ボブ・ディラン氏のノーベル賞講演

こんにちは。ボブ・ディラン氏のノーベル賞受賞講演を聞いています。Nobelprize.orgのサイトからYouTubeの動画(?)にリンクされているのですが、写真とお声だけで動きません。長いので、ところどころ気になったところを重点的に読んだり(スクリプトも公開されています)、聞いたりしています。
Bob Dylan - Nobel Lecture - NobelPrize.org

30分近いレクチャーですので、音声を流しながらメイク落としを(不謹慎)していたところ、Moby-Dickという単語が聞こえて、手が止まりました。ディラン氏が影響を受けた数々の文学作品から3つについて特に言及したい、と話された後でした。その3つとは、Mob-Dick(「白鯨」)、All Quiet on the Western Front(「西部戦線異状なし」)、The Odyssey(「オデュッセイア」)です。
さて、Moby-Dickは、大学のアメリカ文学購読の授業で読んでいた作品です。なつかしいー!その頃は、深く考えることはなく、おそらく表面的にしか読むことができていませんでした。それでも、魅かれていたのは、物語の不思議さと名前(の音)の面白さでした。
語り手のIshmael(イシュメール)、捕鯨船のPequod(ピークォド)号、乗組員のStarbuck(スターバック)、地名のNantucket(ナンタケット)、(捕鯨用の)もりを指す普通名詞のharpoonまでが呪文のようで、名前の音そのものが物語を含んでいるように感じていました。ただ、再読する機会がありませんでした。
ディラン氏はこのように紹介されています。

“This book tells how different men react in different ways to the same experience.”
(この作品は、同じ体験をしても人の反応はさまざまだということを示している)

また、海の物語の深いテーマについて

“We see only the surface of things. We can interpret what lies below any way we see fit.”
(私たちは物事の表面だけを見る。その下にあるものについては、都合よく解釈できる)

その意味がわかる年齢になった今、作品を読み返せば、違った視点で楽しむことができそうです。
レクチャーの終盤に、このように語られます。

“But songs are unlike literature. They're meant to be sung, not read. The words in Shakespeare's plays were meant to be acted on the stage. Just as lyrics in songs are meant to be sung, not read on a page. And I hope some of you get the chance to listen to these lyrics the way they were intended to be heard: in concert or on record or however people are listening to songs these days.”

(歌は、文学作品とは異なる。歌は歌われるべきもので、読まれるものではない。シェークスピア劇の言葉は舞台で演じるための言葉だ。歌詞が歌うためのものであり、紙面上で読むためのものでないのと同様に。これらの歌詞を、本来意図されたように聞く機会を持ってもらえたらと願う―コンサートであれ、録音であれ、最近の人々が歌を聞くどんな手段であれ)

文学賞」受賞に対しての思いでしょう。
最後に。これを書いている現在、Moby-Dickについての記述にSparkNotes(文学についての学習支援サイト、主に中高生向け。作品の要約など充実)からの剽窃(盗用)疑惑がもち上がっています・・・。

お読みくださり、ありがとうございました。