Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

先進共産主義

韓国からすれば日本の中道的な勢力は右翼であって、日本の保守的な勢力は極右だそうである。そのノリで行けば日本の右翼は認識できる範囲を超えてしまうかもしれないが、人の感覚や認識は指数的にものを受け止めることができるため、大して変わらないのかもしれない。
言っていることは、韓国も北朝鮮もそして中国も実質的に何も変わらないが、それと似たことを言う人が日本にもいる。ジャーナリストの鳥越俊太郎は、河野洋平の評した「自民党総裁選に出た5人が全て右翼」という言葉に膝を打ったそうな。私からすれば、その5人は中道と言える存在ばかりで誰一人として右に寄っていると思える人はいないのだが、この激しい認識の差はどこから来ているのだろうか。

むしろ、候補のうちで石原元幹事長はむしろリベラルな方(単なるヘタレとも言う)だと思うし、防衛関係に詳しいと言うことで石破幹事長も右より見られるがちではあるがどちらかと言えばリベラルよりの考えを持っていると私は思う。
この誰であっても軍国化を推し進めるような感じは全く受けないし、軍靴の幻聴も聞こえない。ただ、中国や韓国の傍若無人な振る舞いを正すための最低限の行為(それすら控えめだと思うが)を主張しているに過ぎないと私は思っている。
ところが、世の中にはそう言う受け止め方をする人がいるんだなと、ちょっと不思議なというか奇妙な世界に紛れ込んだような違和感を感じるのは、むしろ私自身の認識が異端だからではないかと悩んでしまいそうである。

そんなことを考えているうちに、ふと「日本は世界で最も進んだ社会主義国家である」という言葉を思い出した。この際、社会主義共産主義の定義の差を抜きにすれば、日本という国は中国や北朝鮮旧ソ連が望んだ理想の国家になっているという話である。
実際の社会主義国家は、共産という富の均等な配分とは裏腹にその主義を振りかざして指導者が富を貪る集団指導独裁国家でしかない。富を得た指導者にとっては理想の国家かも知れないが、大多数の国民にとっては決して望むべき姿ではあるまい。そう考えると、理想の姿としての日本という国家は本来の目的の姿なのである。
他国からすれば羨望の的であったとしても、日本に職を持ち日本で暮らすものからすればそこまでの実感を得るのは難しいかも知れないが、そのように揶揄される状態であると言うことを考えれば日本の左翼系の人にとってはやはり日本は最高の環境なのではないか。

多くの先達の努力により今の日本の地位を築き上げ、そして世界でも最高レベルの社会主義的な国家であるとして共産的な運営を行える、要するにばらまきによる資産均等化策が実施できれば、天国のような国なのだ。
問題は、その配分に関与することができるかどうかであるが、民主党という格好の機会を得てそれも実現できそうなところまできた。もっとも、計画性のなさから立ち消えになってしまったマニフェストだが、まさに共産主義的な項目が並んでいないだろうか。

日本の左派が勢いを失ったのは、時代が変わったと言うよりは実のところ彼らが実現したかった大部分が実際には実現してしまっているからこそ、より過激で国民がついて行けない主張でも言わない限り日常に埋もれてしまいそうになっているのではないだろうか。
そして、彼らの言が現状を必死に留めようとしているように感じられるのも同じではないか。
ふと、そんなことを感じてしまった。

だとすれば、デモクラシーから安保闘争などを通じての多くの活動は実のところ一旦は実を結び、そして時代の中で陳腐化し矛盾が吹き出すまでに至った。すなわち、日本という国では既に結実した思想なのではないだろうかとふと考えてしまった。