デンマークの底知れぬ国力を垣間見た!!!


日本代表選手の保ふ山が、デンマークコペンハーゲンを視察してきました!!!*1

コペンハーゲンのあらまし

要塞から
スノリ・ストゥルルソンによる『ヘイムスクリングラ(世界環)』という歴史書に、デンマーク創世神話が記載されています。

ヘイムスクリングラ 北欧王朝史(一)(1000点世界文学大系 北欧篇3-1)

ヘイムスクリングラ 北欧王朝史(一)(1000点世界文学大系 北欧篇3-1)

スノリはアイスランドに生まれた権勢家にして歴史家で、ノルウェー王家の後ろ盾を得て諸侯乱立状態だった13世紀のアイスランドで勢力を伸ばそうと目論みますが、国家併合の要求を拒み続けたため、ノルウェー王家との関係が悪化しついには暗殺されてしまいました。その傍らでまとめた散文のエッダという叙事詩は、ニーベルンゲンの指環の元ネタの一つであるばかりか、ゲルマン文化の底流をなす北欧神話の重要な参照元の一つでもあります。

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さて、コペンハーゲンがあるのはシェラン島という小さな島なのですが、これを作ったのはゲヴィウンという女神です。ゲフィオンという呼び名のほうが有名かもしれません。
彼女のボスは、これまたファイナルファンタジーなどで有名なオーディンです。オーディンを首長とするアース神族は、はじめドン川下流域にアースガルズという国を構えていたのですが、ローマ帝国の勢力伸張とともに北方への移住を決めました。
ロシアやドイツなどを抜けてオーデンセ(フュン島、デンマーク)へ到着すると、オーディンはゲヴィウンに東進の命を下します。ヨーツンヘイムに辿り着いたゲヴィウンは、そこで暮らす巨人たちと交わり四人の息子を設けました。彼女は息子たちを巨大な牛の姿に変え、鋤をもって大地を引かせ、海に浮かべ、そうしてできたのがコペンハーゲンのあるシェラン島というわけですね。巨人とファックしたばかりか、子供たちを牛に変えるなんて!!!
ゲヴィウン2
その場面をかたどったブロンズ像が、カステレット要塞の噴水に鎮座しておりました。

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アメリカ大企業が放ったスパイ衛星の報告によれば、カステレット要塞は五稜郭の形をしています。カッコいい!

星型の外郭部は歩きにくくておすすめできません。ただ、景色が美しくて驚きました。

コペンハーゲンに降り立つ

中央駅
飛行機を降りたら、酷いバスにすし詰めとなって行動の基点となるコペンハーゲン中央駅へ。
思ったより英語の併記が少なく、基本的にはデンマーク語であり全く読めません。大体のところは観光客向けのサービスカウンターみたいなところで教えてもらえたんですけど、バスに乗ったら乗ったでバス停の名前が解読できずに苦しみました。コペンハーゲン中央駅なら、K〓benhavn.H というバス停が正解のようです。
中央駅のあたりをブラついていたら、お姉さんに「この辺でカメラ出してると危ないわよ」と注意されました。確かに寂れているし、灯りも少なく人影はまばらです。ほかにも親切な方が道を教えてくれたり、コペンハーゲンの人たちはこちらが困った様子を見せていると気軽に声をかけてアドバイスをくれます。それか俺がよっぽど困って見えたかのどちらかだと思いますが、心情的にものすごく救われてました。

レンタサイクルでコペンハーゲンを一周!


翌日からは、レンタサイクルで市街をぐるぐる。中央駅で借りたら1日3000円とけっこうな値段だったけれども、初めて訪れる街は自転車でやたら走り回って迷子になるのがベストな楽しみ方だとの考えに基づかれています。

コペンハーゲンはそんなに広くないので、体力的には余裕。ただし迷いまくります。

フレデリクスボー公園では、赤ん坊のおしゃぶりでデコられた樹木を目撃しました。針供養に類するお呪いでしょうか。

物価が高い!!!


この国はとにかく物価が異常に高く、1デンマーククローネが15円前後のところへ、1.5リットルのジュースが30クローネだったかな…。あまり記憶が定かじゃないけれども、セブンイレブンで買い物をするにも日本の1.5倍〜2倍の感覚で臨まなければなりません。

これはチボリ公園のすぐ側にあるワガママという日本食レストランで、焼き鳥が50クローネ、どんぶり物が100クローネという無茶な値段設定だったはずです。(入らなかった)

このスーパーは安かった。500mlのペットボトルが3.5クローネとかそれくらいだったかな? コンベアに商品を載せて仕切りを置くというIKEA方式です。

Youth House(Ungdomshuset)


コペンハーゲンのシャレオツキッズたちが写真を撮っている場面。
この場所はデンマーク語で Ungdomshuset といい、そのまま Youth House=青年の家と訳すことができます。これまでずいぶん色んなことが起こってきたようですが、今日の日は穏やかでありグラフィティの数々をゆっくり楽しむことができました。

デンマーク国立博物館


バイキング時代の石器〜鉄器や装飾品、キリスト教が入ってきてからの宗教美術の数々が見どころです。

アジア、オセアニア、アフリカの文物も豊富で、一日ではとても見切れません。さすが交易の中心地!
上の屏風絵は狩野雪渓俊信作、徳川家茂からオランダのウィレム三世に贈られたものだそうで、二隻の片割れが少し前にサントリー美術館のBIONBO展で来日していました。雪渓は築地小田原町狩野家に属する表絵師であり、この絵だけ見るとなんかあんまり狩野っぽくない。

企画展はインディアンで、映像や音を駆使したメディアアート風の展示空間でした。

自転車のルールがしっかりしてる


まず、道路の両脇が一段高い歩行者専用レーンになっていて、そこと車道との間が自転車専用レーンとなっています。交通ルールはしっかりと守られており、ぼんやり歩道を走っていると注意を受けますし、自転車専用レーンは右側走行遵守で左側はほとんど走れませんでした。あと結構な割合でヘルメットを着用している。日本とかだとルールが守られなくともなんとなく回ってしまう気がしますが、コペンハーゲンの自転車社会は仕組みの面からかっちりと整備されてる印象。荷物運搬用のカーゴ付き自転車の姿も何度か見ました。

ひたすら観光しまくる



ハリーポッターのダイアゴン横丁を連想させるJorks passage。可愛いお店がこの空間にみっちり詰まっています。

アジア食ファーストフードのYAM YAM。空港や中央駅にも出店しているのでたびたびお世話になりましたが、ジャンクな味つけでワンカップ千円もする。中華、タイ、日本、韓国などがごちゃまぜです。
ガイドブックに載っていた老舗のレストランでステーキを食べてみたりしたけどいまいちで、結局コペンハーゲンでは一度も美味い食事にめぐり合えなかった。シーフードとか美味しいに違いないとは思いますが。

港湾の跳ね橋が開閉する瞬間。みんなが見守っていました。

ブラックダイアモンドでは、作曲家のカール・ニールセン展や写真展が開催されていました。

シュミット・ハンマー&ラッセンによる建築がめちゃくちゃカッコいい。美術館だけではなく、劇場や図書館が併設されています。

マーブルチャーチと、現王宮のアマリエンボー宮殿

ちょうど王家のようなセレブ感のある女性が馬車で降り立ち、宮殿の中に入っていく場面を目撃しました。

トラブル

安いホステルのドミ部屋に泊まったときに、帰ってきたら俺の荷物がベッドからどけられているというトラブルが発生しました。四人部屋に五人が案内されていたということらしく、巨漢の白人男性が仁王立ちで「ここは俺が案内されたから俺のベッドだ。お前はお前の部屋を探せ」とめちゃくちゃなことを言ってきたから腹が立ったけど、自分のほうが先に部屋を取っていたことを主張して一緒にフロントに出向きました。
すると本来はベッドを引き出して使う式の五人部屋だったそうで、この白人はそれに気付いてなかった or 説明を受けていなかったのだということが分かりました。疲れていたのでその男をなじったりホステルにクレームを入れる代わりに、俺だけ二人部屋に変えてもらい、平謝りしてくる男に対しては「気にすんなよ」とひたすらカッコよく振る舞い、得したと無理やり思い込んで眠ることにした。

コペンハーゲン国立美術館


バロック絵画やルネサンスを中心に据えたコレクションで、ヨルダーンス、デューラークラナッハなどが充実しており、日本の西洋美術館とちょっと常設展示の傾向が似ていました。

16世紀オランダの画家、Cornelis van Haarlem による《Fall of the Titans》という作品。こんなのもあるのか…。

…。

デンマークの彫刻家、ニールス・ハンセン・ヤコブセンの作品。

企画展がいくつもやっていて、これもしっかり観ようと思ったら1日がかりです。

マイク・ネルソンのリアル脱出ゲームが館内に設置されており、迷路化していたせいで飛行機の時間に遅れかけた。

コペンハーゲン大学図書館

コペンハーゲン大学図書館コペンハーゲン大学図書館
飛行機が出る直前だったため、めちゃくちゃ慌てていました。こんなところで学んでみたい…。

怖ろしい国力を垣間見た


たった二日間ですが、紹介しきれないくらいのスポットや美しい街並みに出会うことができました。アンデルセンだけじゃない!
行きたかった場所が空いていなかったり、結局コペンハーゲン市街しか見らなかったので心残りは多いです。面白い建物が目白押しで、もし次に行く機会があったらユダヤ博物館なんかも覗いてみたい。

*1:この人魚姫は上海万博に出展中だそうです