……01/2006

ここ数日いくら更新してもアンテナに反映されないという事態が続いておりまして、ちょっと悲しいです。一応はてなに質問を送っておきましたが、まだ返事は来なくて、処置なし。ネットで検索してみたらそういう症状は過去にもいくつもあったようで。でも解決法は書いてないので個人の問題ではないのかなぁ。はてなユーザーはやっぱアンテナからのぞいてくれてる人が多いので、アンテナが更新されない=更新しても見てもらえない、というわけでちょっと寂しいです。そのうち直るのかなぁ…。


気を取り直して今月のまとめ。

荒野の恋 第二部 bump of love(桜庭一樹)★★★★
虹とクロエの物語(星野智幸)★★★★★
エンジェルズ・フライト (上) エンジェルズ・フライト (下)(マイクル・コナリー)★★★★★
シティ・オブ・タイニー・ライツ(パトリック・ニート)★★★
正直じゃいけん町田康)★★★★
レキオス(池上永一/角川文庫)★★★★★
ある秘密(フィリップ・グランベール)★★★★★
緋友禅(北森鴻)★★★★
おやすみ、こわい夢を見ないように(角田光代)★★★★
クワイエットルームにようこそ松尾スズキ)★★★★
はるがいったら(飛鳥井千砂)★★
ガール(奥田英朗)★★★★
センチメンタル・サバイバル(平安寿子)★★★★
12歳からの読書案内(金原瑞人・監修)★★★★★
夢のなか―慶次郎縁側日記北原亞以子)★★★
逸脱者〈上〉 逸脱者〈下〉(グレッグ・ルッカ)★★★★
金春屋ゴメス(西條奈加)★★★★
宇宙舟歌R・A・ラファティ)★★★★★
耽溺者(ジャンキー)(グレッグ・ルッカ)★★★★
カポネ(佐藤賢一)★★★★
エンド・ゲーム―常野物語(恩田陸)★★★★

ちょうど小説の★5つはぴったり5冊。「宇宙舟歌」「ある秘密」「レオキス」「エンジェルズ・フライト」「虹とクロエの物語」ですね。小説ではないけど同じく★5つの「12歳からの読書案内」も意外な拾いモノ。このほかでは「クワイエットルームへようこそ」、「おやすみ、こわい夢を見ないように」、「逸脱者」、「ガール」あたりが良かったかと。

荒野の恋 第二部 bump of love (ファミ通文庫)(桜庭一樹/ファミ通文庫)★★★★

荒野の恋 第二部 bump of love (ファミ通文庫)
三部作シリーズの第二部。
悠也が渡米してしまったあとに続く、荒野の日常が丁寧に描かれる。友達に彼氏が出来たり、初めてひとりで喫茶店に行ったり、エロビデオを見せられてショックを受けたり、自分もクラスメイトに告白されたり…。まわりの変化にとまどいつつも、自信も少しずつ成長していく荒野の中学生編。その年代特有の潔癖さとか、大人になることへの恐れやあこがれが、丁寧に描かれていて好感度は高いです。
しかし、阿木くんでいいじゃないか!と思ったのは私だけでしょうか…。
最後の第三部は高校生編のようです。楽しみ。

虹とクロエの物語(星野智幸/河出書房新社)★★★★★

虹とクロエの物語
この人の作品を読むのは初めて。というか最近まで星野智幸という作家の存在を知らなかったんだけれども。今書店に並んでる「文藝」がこの人の特集だったのでたまたま立ち読みしてちょっと興味を持ったところ、ちょうど新刊が出てたので挑戦してみました。
結論から言うと久しぶりに、読み終えてしまうのがもったいない、と思える作品だった。
河原でサッカーボールを蹴り合うことが何よりも特別な時間だった二人の少女、虹子と黒衣。そして<吸血鬼>の血を残さないため、無人島に一人で暮らす少年・ユウジ。3人の鮮やかな想い出と、その二十年後が静かに描かれる。
依存。あまり肯定的な意味では使われないけど、誰でも大なり小なりほかの誰かに依存しているだろう。子供はもちろん親に依存するし。恋人に依存する人も多いだろう。そして十代の女の子の多くは友達に依存している(と思う)。
虹子と黒衣は二人で完結した世界を持っていた。二人でボールを蹴り合い、二人しか理解できない言葉をもって、二人の世界と、それ以外のすべての世界を、完全に切り分けた。二人の時間を<別格>に位置することで、その他の時間をやり過ごしていた。ちょっとしたほころびですべてが崩れるほどに、二人はお互いに依存していたのだ。
一方のユウジは、吸血による依存が忌み嫌われるために幽閉されていたにもかかわらず、たまたま島を訪れた虹子と黒衣に出会ったことによって、皮肉にも依存による苦しみを覚えてしまう。
そして二十年後…虹子とクロエはリスタートを切るために再び、ユウジの島へ向かう。
ここで描かれる<胎児>は二人のなかでそれぞれフリーズしてしまった感情の一部? 長いこと見て見ぬ振りをしてここまで来たけど、改めてその存在に気付いて、もう一度すくいあげようとするラストはとても前向きだ。
素晴らしい作品でした。


※関係ないけど、サッカーボールを蹴り合う、という行為になにかわかりやすい名前はないのだろうか。<キャッチボール>みたいな。