象られた力
著者:飛浩隆
発行者:早川浩
発行所:株式会社 早川書房
2004年9月15日発行
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「おまえは・・・・・・だれだ」
「知りたいか、緒方」落ちつきはらった声だった。「教えてやろう。だがその上等の耳はくそで塞いどけ。それは必要ないのだ。なぜって、おれの名は音ではないからな」
声の主は、名乗った。音でない名乗りが、なされた。
冷気。死臭。
今度はそれが、ぼくの中から襲ってきた。
きっとベッドの上であびてから、それはずっと身体の中でしずかに機会をうかがっていたのだ。自分の吐く息が、舌に霜が降りそうなほど冷たかった。思わず頬を覆った両手にはあの悪臭が染み付いていた。
「デュオ」より抜粋
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「デュオ」
「呪界のほとり」
「夜と泥の」
「象られた力」
結構前に読了していたのですが、感想を書いたつもりで書いておらずこのざま。いけませんね。最近自由な時間が増えて本を読む時間が増えるぞ!と意気揚々としていたのですが、自由な時間程「後で後で」と思ってしまい、やっぱり時間は縛ったほうがいいのでは?という日本人的考えを持っているのだなぁと痛感しております。
そんな事はさておき。
大好きな飛先生の作品。表題「象られた力」は第26回日本SF大賞受賞作品であり、読むのを躊躇っていたりしておりました。知人が「早く読め」と声を踊らせて言うので、その時読んでいた本を読了後すぐさまとりかかったという感じでしたね。
「呪界のほとり」も「夜と泥の」も、勿論「象られた力」も素晴らしかった。だけど一番初めに載っていた「デュオ」に私は心を全て奪われました。
小説を読む身として、この作品に出会えた事が嬉しかった。
テーマは「音楽」と「生と死」。音楽漫画や音楽小説は数多くあるけれど、ここまで心惹かれる物が果たしてこの後出現するか私は答えを弾き出せない。
寧ろ、「デュオ」が自分の中で一番愛してやまない「音楽小説(分類の仕方がおかしいかもしれないけれど)」がこれであって欲しいという願望が強い。
内容は"双子の天才ピアニストをめぐって"と言うと言い得て妙だが正しいと思う。
とにかく読んで欲しい。「デュオ」が気に入らなければその他3作品どれかが、いや、もしかしたらどれもがヒットするだろう。
是非。ここまで推せる本はまず、無い。
- 作者: 飛浩隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/09/08
- メディア: 文庫
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サゴケヒ族民謡の主題による変奏曲
著者:田中哲弥
イラスト:FooSweeChin
発行者:鈴木哲
発行所:株式会社 講談社
2010年10月1日 第一刷発行
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当然まったく意味はわからなかったが、この状況この人物から想像するに、報告によると君は昨日ルームメイトに暴力を振るったそうだね、さっきは歌を歌わなかったそうだし、なぜそんな態度を取るんだね?私は君の味方、みたいなことなのだろうと雄樹は思った。
「ぼくは辞めます」英語でそう言った。どうせ通じないと思うといらいらしたが、自分のことを反抗的で粗暴だと考えている連中に対してこれ以上勘違いされるようなことがあっては面倒だと自分に言い聞かせ、雄樹は努めて穏やかな物言いを心がけた。「ウィーンのラタキ先生に電話させてください」
「ふぉっくしょすすしゅしゅー?」
「まなるがならむすのめのがが?」
「ウィーン。ラタキ先生」雄樹はゆっくりと言った。いくらなんでも固有名詞ならわかるのではないのか。「電話」と言いながら電話をかけるジェスチャーもしてみた。
「しゅぷー」
「ござかな?」
二人とも決してふざけているわけではなく、なんとも雄樹の言葉を読み取ろうと努力はしてくれているのだが、やはりなんにも伝わらないようだった。
「サゴケヒ族の主題による変奏曲」より抜粋
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「サゴケヒ族民謡の主題による変奏曲」
「夜なのに」
「夕暮れの音楽室」
「坂の中の坂」
「おさと」
「はかない願い」
「隣人」
「従姉の森」
「猿駅/初恋」に続く田中哲弥本読了。まぁ、なんともこの人は読み手を選ぶ文章を書くのだろうと思った。
難易度としたら「猿駅/初恋」よりも極めて高いんじゃないのだろうか、と思う。いや、「猿駅/初恋」も非常に難易度が高いんだけれど、ラストに潜んでいる物語に救いがあった。けど、今回は無い。救いとするなら「夜なのに」がまだ救いがある物語かもしれないのだけれど、その後の「夕暮れの音楽室」で其れをぐちゃぐちゃに踏み潰されてしまう。
表題作「サゴケヒ族の主題による変奏曲」は、どう崩していくのだろうと思ってわくわくした。と、いうよりも先が見えない。鍵括弧内の言葉も意味が分からず、そして最終的にも何を言っているかがわからないのだ。答え位くれればいいのに其れもない。その恐怖も結構強かったりする。
「隣人」は挫折してもいい、と思う。と、いうかこの人は糞尿や血やグロテスクな汚物が好きなのかなぁと感じてしまう程。其れの方が安易に表現はしやすいが、それらに任せっきりじゃない所が良いと思う。
後は、全体的に時系列がわからない話が多いと感じたり。文章毎に切って貼ってを続けると物語になるんじゃないのだろうか、と思えるものまで。後は、音楽でいう「ここまできたらここから繰り返し」みたいな楽譜のような、そんな感じ。全体的に楽譜なのかなぁとも感じる。
音楽に例えたら現代音楽なんだろうなぁ。人に「面白いよ」ってお勧めできないだろうなぁ。でも、私は面白かったです。
- 作者: 田中哲弥
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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猿駅/初恋
著者:田中哲弥
発行者:早川浩
発行所:株式会社 早川書房
2009年3月25日初版発行
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三宮駅南側の噴水。真っ赤なワンピースに身を包んだ山本祐美子研究主任さんがいそいそとやって来た。いつもなら、こういうところで人を待っている若い女を見るたび嫉妬による悔しさのため髪は逆立ち口は裂け、ひどいときには鼻から炎が噴き出したりもするのだが、今日はウキウキにこにこキャッホランランである。仲間意識さえ持ってしまう。
なにしろ今日はデートなのだ。生まれて初めての。そう生まれて初めての。三十七歳にもなって生まれて初めての。
そうなのだ山本祐美子さんはもう三十七歳。生物学に関する知識は素晴らしいが顔が大きい。英語もスペイン語もペラペラだけど足が短い。実家は金持ちで育ちも良く、ピアノを弾かせたらプロ並みの腕前なのだけれど出っ歯。
化粧を塗りたくった顔は素顔とはまったくちがう顔になってしまっているが、素顔とはまた違う迫力を生み出しているだけである。
「猿はあけぼの」より抜粋
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「猿駅」
「初恋」
「遠き鼻血の果て」
「ユカ」
「か」
「雨」
「ハイマール祭」
「げろめさん」
「羊山羊」
「猿はあけぼの」
初・田中哲弥。ずっと読みたい読みたいと思っており、本屋に行くたびに「た行」を探すんだけれど、売っておらず。(…と、いうか私が欲しいと懇願する本程インターネットや大きな書店に行かなければ無いという…寂しいものです。)友人の家に行った時に「サゴケヒ族民謡の主題による変奏曲/田中哲弥」と共に持ち帰ってまいりました。
グロくて笑えてエグくて泣ける、と、いろんな感情を一括りにしたような、そんな本じゃないでしょうか?
まず「猿駅」で挫折する人って多いイメージ。はっきり言って「不可解」です。駅を降りたらそこには一面の猿が…そして踏み潰そうが何をしようが何もされない。ただ、そこには大量の猿が、というお話。ね、不可解でしょう?だけど、その不可解さがたまらなく気持よくなってくる。
「初恋」では烏賊を食べれなくなる気持ちになって、「遠き鼻血の果て」ではお風呂で鼻血が出ると怖くなる。「ユカ」では寂しさで自分を売ってしまいたくなるし、「か」は夏が怖くなる。「雨」は記憶がふっと遠のくだろうし、「ハイマール祭」はどこか小さな村に行くのはテレビ番組だけでいいと思うようになる。「げろめさん」では学校で勤めたくなくなるだろうし、「羊山羊」は治る病気が愛おしくなるだろう。
「猿はあけぼの」は、ホロリとしてしまった。ところどころで笑いを誘うのに、最後の最後までその文調で貫き通すのに、ホロリとしてしまうのだ。これを最後に持っていくのは、卑怯だ。と、同時に、最後まで読み終えたご褒美だろう。
そのご褒美をもらう為に前半、頑張ってみる価値はあるんじゃないのだろうか。
- 作者: 田中哲弥
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/03
- メディア: 単行本
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6月に読んだ本*読書メーターより
2011年6月の読書メーター
読んだ本の数:42冊
読んだページ数:9270ページ
■象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)
「デュオ」を読んで、この人を好きでよかった、この本を手にする事が出来て本当に自分は幸せ者だと感じた。表題「象られた力」の最後に鳥肌を立たせずにはいられなかった。飛先生らしさ満載の一冊だと思う。
読了日:06月30日 著者:飛 浩隆
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■猿駅/初恋 (想像力の文学)
グロくてエグくて笑って泣ける。そんな作品。
読了日:06月28日 著者:田中 哲弥
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■生き屏風 (角川ホラー文庫)
お手軽和風ホラーという感じ。取り敢えず冒頭から持って行かれた感はありました。和風ホラーをあまり読まない私ですが、文章の柔らかさに絆されてゆるゆると読み進めていけた。馬の名前が可愛い、ユーモアを感じる。
読了日:06月26日 著者:田辺 青蛙
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■どうかと思うが、面白い
面白すぎてイッキ読み。これは誰にでもすすめられる平山夢明なんじゃないでしょうか。すすめた方がどう思われるかはさておいて。非道徳教養講座とセットで是非。
読了日:06月26日 著者:平山 夢明
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■レッド(1) (イブニングKCDX)
読了日:06月25日 著者:山本 直樹
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■机上意思マスター 1 (バーズコミックス)
読了日:06月25日 著者:新井 理恵
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■パパがも一度恋をした 4 (ビッグコミックス)
中だるみ感ちょっとだけ。
読了日:06月24日 著者:阿部 潤
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■主に泣いてます(4) (モーニングKC)
つげ義春ネタが尽きないのが個人的にツボ。
読了日:06月24日 著者:東村 アキコ
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■ラギッド・ガール 廃園の天使 2 (ハヤカワ文庫 JA ト 5-3) (ハヤカワ文庫JA)
壮大な種明かしが脳内を覆って気持ちよかった。グラン・ヴァカンスを読んでる時は「数値海岸」だけで考えがちだったけれど、それを囲う現実世界がある事を眼前に突きたてられ「大途絶」の現実に圧倒する。勢いとしてはグラン・ヴァカンスの方が好みだけれど、息を飲む回数が多かったのは断然こちらであった。
読了日:06月24日 著者:飛 浩隆
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■全思考 (幻冬舎文庫)
同意しかねる所もあるんだけれど、別に勉強をするつもりじゃなくて、教科書のように読めばいいんじゃあにだろうかと思う。正しいところも違うと思う所もそれは自身次第であって当てつけじゃない。
読了日:06月21日 著者:北野 武
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■七瀬ふたたび (新潮文庫)
第一作と打って変わっての冒険劇。超能力者が異常なまでに集合する本作。それが偶然なのか、必然なのか。しかしながらラストはきついなぁ。そしてエディプスにどう繋がるのかが気になる。後、平岡正明さんの解説はネタバレすぎるので控えたほうが良さそうです。
読了日:06月21日 著者:筒井 康隆
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■PEACE MAKER 7 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:06月19日 著者:皆川 亮二
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■藤子・F・不二雄SF短篇集 (4) ぼくは神様 中公文庫―コミック版
読了日:06月19日 著者:藤子・F・不二雄
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■狐と踊れ (ハヤカワ文庫JA)
新装版の短篇集。SFらしくない始まり方をする物が幾つかあり、ミステリー感覚で読むと後半で度肝を抜かれる。近年の神林作品から入ったのでやはり物足りなさは拭えないけれど、解説含みで全部修正かかった感じでした。
読了日:06月17日 著者:神林 長平
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■絶対生徒会長!! 大熊猫さん 1 (ビッグコミックス)
読了日:06月16日 著者:岡田 有希
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■orz (リュウコミックス)
読了日:06月16日 著者:藤原カムイ
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■ベントラーベントラー(2) (アフタヌーンKC)
読了日:06月16日 著者:野村 亮馬
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■よんでますよ、アザゼルさん。(6) (イブニングKC)
読了日:06月16日 著者:久保 保久
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■よんでますよ、アザゼルさん。(5) (イブニングKC)
読了日:06月16日 著者:久保 保久
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■よんでますよ、アザゼルさん。(4) (イブニングKC)
読了日:06月16日 著者:久保 保久
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■奈良 仏像めぐり (たびカル)
小さめで持ち歩けて写真がいっぱい載ってて…最高でした。
読了日:06月14日 著者:
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11708321
■非道徳教養講座
これは女としてものすごく楽しめる本。…夢明を試しめる人におすすめですね。
読了日:06月12日 著者:平山 夢明
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11672740
■朝がくる度 (クイーンズコミックス―コーラス)
「いちごの生活」が凄く好き。読む度に泣いてしまう。切ない。
読了日:06月11日 著者:いくえみ 綾
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11653014
■お茶にごす。 11 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
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■お茶にごす。 10 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
http://book.akahoshitakuya.com/b/4091217869
■お茶にごす。 9 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
http://book.akahoshitakuya.com/b/4091217001
■お茶にごす。 8 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
http://book.akahoshitakuya.com/b/4091218989
■お茶にごす。 7 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
http://book.akahoshitakuya.com/b/4091215939
■お茶にごす 6 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
http://book.akahoshitakuya.com/b/4091215068
■お茶にごす 5 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
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■お茶にごす 4 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
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■お茶にごす 3 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
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■お茶にごす 2 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
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■お茶にごす 1 (少年サンデーコミックス)
読了日:06月10日 著者:西森 博之
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■ブランコのむこうで (新潮文庫)
読了日:06月09日 著者:星 新一
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■よんでますよ、アザゼルさん。(3) (イブニングKC)
読了日:06月08日 著者:久保 保久
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■よんでますよ、アザゼルさん。(2) (イブニングKC)
読了日:06月08日 著者:久保 保久
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■ディスコ探偵水曜日〈中〉 (新潮文庫)
読了日:06月08日 著者:舞城 王太郎
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■チルドレン (講談社文庫)
読了日:06月07日 著者:伊坂 幸太郎
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■ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
めちゃくちゃ怖い
読了日:06月05日 著者:藤子・F・不二雄
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■虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
なぜもっと早く手にしなかったのだろう。SFを読み始めて一ヶ月経った今、激しく後悔しています。著者が亡くなっている事が悔やまれる。けれど、著者の人生で無ければこれは産まれなかったと思うと少し悲しい。…人間は感情の塊だ。今は激しくそう思う。
読了日:06月05日 著者:伊藤 計劃
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■我語りて世界あり (ハヤカワ文庫JA)
巨匠と呼ばれるだけのことはあると痛感。最後の紐解き前に、私の中でするするとパズルが組み合わさって「わたし」の正体がわかって息を呑んだ。二度楽しめる見本みたいな作品。
読了日:06月02日 著者:神林 長平
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生き屏風
著者:田辺青蛙
発行者:井上伸一郎
発行所:株式会社 角川書店
2008年10月25日 第一刷発行
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皐月はいつも馬の首の中で眠っている。
そして朝になると、首から這い出て目をこすりながら、あたかも人が布団を直すかのように、血塗れで地面に落ちている馬の首を再び繋ぐ。その後で馬体を軽く叩いて、「おはよう」と言ってから朝食の準備を始める。
馬の名は布団と言うらしい。そのまんまだ。
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「生き屏風」
「猫雪」
「狐妖の宴」
「NOVA 2」で田辺青蛙のショートショートを読んで「あ、この人の作品気になるな」と思った。
表題作は第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作だったので、期待出来ると思って購入。
和風ホラーは本当に久々で小説というジャンルを"大人"として手に取り始めた時から、疎遠。"お化け"が出るような本は小さな頃に読んでいたりとはしていたのですけれどね。
とにかく読みやすい。そして冒頭部分から持って行かれた感が半端ない。抜粋させていただいた文章は「生き屏風」の冒頭です。「馬の首の中で眠っている」なんて想像した事もない!(民俗学的なバックボーンがある等の話は東雅矢さんの解説でお読み頂ければいいかと)
ゆるりゆるりとした感じの文体。後ろからこんにゃくをヒヤリッ!等という物は一切無い。主人公の皐月は妖(あやかし)なのだけれど、人に恐れられるだとかそういうのはあまり感じられず、村で皐月なりの役割を果たす「仕事人」なイメージが結構強い。だから村人との距離感があまり無く、どちらかというとたまに馬鹿にされてしまう。だけど、それで怒り狂ったりなどという事は、無い。ゆるりゆるりとしているのだ。
"ホラー小説"という看板は立てかけられているが、お伽話のようなそんな感覚。全体的に「美しい」という感想も抱けるんじゃなかろうか?
皐月が出るシリーズはまだあるっぽいのでまったり読んでいけたらなぁと、思う。
- 作者: 田辺青蛙
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 文庫
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どうかと思うが、面白い
著者:平山夢明
絵:清野とおる
発行者:久保田榮一
発行所:株式会社 扶桑社
2011年6月11日 第一刷発行
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小学校の頃、アオベンというのがおりまして、彼が「ヒラヤマ君。僕、実は金星人なんだよ」などと九九の時間に突然、耳打ちしてきたのです。「絶対に秘密だから誰にもいってはいけない」と釘を刺されたわたしはこの地球外生命体との接触に鼻血が出るほど興奮し、彼に金星人のメンコのやり方や金星ラーメンの食べ方などを教えて貰い感動していました。特に「僕が金星に帰る時には川崎球場を風呂敷に包んであげる」という大胆なプレゼント宣言にはド肝を抜かれていました。もうそれをきいてからは一刻も早く金星に帰って貰いたくて、彼の筆箱を隠したり、ランドセルに水槽の蛙を入れたりしたものです。しかも、彼にはとっておきの<金星人>証明法があったのです。彼の告白を初めて聞いたわたしが嘘だろうというような顔をしていると彼は「ついてきて!」と、バス通りにわたしを誘い、横断歩道のある交差点に立ちますと、おもむろに左折してくるバスにズックの爪先を踏ませて平然としているのは金星人以外にはありえません。唖然としているわたしにアオベンは「金星人の躰は金でできているから硬いんだよ」と誇らしげにいいました。で、その年の暮れ、アオベンが女心をコントロールすることによって恋人化させた女の子というのが現れたのです。その子は別のクラスであり、しかもわたしには、アオベンのことを嫌っているように見えるのですが、アオベンによると実はかなり精神的な<犯し>が入っていて、必死に無駄な抵抗を試みているだけなのだというのです。
第10話
<金星からやってきたクラスメイト>との思い出
より抜粋
- -
どうかと思うが、面白いです。いや、本当に。よくここまでエピソードがわんさか出てくるなというぐらいに。もしこれが大半作り話だったとしても、こんなに面白おかしく人を引き寄せて作品を産み出せる平山夢明はまさに天才。しかも、私の大好きな清野とおるさんが挿絵を描いてるというではないですか。
清野とおるさんは漫画家で、最近有名な本は「東京都北区赤羽」ですかね。オールカラーで事実しか描いていない漫画。ですが、とにかく面白い。変な人に会う。よくそんなに変な人に会うなぁと感心する位会うのです。そしてそれは平山さんも同じ事。きっと変な人を惹きつけるオーラが二人にはあるのでしょう。(作中でも書いてありましたけれどね)
小出しのエッセイ集という感じでタイトルが全てについているのですが、全73話なので書くと縦長になってしまうのでご了承下さい。1話3頁ほどの短い文章。其の中には至る所に笑いが組み込まれています。そして、其れをコントロールする平山先生の言葉選び。…まさに最高というのはこの事かもしれません。
注意する点とすれば、移動中の電車、バス、学校、職場などには持ち込まないという事ですかね。とにかく家でリラックスして読んでいただきたい。とにかく声出して笑える体制を作っていただきたい。それがこの本を読む時のスタイルかもしれませんね。
買って損無し!寧ろこういう連載をしてくれていたSPA!に感謝しまくりですね。平山先生の真面目な文章も凄く好きですが、こういう下らない本も面白くてこの人の嫌いな部分が見つかりませんね、大好きです。はい。
- 作者: 平山夢明
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2011/06/03
- メディア: 単行本
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- 作者: 清野とおる
- 出版社/メーカー: Bbmfマガジン
- 発売日: 2009/06/16
- メディア: コミック
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ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉
著者:飛浩隆
発行者:早川浩
発行所:株式会社 早川書房
2010年2月15日発行
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「まだ、殺したことはない」
「でもそのためにデザインされた腕だろう?」
ボリスの手がニムチェンの手を握る。ふたりはならんで胸まで湯に浸かった。からめた腕をくねらせてくる。螺鈿の粒にざらりと撫でられ、ちりちりとした快感が生まれては消える。
ニムチェンは周りを見た。気が向いた者どうしが、同じようにパートナーを見つけて楽しんでいる。これはふつうの社交だ。食事をともにするように。将棋を指すように。
ボリスはからめていないほうの腕をニムチェンの手首に添え、自分の性器に導いた。ニムチェンは指を動かして、ボリスの興奮の輪郭をなぞった。
「一度やりあってみたいな」耳元にささやかれた。
ニムチェンは返答せず、もう一方の腕をボリスの薄くやわらかな乳房に回した。小さな乳首の周囲の螺鈿をなぞると、それがそのまま愛撫になる。
「だって君はとても上手そうだ・・・・・・」ボリスはうっとりとした声でつぶやく。「殺すのが!」
ふいに語調がかわった。そのときにはボリスの腕がニムチェンの片腕を完全に固めていた。湯の中から、黒い何かがニムチェンの胸元を這い上がった。瞬速。蜘蛛。脚の尖端が、心臓の真上にあてられていた。カーボンブラックの錐のような脚。そのまま押し込むことだってできただろう。
「王手」ボリスのほほえむ声がした。「あっけないんだな」
ボリスがざぶりと立ち上がった。全身から湯がしたたる。脚を伝って黒い蜘蛛が駆け上がり、肩に止まった。
「上首尾」ねぎらい、緑の唇でキスをする。他の者がちらちらと、あるいはあからさまにニムチェンを見ていた。
ニムチェンは退屈だった。
一部始終のあいだ、ボリスの行動はすべて予想の範囲内だった。どの一瞬ででも幾通りもの反撃が可能だった。何となく感じてはいたが、ニムチェンは、そのときようやく自分の能力が卓絶していることに気がついた。
- -
「夏の硝子体(グラス・アイ)」
「ラギッド・ガール」
「クローゼット」
「魔術師」
「蜘蛛(ちちゆう)の王」
"廃園の天使"シリーズの第二部「ラギッド・ガール」読了。第一部は「グラン・ヴァカンス」というタイトルで刊行されている。「グラン・ヴァカンス」の感想をブログにも何処にも書いてはいない。書くタイミングを失ってしまったので、もう読んだ後の高揚感等を交えた"その時に発せられる感想"は書く事は出来ない。「グラン・ヴァカンス」は飛浩隆が10年もの歳月をかけた作品である。仮想リゾートの中で繰り広げられるAI達の生活。大途絶(グランド・ダウン)、そして硝子体(グラス・アイ)の存在。これは読まなければ理解出来ないし、私は口下手…文字下手の方が今は正しいのかもしれないのだが、文字下手なので的確に伝える事が出来ない。
序盤の美しさからは想像も付かない程の恐怖が敷き詰められているのにも関わらず、視体の美しさは回を増す毎に引き立っていく。それもまた恐ろしいと感じながらも、止まらない読書欲が掻き立てられる作品。一言で言うと、続きが気になるのです。
これが、唯一書いた「グラン・ヴァカンス」の感想である。(読書メーターより抜粋)美しくも恐ろしい物語。だけれど、其の中に秘められた更なる美しさにきっと貴方は驚愕するだろう、と、私は思う。
そんな「グラン・ヴァカンス」の補完をするのがこの「ラギッド・ガール」である。
「ラギッド・ガール」を読み進めて行く内にある一つの点に気付く。仮想リゾートがあるのは現実世界があるからなのだと。なぜそんな簡単な事に気付かなかったんだっ…!と強く思ったけれど、それは多分「グラン・ヴァカンス」の完成度の高さからなのかもしれない。創られた世界があるのならば、創る世界があるのだ。当たり前の事なのに、そのまま仮想リゾートの世界だけが続くと思い込んでいた。と、いうか続いて欲しかった。「グラン・ヴァカンス」を読んだ人ならわかるであろう。あの続きがどうなるのか。気になり度異常であると。
「ラギッド・ガール」は先程も記したように、色々と補完をしてくれている。…補完具合半端なかったです。「グラン・ヴァカンス」でも息を飲むシーンは多々あった。中盤なんかはもうスピードに飲み込まれて本から風が舞い上がるのではないかという程に。その元凶ともなる者の追求。核心。「大途絶」が何故起こったのか。硝子体…とは?
色んな謎の答え合わせをして、第三部どうなるのかがもう待ち遠しくてたまらない。
…第三部を待ちきれない気持ちが絶対出てくるのが分かっていたので、本当は「ラギッド・ガール」はもっと後に読むつもりだったのです。が、手違いで持ち歩いている本がこれしか無かったのです…。もっと温めてゆっくり読みたかったのですが、引きこまれてしまいました。飛先生の別作品「象られた力」は、まだ読み始めていないので手札が残っている事への安堵感は半端ないですね。ええ。
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