの間にかゾンビを面白可愛いと思えてしまうような。断面みられて恥ずかしがってる姿にドキっとしているといつの間にか断面だけでドキっとしている自分に気付くような。広がれ性癖! 
 まあ私は水森アンリちゃん派なのですが。それはそれとして一番かわいいのは単行本1巻折り返しのさと先生ですけどね。垂れ下がる眼球……いいよね。



4位 囚人リク 瀬口忍

囚人リク 1 (少年チャンピオン・コミックス)

囚人リク 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 何よりも思うのは、上手い。もう感心しっぱなしですよ。「少年に過酷な運命を背負わせる」物語で、逃げやごまかし、変なかっこつけが無く、エンターテイメントとして面白い。これは凄いことだなと、毎週思っております。
 スラムだろうと刑務所だろうと生き抜いていくのに大切なものがじっくりと描かれていて非常に好ましい作品です。



5位 さくらDISCORD 増田英二

さくらDISCORD 1 (少年チャンピオン・コミックス)

さくらDISCORD 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 さくらの名を持つ男女六人青春物語。
 何も起こってないような気がするのに、何が起こっているのかわからないのに、とんでもないことが起こっているような気がする描写は絶品です。
 とはいえ一番の見どころは、彼らの笑顔でしょう。影の要素が強い作品ですが、だからこそ一点の曇りない笑顔はとても美しく見えます。未だ問題が解決していなくても、その笑顔は本当に楽しそうで、彼らがみんな憂いなく楽しい青春をおくれるようになればいいと思います。


 以上、本年初にして久しぶりの更新でした。
 まだ書きたいことはありますが、企画の〆切ギリギリなので後日、別記事で選外作品羅列とかしたいと思います。

魚屋さんはかっこいい! ―『行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ』1巻―

行徳魚屋浪漫 スーパーバイトJ(1) (少年チャンピオン・コミックス)

行徳魚屋浪漫 スーパーバイトJ(1) (少年チャンピオン・コミックス)

 緑のエプロン、白い長靴。漫画家のNJ先生はスーパーの鮮魚部で絶賛アルバイト。日記マンガが受けるとあらば、そいつをネタにするしかない!
 『行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ』はギャグ漫画家、沼田純による実録魚屋アルバイト日記漫画です。作者はこの作品以前から鮮魚売り場に勤めていることをネタにしていたので、ファンにとってはついに、NJ先生の魚屋のベールがはがされたという感慨深い作品であります。当初は短期連載だったものが正式連載へと格上げされ、とうとう念願の単行本化に至りました。週刊連載といえども、1話4Pという短さからこの1巻には35話までが掲載されています。つまりは35週分、その長さを思うと喜びも増すというものです。

 それではこの『スーパーバイトJ』はいかなる日記漫画なのか。

魚屋さんはつらいというイメージがありますが
それに勝るかっこいい所がいっぱいあるのです

 と作中にも書かれているとおり、魚屋さんの良さを伝える漫画でありましょう。この漫画を読めばスーパーの鮮魚部で働きたくなること請け合いです。
 パートのおばさん(■十台)は可愛いし、社員である主任は怖くもかっこよく(そしてこれまた可愛く)、基本的に最低なおじさんアルバイトは意外と侮れない。バライティ溢れる同僚と、お魚ネタの数々。魚介類薀蓄も身に付き、スーパーで出会う鮮魚部の方々を見る目も変わることでしょう。
 そう、魚屋さんはかっこいいのです。
 マグロの解体ショーという本格かっこよさから、ウミヘビを仕入れるという一味違うかっこよさ、パートのコジマさんの男前なかっこよさ、冷凍庫に入ったときに出る白い息が達人の息吹っぽいかっこよさ、バレンタインに刺身とチョコを抱き合わせるかっこよさ。
 様々なかっこよさを、時には楽しく、時には面白可笑しく描く、〝ギャグ〟日記漫画。それが『スーパーバイトJ』なのです。

 ちなみに、私が真似したいと思うかっこよさは「む、現れたな、朝6時!!」です。ただの六時起床を、かっこよく表現できる、かっこよさ探しの名人、それが漫画家、沼田純だと思います。
 もちろんかっこよさ以外にも、何気ないところから楽しさを、パートのおばさんや初老の編集長からかわいさを、そして何より面白さを。
 日常のバイト生活から毎週ギャグ漫画を作り出す、その才能が、今度こそ結果となって花開きますように、と2巻発売を祈りまして、筆を置くことにします。
 次巻も、スーパーバイト!

「良い流れ」を生み出す表現に反則なんて無い ―『モメンタム』1巻―

モメンタム 1 (少年チャンピオン・コミックス)

モメンタム 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 2011年週刊少年チャンピオン新連載のバスケ漫画、『モメンタム』1巻が発売しました。同時期に連載を開始した『囚人リク』『てんむす』と共にチャンピオンの最前線を盛り上げています。

 タイトルのモメンタムとは流れのこと。良い流れ、勢い、そういったものを呼び込む男、名和菊苗が、(反則をしながら)ダンクを決め、それを一人の男が見たところから物語は始まります。
 が、ここでは物語――ストーリーではなくコマ割りの話をしたいと思います。

 モメンタムの絵が上手いと言われることはあまりないでしょう。下手なのかどうかは意見が分かれると思いますが、決して上手い絵ではありません。表紙絵ひとつ取っても、そう思います。
 モメンタムのその表紙をめくった先にある本編、ページ全体から受ける印象は独特です。それは絵だけが理由ではありません。コマ割りが非常に重要な役割を果たしています。
 モメンタムには小さいコマが多用されます。そしてその小さいコマは時に、大ゴマの一角を削り取った場所に配置され、焦点をコントロールし、大ゴマによって描かれる『モメンタム』をより印象的にしています。
 例えば、冒頭の反則ダンクシーン。
 リングに片手をかけ身体を持ちあげるぐいっという動き。最初のページからこの手法が使われています。もちろんその部分だけなく、そのページの全てのコマ、コマの中の絵、そして次のページと繋がることでより効果的になっていまして、この最初のダンクシーンは雑誌で読んだときからお気に入りです。
 また、リングにボールを叩きつけようと反り返る一瞬、高く跳ぼうと膝を曲げ僅かに前のめりになる瞬間、このような次の大きな動きを予感させる溜めを効果的に描いている箇所には、『モメンタム』という作品自身の今後を期待せずにはいられない魅力があります。
 作者、濱口裕司は新人です。
 それゆえにその表現には思考錯誤が垣間見えます。コマの枠線を太く描く、という試みをし、それが不評だったため数週で元に戻すといったこともありました。そういった不安定さの中で、きらりと光る演出が見逃せません。そしてその輝きは連載が進んでいくごとに、よりまばゆくなって来ているように思います。
 ストーリー、キャラクターの面白さといった面ももちろん魅力的です。ひと癖、ふた癖もあるキャラクター達の心打つ物語、青春バスケ漫画なのです。絵柄で敬遠されがちな本作ではそちらを褒めるのが真っ当かもしれません。しかしだからこそ今回はそれらを支える(もちろん、一方的ではなく相互作用ではありますが)コマ割りが良いと紹介することで、レビューと代えさせて頂きます。
 漫画としてちゃんと見所のある作品ですよ、と伝わったなら幸いです。
 余談ではありますが、カバー裏は前述のダンクシーンの一部が使用されており、背景が黒くなったこともあって、かっこいい仕上がりになっています。1冊の本としても見所多数ですよ!

週刊少年チャンピオン  2011年22・23号感想

定期的に止まってしまうチャンピオン感想ですよ。復活!

範馬刃牙 板垣恵介 第250話/史上最強の親子喧嘩
 決戦を前に4週休み、「見て来た!アイツらヤってる!」の一言や、真っ白な見開きで「想像せよ…」とだけ記すことによって、否が応にも盛り上げてきた刃牙と勇次郎の親子喧嘩がついに始まりました。
 父からテーブルマナーを教わりながら、料理を食し、苦いコーヒーを無理して飲んで、もっと苦い会話――母を殺した理由を問いただしました。復讐でなくとも、理由を知ることは息子の権利。味の好みや洗い物をするかどうか、という日常のすれ違いによる喧嘩の始まりでは無かったにしろ、両親の仲への長年の疑問の解決のための立ち合い、親子喧嘩なのでしょう。
 尻を叩いて衝撃、という一撃には範馬刃牙初期の妄想巨大カマキリ戦のときに、ルミナに対して刃牙がした行為を思い出します。苛められてる小学生と範馬刃牙開始当初の刃牙と同じくらいの実力差が刃牙と勇次郎の間にあるとかそういうことはありませんよね。


被害妄想少女うれいの日常 中村ゆきひろ 第8話「秘密編」
 最悪は想定出来ても、現実的な悪い未来は想像できない……漫画ネガティブの限界! 8話なんですけど、これの感想初めてなあたり、ずいぶんサボってたんだなあと思い知らされますね。とはいえ、結構感想書きにくくて困るタイプの漫画ですね、これ。


弱虫ペダル 渡辺航 RIDE.157 薬局までの3km
 インターハイ二日目が終わり、作戦通りに制することが出来ず心折れた御堂筋。3日目を棄権し、部を辞め京都に帰ろうとする彼を救うヒーロー小野田坂道! というのが先週でした。いえ、先週ではまだ救ってはいないのですが、ザクとか量産型とかいう御堂筋にオタク要素を見出し会話を求める坂道と勝負することになった御堂筋。弱虫たちをペダルで救う主人公ですね。二日目は少しだれていた面もあったのですが、先週で一気に盛り上がりました。そして今週、自転車に乗ることは楽しいという基本を御堂筋に思い出させるという「自転車の根源的な面白さを見せる」坂道の魅力が発揮されました。それはそのままこの漫画の根源的な面白さだと思います。この2週はほんと素晴らしかったです。


毎度!鉄筋浦安家族 浜岡賢次 27キンポ★空飛ぶ10時半
 浜岡先生の画力は偉大ですね。3Dの表現が迫力で、勢いがあります。


侵略!イカ娘 安部真弘 第185話・面と向かわなイカ
 清美と早苗の邂逅――そこから導き出される物語は清美マジ天使! 今週は歴代でもかなり好きな話に入る気がします。清美と早苗の組み合わせはすっごくいいですよ。


てんむす 稲山覚也 第13話・誰がために
 食い道部始まりの過去編にしてマネージャー忍足さんと立浪部長の出会い過去編。女の子たちの戦いにおいて、それを見守る男の子たちは、まさしくヒロインであり、応援することの意味を認識させつつ女の子たちの可愛さまでも描く隙のない構成。しかし忍足先輩は良いキャラクターですね。当初は意外性を押してる感じもありましたが、先輩としても、男の子としても、コメディ要素としても、素晴らしいですよ。それを言うと全キャラ好きですけど。


行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ 沼田純 第47話・ゼブラ野木工場・死闘編
 ついに待望の単行本発売も決定し絶好調なNJ先生ですが、先週今週と工場にやってきています。流行に乗ってるのでしょうか。やってきているのは漫画家としてはペン先でお世話になってる文具メーカーゼブラ。「くっ!! このシマウマ(ゼブラ)肉食だぜ!!」というセンスが大好きです。


バチバチ 佐藤タカヒロ 第96話/単純
 4日目まで全員2勝0敗という幸先のよいスタートを切った9月場所。5日目の鯉太郎の相手は、先場所唯一土をつけられた、そして教習所では身体の出来の差で当たり負けまでしたドングリこと渡部。先場所では一番パワーが無さそうで、だからこそ頭を使うタイプのように描かれていましたが、身体の出来あがった渡部は立ち合いの変化に頼る必要すらない――だからこそ! 渡部が頭を使っているのは、この一勝負だけではなく、この場所全て、そして今後の相撲人生全てにおける戦略のためなのだろうなと思います。鯉太郎は3年後の稽古をしてるけど、彼は3年後の戦いを。今場所も、来場所も勝つための一手。そんな気がしますね。とはいえ立ち合いの変化にやられてはいますが、これだけでは終わらない鯉太郎でしょう。次号、期待で。


クローバー 平川哲弘 第197話 ボウズとロン毛が探しているモノ
 真木は釣りも上手くなって、他所の人から狙われて、ずいぶんと主人公みたいになってますね。六鬼會は思いのほか何度も話に関わってきますね。


シュガーレス 細川雅巳 Vol.63 駆逐
 若い男が、好きとかホレるとかホレされるとか! という感想はひとまずおいといて、このブログでは何も語らずに置いておきますが、椎葉岳のさすがのかっこよさですよ。立ち上がることが重要とされるシュガーレス世界で、気絶から3ページでの復活を成し遂げたり(そもそもその価値観の第一人者)、自分のために力を使うから誰といても1人で立てるという発想を叩きつけます。一人の力というのも、この漫画の根幹ですね。そりゃあ椎葉岳がかっこよくないわけがありません。とはいえ、作中の最強のシャケと肩を並べる実力の持ち主と遭遇してしまっては……勝ち目はまったく無さそうですが。


ドカベン スーパースターズ編 水島新司
 まあ光が新人かつ投手歴1年未満であることを踏まえると全部山田が悪いですね。さすが横には弾かないって言われたところで、もう弾いた時点でアウトですよ、3塁ですし。


囚人リク 瀬口忍 第12房 呼吸
 刑務所内ラグビー編、終了。ひたすらに泥臭く(実際にキャラクター達は泥まみれです)、ハードな展開が続くのに、絵柄も雰囲気も非常に読みやすく気取ったところもなく、本格少年漫画とでも形容したいところです。
 ついに刑務所側の人間に善人というか普通の感覚を持った大人が登場しました。まるで男子高にいる保健室の先生みたいな感じになってしまっていますが、リクに取って優しい大人=おじさんだけというのが見えて切なくもなりました。


ましのの 八谷美幸 第6話 いちもうだじん【一毛打尽】
 毎度ばかばかしいエロネタで人気を得たのか、先週からましののが復活してきました。今週は読者的には同じだけどましの的にはエロ要素が無いので、少し毛色が違う話になってます。一番のセクシーショットは寝起きの母親だと思います。


ANGEL VOICE 古谷野孝雄 第195話 最後の力
 習志野実業戦、延長後半3対4。その土壇場のプレイで、仲間の指示が聞こえない状況、そこを全員が叫ぶという熱い展開がきました。百瀬さんをここで頑張らせても大丈夫なのかと心配していますが、とにかく演出のうまさがさすがです。


ハンザスカイ 佐渡川準 第64話・真鍋の跖
 必殺技でないただひたすらにたゆまぬ稽古の結果での速さでリーチの差を埋めた真鍋。(名前のつく技ももちろん稽古の結果なわけですが)達人同士の戦いという感じで、好みです。青柳先輩が一本を取る描写、脚だけを映すのには痺れました。


ナンバデッドエンド 小沢としお 第121話 いつもの夜
 サブタイトルがきついですね。更生したはずなのに、襲いかかる理不尽。今までいっぱい殴ってきたからしょうがないと剛は言いますが、だからと言って無関係なやつらから殴られるのは。それもとばっちりで。それが「いつもの」と言われるとは……小沢先生の容赦ない追い込みはまだまだ続きそうです。しかし、今回猛のことをわざわざ教えちゃった彼は、ケンカして先生に言いつけてやるって泣きながら言う子どもみたいで、こんなやつに友達(ツレ)と言われるのも、と複雑な気持ちになります。余計なことを言いやがってえええええ。


王様日記 森田将文 第6冊/丘の上の犬
 もっと霊界バトルになるのかと思いきや日常の事件解決で本編を進めてきた王様日記。今回は、犬のお話。良い話でしたが、死という別れを出したことによって、作品も最後の一山への流れが出来たというところでしょうか。


はみどる! まりお金田 59曲目:ときめきたいの
 Ki-RITANPOとは互いにライバル意識を持ちつつ、自然にアドバイスする良い関係ですね。しかし、無理やり入ったとはいえ、中で暴れたわけでもないのに壊れるとは、ちょっとページ数足りない感じのオチだったかなーという気もします。


モメンタム 濱口裕司 第14話/壁!?
 足攣る様を、描き文字の!が脚を貫くように描くのはなかなか面白い描写でした。スクリーン2発で3Pシューターにノーマークを作り、なおかつスクリーンアウトで3人に内側に入られてるとか、どんな守備をしているんだと思わざるを得ませんが、そこで放たれるシュートは良い感じに空気が変わってました。まずは目の前の相手に集中、という意味で上手い試合開始でした。


ケルベロス フクイタクミ 第六十五刻 俺が、必ず
 眠り続ける母の顔と、泣き叫ぶ景の顔の対比がもう見てられません。景も雪房もこれだけ苦しんでいるというのに、「真の苦悶はここから始まる」と煽られた二人の運命は……もうやめてあげて!


キガタガキタ!〜「恐怖新聞」より〜 原作つのだじろう 漫画 西条真二 第37話「鬼形影2」
 キガタになり替わろうとする影、ということですが、成り代わりが成功すると立体化するということなので、彼は今平面なんですね。影ですし。その辺りに反撃の糸口がありそうな感じですね。


木曜日のフルット 石黒正数 カナモギの巻
 サンタから貰ったケーキとでも言っておけばよいものを! 無駄な見栄を張るフルットでございました。


 次号、とても大好きだったゾンビ少女コメディ「りびんぐでっど」が蘇り連載らしいですよ。この書き方だと本連載の可能性もありそうですね。楽しみです。

魔法少女は、終わらない!

 止まっていた時間が動き出した気がしました。魔法少女まどか☆マギカ最終回まで観終えまして、何かくすぶっている感じがするので適当に書き散らそうと思います。以下ネタバレを含むので仕舞います。(仕舞うのやめました、2011/4/30)



 さやか。そう、さやかですよ。マミさんが紅茶を入れて、杏子がケーキにかぶりついて「で、さやかは?」と思いました。「ああ、魔女化したから、ここにはいないのね」とすぐに気付きました。まどかが魔女化した少女達を次々に救済に行くシーンで、彼女が天使にも見えました。これで最後にさやかを、絶望に塗れたさやかを救いに行くのだと、そう思いました。さやか、待ってろ、今まどかが行くぜ。こう思ったとき、私の中で初めてまどかが主人公に見えました。あれ、これまどかについてですね。


 マミさん。最終話でようやくマミさんがどんな人だかわかったような、あるいは結局わからなかったような気がします。2話までに、もしくは4話でわかることが出来たならなーとちょっと悔いは残ります。


 虚淵玄。私はFate/ZERO1巻(同人版)以来の虚淵玄でした。そこに書かれているあとがきを読むと、まんまのことが書かれてあったりするのですが、バッドエンドでは無かったにしろ、病気は治っていないのではなかろうかという思いが沸き上がりました。舞台が要求する落とし所に落ちた感じですね。まどかはねじまげたけれど、シナリオライターとしてはねじまげなかった(られなかった)のではないかと思います。ねじまげる必要の無い舞台を整えたとも言えますし、ここ4年間の活動を知らないので、的外れかもしれませんが。

 ふと封神演義藤崎竜)を思い出しました。あれは順序は逆ですけど、主人公たる太公望がそうなりかけたのを妲己が代わりになったとも言えますね。「女の行きつく先が太母」だったように、少女がなるべきも母だったのかと思いますが、地球規模なら母でもまどかは規模が大きすぎて母になった感じはあまりしませんね。その分、実の母が最後にほむらと出会ってよかったです。
 まどかマギカ。とても楽しく面白く、魅力ある作品でした。
 ちなみにタイトルは最終回観終わった後、ツイッターにポストしたんですけど、気に入ってしまったのでここでも使いました。狭義も広義も正統も邪道も巧も拙も本質も上辺だけでも子供向けも大人向けもオタク向けも、魔法少女がするべきことも、出来ることも、まだまだ観たいですね。私の中の魔法少女熱は一向に冷めそうにありません。

あえて、止める! ―魔法科高校の劣等生読み中―

 電撃文庫MAGAZINE Vol.19にてイラストと告知が掲載され、ツイッターの公式アカウント@dengeki_mahoukaも開始して、盛り上がってきている魔法科高校の劣等生ですが、私はこのたび3章を読み終わりました。
 今頃かよ! と突っ込みを受けそうなほどゆっくりとしたペースです。元来ちみちみと読むタイプなのですが、今回はちゃんとした理由があります。ですので、3章については感想ではなく、その読み方について、少し語ってみようと思います。

 小説家になろうに掲載されている魔法科高校の劣等生〜初年度の部〜の連載は、2008年 10月 12日に始まりました。私が読み始めたのは、それよりも2年以上遅れてのことでした。そのときには既に第六章の途中を更新されており、120万文字以上の道のりが存在した後発組です。

 連載のある漫画にしろアニメにしろ、シリーズとして続く小説にしろ映画にしろ、リアルタイムで発表と同時に受け取ることが出来ればそれに越したことはないのですが、どうしてもそうは出来ないことがままあります。一方、後から追いかけていく後発隊は、気になる続きを一気に読めるという利点があります。だから私も時間が許す限り、そうして一気に読んでいけばよかったのですが、第三章については、あえてそうしませんでした。

 「レイニー止め」という言葉があります。マリア様がみてるシリーズ10巻目にあたる「レイニーブルー」から11巻目「パラソルをさして」、リアルタイムであればその間3ヶ月をやきもきしながら過ごすこと、あるいその状態を言いますが、これを後発組が疑似的に体験する(させられる)ことがあります。かくいう私もマリみてを友人に貸すときに「キリがいいからとりあえず10冊ね」ともっともらしく「レイニーブルー」までを貸したことがありました。

 それと同じことを今回したわけです。具体的には3-(15)でおよそ2週間止めました。更新の日付を見れば、その3-(15)が発表された2009年12月30日には3回の更新が行われております。(その前日にも更新あり)精力的に更新されているとはいえ、そのペースはどうしても2009年中にそこまで発表したかったという作者の想いが伝わってきます。そしてそこを読んだ私には、年の瀬になんちゅうことしてくれたんじゃああああという当時の読者の叫びが聞こえてきたのです。ならば私も、待とうじゃないか、時を隔てても、想いはひとつ!
 というわけで、3章を読み終わるまでにかなりの時間をかけてしまったわけです。

 全てのタイミングでリアルタイムどおり間を空けて読むのは、さすがに難しいところですが、要所ではそのようにするのも良いのではないでしょうか。例えばBD・DVDで魔法少女まどか☆マギカを一気に観るときに、10話でちょっと一区切りつけてみるとか。

 発表されている分だけ一度にだだーっと読めるのが後発の利点ですが、その利点をあえて置いておく読み方というのも、またおつなものと言えるのではないでしょうか。