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共産主義

社会

共産主義

きょうさんしゅぎ

communism(英)

生産手段の共有化による理想社会を目指す思想のこと。

理論面の話

共産」とは、

財産・生産手段などを共有すること。

http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%B6%A6%BB%BA&kind=jn&mode=0&base=1&row=0

である。私有財産による富の偏在が不平等と様々な不幸の源泉であるから、これを排除することが理想社会への道であるとの考えは非常に古くから(例えばプラトンなど)見られる。

今日的な意味での共産主義とはマルクスエンゲルスが行った資本主義社会の分析から生まれている。

産業革命の結果、社会の持つ生産力は想像を超えるレベルまで拡大したが、一方では資本家階級と労働者階級の対立矛盾も大きな物となり、さらに大きな物となっていくと考えられた*1

また、生産手段が私有されているため、例えば不況・恐慌であるとか、失業搾取といった問題が起こると考えられた*2。これを克服するために、労働者階級プロレタリア)による革命によって、資本家による生産手段の独占を排除することが必要だとしたのである。

単純化すると*3

「技術が向上して必要な労働力が減る→資本家は利益を極大化させるために雇用を減らす→失業が増えて労働者の困窮が進む」

に対抗するために、

「技術が向上して必要な労働力が減る→生産手段が共有なので、働きたい人は余分に働いてもいいし、そうでない人は休んでいい→生産手段が共有なので、欲しい生産物を適当に受け取る」

というサイクルを想定していた*4

念のために断っておくと、マルクスエンゲルスも、こと効率という面に関しては資本主義社会が最高の段階であることを認めており、それを引き継ぐ共産主義社会は(より高次でハッピーな世界ではあっても)効率では資本主義よりも劣る社会になると思っていた。

現実の話

マルクスらの想定した革命の舞台は「生産力が高まりすぎて、みんな*5が困っている世界」で、利潤を自己目的とする資本という怪物さえ退治すれば(欲しい物を供給する能力自体は十分にあるはずだから)問題は解決するはずだった。

実際に「プロレタリア革命」が起きたのは、資本主義が高度に発達して資本家による労働者への圧迫が頂点に達した場所ではなく、資本主義が未熟で前近代的農奴制のはびこるロシア帝国でだった。資本家は未熟で地主階級が幅をきかし、プロレタリア階級も十分な自覚を持って存在しているわけではなかった。よって、どのようにすれば共産主義が実現するのか、誰にも分からない状態だった。

いろいろなことを言うことは可能だが、この時点ではマルクスエンゲルスらの考えを実現することは不可能だったのは明白であり、にもかかわらず「共産主義」という看板を使い続ける必要があったことで、「共産主義」の中身が変質するのは必然だった。

新たに誕生した「労働者祖国」は白軍をはじめとする反革命勢力によって包囲されており*6、現実の武力・権力闘争を勝ち抜くためには相当に強力な指導力が必要だった。

共産党による一党独裁はこのように準備され、(思想の優劣とはあまり関係のない)組織力や軍事力外交*7によって内戦の勝敗は決した。

とりあえず生産手段の国有化計画経済が行われるようになり、新たにマルクス・レーニン主義という言葉が用意された。だが、「とりあえず」だったはずの計画経済は国家統制のあらゆる面での肥大化を招き、いわゆるスターリン主義スターリニズム)の名の下に、ファシストたちですら鼻白むほどの極度の全体主義国家が出現した。

後世から振り返れば、ロシア革命の時点で「これはレーニン主義という新思想(新宗教?)でマルクスとは無関係だ」と考えるのが適正だったと思われる。が、実際にはソ連は「共産主義の総本山」ということになり、非常に長い期間、共産主義とはマルクスレーニン主義のことであり、ソ連型の共産党一党独裁と国家統制とが共産主義であるという状態が続いた*8

軍事関連においては、中国共産党を除き軍国主義及び戦争を批判し平和憲法を守るのが基本的である。

*1:それまでの社会にも生産手段の所有者と非所有者との間での対立矛盾はあったが、資本主義社会では資本の性質故に両者間の格差がいくらでも拡大していくという恐るべき特質があった(はずだった)。

*2技術革新によって生産に必要な人手がどんどん減少すると予想されており、そうなれば必然的に大量の失業者が発生することになる(はずだった)。

*3:本当はもっと細かいですが面倒なので省きます

*4:現実には「雇用を減らす」の代わりに、「生産を増やす」(古典派)とか「もっといろいろな物を作って売る」(シュンペーター的?)とか「儲けても税金に持ってかれるだけだから、その分は還元する」(日本型?)であったと言える

*5:極言すれば資本家ですら。その頃には有利な投資先は消滅し、生産過剰から来る不況が恒常化しているはずだった

*6客観的に見れば当時のボリシェヴィキ政権は「変わった思想を持った少数派が権力の掌握に成功した」というだけの状態なので当たり前

*7:どれもトロツキーに関係する物に見えますが仕様です。

*8:思想的に世界の先端を走るはずの西欧諸国ですら、ユーロコミュニズムの台頭は1970年代の話である