くりごはんが嫌い このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2017-01-17

[]夫婦を超えた先にあるもの『逃げるは恥だが役に立つ09:46 夫婦を超えた先にあるもの『逃げるは恥だが役に立つ』を含むブックマーク

14日の土曜日に幼なじみ一家の自宅に行き、子供たちが恋ダンスが好きだということもあって、酒を飲みながら去年話題になったドラマ『逃げるが恥だが役に立つ』を観た。

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最初は飲みながらだったのでワーワーキャーキャー言いながら観ていたのだが、子供たちや幼なじみ夫婦が寝出してからも夢中になって結局朝5時まで観ていた。キュン死に星野源へのルサンチマンのせいで、数時間で2歳くらい老けたと思われる。

パロディの連発を含め、映像作品として多面的な魅力があり、ものすごくおもしろかったのだが、夫婦の理想や夫婦を超えていくというテーマが進むにしたがって、ちょっとトンでもない方向にいき、それに衝撃を受けたのでブログに書くことにした*1。ちなみにネタバレ有り。まぁネタバレしたところでおもしろさが半減するとも思えないが。

もう知ってる人も多いと思うが、話を要約すると、我が強い性格のせいで派遣切りにあってしまったガッキー星野源の元に家事代行としてやってくる。親の事情もあって、家がなくなってしまうことから、気難しい性格の星野源を説得するため、住み込みで働かせてもらう理由として契約という形の結婚を申し込み、星野源もそれにメリットを感じ承諾する。そんな特殊な関係でひとつ屋根のした暮らすことになったふたりだったが一緒に住んでいくうちに恋愛に発展していき……とよくある感じだ。

ここまでは(ムチャクチャだけど)まぁ、フィクションとして無い話じゃない。しかし、すごいのはここから。

星野源は優秀なプログラマーで収入もかなりあるのだが(だから家事代行も頼める)、ガッキー同様、なんとリストラにあってしまう。次の就職先を決めるも、給料が減ることがわかり、このまま契約結婚の形を維持できないことを危惧したガッキーは収入を補うために自ら働きに出ることを提案する(この時点でふたりはかなりの恋愛状態に発展していたので辞めるという選択肢はない)。今までは雇用主と従業員という関係で「仕事」として家事をしていたガッキーだったが、それを星野源と分担することになった。

ここからふたりの関係性に変化が生まれる。

今まで完璧に家事をこなしていたガッキーも忙しさにかまけて手を抜くようになってしまう。星野源は今までの仕事ぶりからすると納得がいかないので、なぜちゃんとやらないのかと聞くとガッキーはこう返す。

「今までは仕事として、お金が発生していたので、念入りに掃除もしてましたが、今はボランティアという扱いなので、そこそこの生活ができるほどであれば、ある程度のところでやめればいいかなって」

これをキッカケにガッキーはどんどん本性をあらわしていく。米を炊いておいてくれと頼んだのに、風呂掃除に夢中になって忘れてしまった星野源に対し、「なんでそんなこともできないんだ」的な態度で怒りだし、それまで工夫に工夫を重ねてきた料理もお惣菜を買ってくる程度のレベルに下がっていく。冒頭で会社をクビになってしまった性格を反省しつつも仕事のストレスのせいか、細かいところにどんどん口を出すようになっていく。

星野源としては「家事を完璧にこなして、優しいことばをつねにかけてくれたガッキー」を好きになっていたので、そのギャップにどんどん幻滅し、互いの齟齬から夫婦関係が破綻していく。逆にいえばこれが本来の普通の夫婦の姿であるはずなのに、幻想を抱いていた分、現実に打ちのめされていく……というのが後半の展開だ。

大半の人はこのドラマを「夫婦を超えたら家族になるしかない」という感じで観ていたのではないだろうか?新婚のときはよくしてくれた奥さんも、子供が生まれると変わってしまうと世間的に言われているし、育児や家事をしない旦那に愛想を尽かすなんてこともよくある話で、それも超えることが夫婦であり、超えた先には家族があると。

ただ、ぼくはそれと同時に「家事に報酬を出し、互いが満足できる恋愛関係があれば、夫婦はうまくいく」ということを暗に示唆しているドラマなのではないかとも思った。

恐らく制作サイドとしては『昼顔』のように「こんなこと現実にあるわけねぇだろ!目を覚ませ!」と冷や水ぶっかけたはずだが、その一方で「金くれればもっと家事くらいがんばるわ!」と受け取る共働きの妻も一定数いてもおかしくなく、突き詰めれば「結局世の中は金かよ」と思わなくもない。なんといっても星野源がリストラされるまでふたりの間にはそれを阻む障害は何一つなく、ある程度の齟齬があったとしても不満は“ムズキュン”と呼ばれるくらいで関係はうまくいっていたからだ。

実際、最終回の最後の最後までギクシャクしてたふたりだったのだが、なぜかハグ一発で仲直りし、その先の未来はどうなるかわからないというあいまいな感じでこのドラマは終了する。それがとても「いやーよかったよかったねぇ」という感じには受け取れなかった。少なくともぼくのような人にとってはだが。

もっといってしまえば、星野源がああいう性格だからよかったものの、これガッキーがリストラされた理由みたいに、相手が上司のような人だったら音速で家から出てけ!と言われてた可能性だってなくはないし、本来ガッキー星野源の気難しい性格に耐えられるようなキャラではないのだ(初めて付き合った男はちゃらんぽらんなエグザイル崩れだし、友人はヤンキーである)。だいたい星野源に至っては改めてちゃんとプロポーズするにあたり、またしてもリスクや金額のことを言い出し、結婚ってそういうことじゃねぇだろ!とガッキーが激怒するくだりがあるように人の気持ちも理解できないし、恋愛スキルもまったくない。というか、恋愛なんて興味ないという今時の若者と揶揄されてるようなキャラクター像である。

見終わったあとで「これ夫婦で見てたとかすごいな」と正直に思ったのだが、幼なじみとはいえ、他者の夫婦関係に首をつっこむわけにもいかず、翌日、全話観てたという独身の後輩に「どう思う?」とこの話をしたら「そんなことまったく思わず観てました」と言っていたのでまぁそんなものなのかもしれない。というか、これはぼくの一方的な意見なので、是非いろんな人の話を聞いてみたいものである。といっても、周りにはこれ観てる人ほとんどいないけど。

*1:正確にいうと最初はフェイスブックに書いていたのだが、マクガイヤーさんに「ブログで書いた方がいい」と言われてブログに改稿して載せた

nontedionontedio 2017/01/17 20:08 作品ベースの「童話」からすれば二人は「師弟関係」なので、元々一体化は想定されていないのです。
ヒロインが成長したら自然に関係解消するだけ。
構造論的内容ならブログに少し書いてみました。
「何気にモンテディオな日々」

charlestonbluecharlestonblue 2017/01/18 14:21 最後のハグは、平匡さんのパートナー宣言に惚れたわけですよ。
今まで失敗して来た「我が強い性格」が、平匡さんはそうは思っておらず、「我が強い」が論理的である彼女の主張に「気難しい」彼が価値を見出し誠実に対応してきたわけですから。

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2016-12-29

[]容疑者Xの一族の焦点/レイモンド・チャンドラー『プレイバック』 12:58 容疑者Xの一族の焦点/レイモンド・チャンドラー『プレイバック』を含むブックマーク

この年の瀬にインフルエンザにかかった。しかもA型である。

自ら望んだことではあるものの、12月22日から1月15日まで休みは元日だけというスケジュールだった。とはいえ、望まなくてもこのようなシフトになったに違いない。なぜならぼく以外の連中も同じだからである。いや、ひとりだけ違うか。まぁそんなことはどうでもいい。

ここ最近ブログに書いていたように5月以降、まともな休みがなかった。あったことはあったが、二ケタの連勤の後に一休だけだったりで、また次の日から連勤がはじまる。そんな感じだ。連休は片手で数えられるくらいであり、世間のみなさまがやれ13連休だのなんだのいってる程度の休みはなかった。仕事は嫌いではないし、職場のみんなとは家族のような関係を築いている。しかし、ここまで働かされるとなると、息がつまってつまって仕方がない。こないだも仕事中に急に意味もなく号泣して、休憩室で倒れてしまった。10連勤の途中であった。いままで生きてきてそんなことなど一度もなかった。自分でもさすがにキてるなと思った。

自分ではやれると思っていても無意識に限界が来てるというのはよくあるもので、最後のひとふんばりだというタイミングでのこれである。身体からのサインなのかもしれない。酒も際限なく飲んでいたし。

というわけで、ここ3日間。かなり有意義にすごしている。といってももちろんインフルエンザなので、部屋からは出れず、ひたすらベッドの上で本を読むかテレビを観るかしかしてないわけだが(あとツイッター)、2日目から熱も35度まで下がり(下がりすぎだろ)、ぼくのような人間にとっては幸せこの上ない日々だといえる。ハッキリいってなんの苦もない。インフルエンザバケーションと名付けたいくらいである。もしかしたら生まれながらの引きこもりなのかもしれない。

ただ、残念なのは26日に医者にいってインフルエンザと宣告されたので5日間の休みとなり、31日は出勤しなければならないということ。医者には年内は外出たらダメといわれたのだが(まぁ医者は大概そういう)、会社に電話したら「出ろ」といわれた。非情な世界である。人がいないから当然っちゃ当然なのだが、同僚たちにもうしわけないことをしたなんていう気持ちは微塵もない。むしろ休ませてほしかったくらいだ。ちなみに31日は朝の4時から21時近くまで働くことになる。病み上がりなのに。

というわけで、忙しさにかまけて読んでいたにも関わらず、なかなか感想をゆっくり書く時間がなかったレイモンド・チャンドラーの『プレイバック』について。

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村上春樹が新訳を担当しているチャンドラーの新刊は全部読んでいるが、『リトル・シスター』を読んでから是が非でも新訳化してほしかったのがこの『プレイバック』である。

「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きている資格はない」というセリフで有名だが(チャンドラーのチャの字も知らない親父だが、『野生の証明』のキャッチコピーに使われたらしく、このセリフだけは知っていたくらい)、ぼくはこの作品が昔からチャンドラーのなかでもベスト3に入るくらい好きで(ご他聞に漏れず、あとの二作は『さよなら、愛しい人』と『ロング・グッドバイ』である。『大いなる眠り』はそこまでであり、逆に『湖中の女』があとは好きだったりする)、『リトル・シスター』を読んだあとに、ここまで丁寧に訳してくれるならと、是が非でも早急に村上春樹に翻訳してほしかったが、読んでみたらやはり満足の出来。

ストーリーとしてはシンプルで、ある女性を尾行していたら、ある男に脅迫されているっぽいことがわかった。そこでなぜか急にマーロウがその女性と接触を試みるも、その脅迫している男とも遭遇してしまい……というもの。

そもそも依頼人にある女を尾行してくれって言われてるのに、いきなりその人が止まってるホテルの部屋に入るなど、行動に合点がいかないところがいくつかあるが(なんで脅迫してる男のふりして手紙を部屋に入れたのか?とか)、改めて読むと、これ犯人の動機というか、トリック的なものは『ゼロの焦点』と『犬神家の一族』と『容疑者Xの献身』を合体させて要約したような感じ。調べてみると『ゼロの焦点』と『プレイバック』はほぼ同時期に刊行されており、『犬神家の一族』は角川ブーム以前となると『プレイバック』以前で『容疑者X』は言うまでもないが、たまたま似たようなことをまったく違う国でもってそれぞれやっていたと思うと驚く。それぞれのことをいうとネタバレになるので読んでいただきたいところであるが、300ページほどの話によくもまぁこれだけ詰め込んだなという感じだ。分かりにくいっちゃ分かりにくい話でもある。

ちなみにこの本の帯にも書いてある通り(それを宣伝に使うというものどうかと思うが)、その有名なセリフについてはあくまで前後のやりとりのなかに埋もれさせ「飛ばねぇ豚はただの豚だ」的なパンチラインにしなかったのが逆におもしろかった。このセリフをありがたがってるのは日本人だけであるということに起因したのかもしれない。

もちろんエスメラルダという街の描写はこれまで以上にイキイキしており、そこに住んでいるかのような錯覚さえおこす。各キャラクターも魅力的で会話はウィットに富んでおり、純文学としても読める。なぞの人物とのやりとりはまるで禅問答のような感じで『インヒアレント・ヴァイス』や『ビッグ・リボウスキ』もこの作品からの影響はあるのではないかと思う。何よりもうれしいのは、リマスター盤が出ることによってビートルズやツェッペリンが「新作」として聴けるように、新訳によってチャンドラーを「新作」としてリアルタイムで読めることだ。これ以上の喜びはないだろう。自信をもっておすすめしたい所存である。

2016-12-20

[]AKBよりもタチが悪い選挙の裏側/黒川博行『喧嘩(すてごろ)』 20:27 AKBよりもタチが悪い選挙の裏側/黒川博行『喧嘩(すてごろ)』を含むブックマーク

黒川博行の『喧嘩(すてごろ)』を読んだ。

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ハードカバーを新刊で発売日近くに買ったのはチャンドラーの『大いなる眠り』以来のことである。つってもそれ昔の小説じゃん……その前となるとアプトン・シンクレアの『石油』か?それも昔の小説……

直木賞を受賞した『破門』を今年の三月に親父にすすめられて読み、その一冊で黒川博行の世界にハマってしまい、そこからさかのぼって『疫病神』『国境』『暗礁』『螻蛄(けら)』『後妻業』『迅雷』『悪果』を一気に読んだ。ハードカバーの新刊を手に取って買ってしまうという行為がチャンドラーの新訳以外、ぼくの生活のなかにないことなので*1、現時点で一番好きな作家といえるかもしれない。

『喧嘩(すてごろ)』はスカパーでのドラマ化も記憶に新しい『疫病神』シリーズの最新作。シノギでメシを食ってるカタギの二宮と自称イケイケヤクザ桑原のコンビが金と落とし前のために軽妙なやりとりを繰り広げながら社会の暗部に迫っていく物語である。ハードボイルドノワール松本清張のような社会派ミステリー要素が加わるのが大きな特徴で、徹底した取材でもってノンフィクション顔負けの重厚さを持ちながらポップに仕上がっており、高い可読性もあいまって、この手のジャンルをあまり好まない宮部みゆきも絶賛するほどの作品である。

今作は『FFX-2』みたいなもので、どちらかというと前作にあたる『破門』の直接的な続編という立ち位置。暴排条例によってシノギで稼ぎにくくなった二宮と組を破門され後ろ盾のなくなった桑原のその後の物語が展開され、コミカルかつ丁々発止なやりとりは本作でも冴え渡り、読んでて噴飯すること必至。これまで産業廃棄物処理場の利権問題、北朝鮮問題、東京佐川急便事件、宗教法人とカネ、映画製作詐欺を取り扱ってきたが、今回は選挙戦の暗部に切り込んでいく。

正直、読み終わってすぐの感想はそんなに良いものではなく、わりとあっさりしてるなぁという感じ。人間関係はかなり複雑であるが、アクションは少なめだし、バイオレンスもあまりないし、おもしろいけど、ちょっと物足りないという風にも思ったのだが、そんなモヤモヤしてるなか本人のインタビューをあるサイトで読んで驚いた。


『議員も議員秘書もヤクザに似てる。これは小説になるな、と。』直木賞作家・黒川博行インタビュー - otoCoto


これ……実話かよ……


前作はエンターテイメントに振り切っていたぶん、社会派の部分が切り捨てられており、そのことで油断していた。先ほども書いた通り、このシリーズは社会派ハードボイルドだったのだ。

それこそ東京佐川急便事件は過去の犯罪だし、産業廃棄物とか北朝鮮とか不謹慎ながら対岸の火事的に見てた部分もあった。小説のなかで「議員ヤクザよりもタチが悪い。議員議員秘書は人間のクズだ。クズのくせに税金を納めている市民を下に見て、偉そうにものをいう。しかし腹も立たない。クズをのさばらせてるのは票を入れる我々だ」みたいな文章があったが、どこか絵空事というかフィクションのことだと思っていた。違う。これは本当のことだったのだ……

そう思うと、この作品はいままでのシリーズのなかでもいちばんリアルな感触をもっていることがわかる。確かにエンターテインメントではあるが、一番やりすぎてないだけにノンフィクションにも近い。しかもスケールが小さくなったぶん怖い。さらに選挙となると我々にも密接に関わってくる問題である。一票の相場が二万円て……一人一票のはずなのに金にモノをいわせてあれで選挙といえるのかとAKBは叩かれていたが、実際もほとんどそうだった……

そんなわけでこの『喧嘩(すてごろ)』。これから読もうと思ってる人も、読んだ人もそういうことを念頭に置いておくといいかもしれない。まずは『破門』を読まないとはじまらないが、その『破門』も死ぬほどおもしろいのでおすすめ。文庫版がこないだ出たので一緒に買ってしまうのもいいかもしれない。ハードカバーの新刊を買わないぼくが言うのもなんですが。

喧嘩

喧嘩

*1:といいつつ『高い窓』の旧訳は途中で挫折してたので、新訳は新刊では買わず図書館で借りて読んだ

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2016-12-16

[]そして歴史は繰り返される/ジェイムズ・エルロイ『背信の都』 11:23 そして歴史は繰り返される/ジェイムズ・エルロイ『背信の都』を含むブックマーク

ジェイムズ・エルロイの『背信の都』が県立図書館にあったので、借りてきて読んだ。ありがとう図書館

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10連勤などもあり、読み終わるのに二週間かかったが、もっとじっくり読むことも出来たので、ヘタしたら一ヶ月以上はかかっていたかもしれない。戦争を知らない子供たちなので、上巻は「第五列」や「灯火管制」、「リトル・トーキョー」の歴史などを調べながら読み(つってもウィキペディアだけど)、10日もかかった。逆に下巻は事件の解決部分だけだったので4日でなんとか読んだが、再読するときは下巻の後半部分を重点的に時間をかけて読もうと思った。文庫版出たら買う……かもしれない。多分。

41年12月6日LA。日系人一家四人が「ハラキリ」で死んでいるのが見つかり、心中かと思われたが優秀な日系二世の鑑識官、ヒデオ・アシダの懸命な捜査により殺人と断定。ところがその翌日に真珠湾攻撃が起きてしまう……というのが主なあらすじ。

ジェイムズ・エルロイといえば映画化された『L.A.コンフィデンシャル』や『ブラック・ダリア』が有名だが、その原作にあたる「L.A.四部作」といわれてるシリーズのプリクエルという位置づけが本作である。なので、その四部作に出てくるキャラクターたちが若返って総出演。エルロイ作品における「アベンジャーズ」感もあり、そのなかで主人公に抜擢されたのが、先ほどあらすじで紹介した日系二世のヒデオ・アシダ。中国人(チンク)に間違えられるのを嫌い、自らを「アメリカ人だ!」と主張するも、性格や所作などは完全に日本人の「それ」として描かれてる。馳星周はちょっとおかしい日本人の描き方だと書いていたが、ぼくは逆に好感を持った。彼のエピソード/視点だけで描いてほしかったくらいである。

エルロイの持ち味である「/」や「—」、「=」を使った「クランチ文体」と呼ばれる文章や、頭韻を合わせるといった荒技は封印し、センテンスもやや長めで、どちらかというと『ブラック・ダリア』以前の感じに戻っていて、ある意味での原点回帰だといえるだろう。

さて、この作品。読書メーターで「それにしても何故今、1941年の物語を書いたのでしょうか?」という感想を見かけたが、これは41年のLAを舞台にした今も変わらぬアメリカの姿である。それを自身のライフワーク……代表作に重ね合わせたのだと思っている。

『獣どもの街』に収録された「ジャングルタウンのジハード」とあらすじは一緒で、基本的には9.11のテロと変わらず「有色人種にやられたのでやりかえせ!」という機運の高まるアメリカの姿が描かれる。見下していたであろう国から不意打ちとはいえ攻撃されたことが、相当に屈辱だったことは想像に難くなく、結局勝敗がほぼほぼついていたにもかかわらず日本には原爆が落されたが、その何十年後、本土を攻撃された仕返しと言わんばかりに、なぜか大量破壊兵器がなかったイラクが攻め込まれた(これは本作で描かれているジャップもチンクも同じであるという価値観にも似ている)。そしてメキシコ国境での不法移民問題やトランプ出馬で噴出した差別が現在で起きているが、それらを内包/予言したような作品になっている。

ついこないだもオスプレイが墜落し、沖縄が抗議したが、「街に落ちずに海に落ちたんだからグダグダいうな」という態度で、基本的にアメリカは他の国の人種をどこか見下し差別している節があるように思える。それは日本ヘイトスピーチがおきてるのと変わらないと思うのだけれど、エルロイはそういう歴史を改めてちゃんとやりたかったのではないかと。もちろんあらわれる真犯人によってそれらはひっくり返されるというか、強烈な皮肉として描かれていくんだけど……それは読んでからのお楽しみ。というか、悪いヤツはいいこともするし、良いヤツも悪事に手を染めるという、いつもとかわらないエルロイの世界観がそこにある。

人物多くて全員把握できてないし、細かい部分はわからないし、歴史もなんとなくしか知らないし、もっといえばエルロイマニアは日本にもたくさんいるので、あまり詳しい解説はできない……というか的外れだと思うが、単純に巨匠20年振りの警察小説は現代の歴史の教科書レベルともいえる重厚な一作となった。

もちろんそれは背景にすぎず、エルロイ御大ならではの「オレが大好きな40年代LA」の描写も冴え渡っており、腐敗した警察もちゃんと隅々まで出てきて、様々な読み解きができる。好き者にはおすすめしたい。

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2016-12-09

[]“ハイテンション”に“愛、かましたい” 10:11 “ハイテンション”に“愛、かましたい”を含むブックマーク

お久しぶりです。安田美沙子です。

5月から連勤続きと前に書いたが、12月に入ってもそれは変わらず、人材不足ということもあって、忙しくもないのに忙しいという謎の現象が続いている。万城目学の『プリンセス・トヨトミ』に、究極に人がいない中、仕事を辞める部下に対して「今お前がやめたら会社が回らなくなる」と説得する上司のくだりがでてきたが、まさにああいう感じ。

先週は10連勤もあって、一週間の労働時間が60時間を超えた。調べたら60時間は仕事中毒ということらしい。いや、仕事中毒というか、そもそも休みがほしいのだけれど……とはいえ、60時間なんてモンハンやったら一瞬で消え去る時の流れである。

これまで無趣味の人を下に見てきたが、今となっては何もしないことが趣味というのがうらやましくもある。全力で謝りたい。とにかくやることが多くて逆にストレスが溜まるのだ。黒川博行の新刊も出たし、エルロイの『背信の都』は読み終わる気配がないし、『ピクミン3』も途中だし、テレビ見れてないし、映画なんていくヒマないし、たまの休みになると動きたくないし、酒飲みたいし、タイヤかえなきゃだし、こんな歳だし、親も年だし、あなたしかいないし……

そんな合間をぬってAKBの新曲『ハイテンション』とNegiccoの新曲『愛、かましたいの』を聴いたのだが、これが両方とも良かった。いや、かなり良かった。

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AKBのシングルに関しては個人的に『Green Flash』からパッとしないものも多く、ライブで栄える『ハロウィン・ナイト』に王道アイドルソング『君はメロディー』以外は正直どうでもいいものばかりで、逆にHKTと我らがNGTのほうが楽曲は充実してるように思えた。特に『最高かよ』に至っては、MIXを楽曲に盛り込んだという部分で話題になったが実はサビの構成自体は『ヘビーローテーション』からの換骨奪胎だったりして、もう一度全盛期AKBをやり直そうという気概すら感じた。

ところが島崎遙香卒業というアナウンスに合わせてリリースされた『ハイテンション』はそれまでメロもフワッとして、アレンジもピンとこなかったここ最近のAKBシングルのなかではダントツによい。

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タイトル通り“ハイテンション”な楽曲で、モーニング娘。の『LOVEマシーン』と『恋愛レボリューション21』を足して二で割ったようなそんな印象を受ける。youtubeではマルーン5の『Moves Likes Jagger』みたいだという比較動画もあったが、それもなんとなく頷ける。『恋するフォーチュンクッキー』で培ったディスコ感を90年代まで押し上げたといってもいいかもしれない。とにかくぼくの世代にとってはドンピシャな曲だったのである。思わずCDも買ってしまった。中古で50円だけど。

そして改めてMVテレビのパフォーマンスなどを見るとぱるるはホントにセンターにいるべき存在だなと、その思いを強くした。NGTの高倉萌香もそうだが、やっぱりどこか前田敦子感が彼女にはある。絶妙な不安定さというか、ポンコツさというか。ここにきて卒業はホントに惜しい。

Negiccoの『愛、かましたいの』は西寺郷太が確立させた2013年以降の路線を押し進めたような感じで、温故知新もしっかり決まった楽しい楽曲

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まだ二回しか聴いてないのだが、最初の印象でいうと、フレンチサイケが混ざりあったポップなジャッカスといった具合。沢田研二の『危険なふたり』的イントロもあって後期グループサウンズという評価もできるかも。あとドアーズの『ハートに火をつけて』あたりも入り込んでる。

MVもなぜかショウブラ風でわざわざ香港ズームも出てくる。そういった意味でも全体的なコンセプトはオリエンタルな60年代カルチャーなのかもしれない(もしくは70年代前半)。

ぶっちゃけ前作の『矛盾、はじめました』はそこまでビビっと来ず、ああ、Negiccoもついにアーバンな方向にいってしまうのかと危惧したが、今回は何から何までサブカル心をくすぐる出来で大満足。気が早いが、ますますアルバムがまたしても楽しみになってしまうのであった。

愛、かましたいの(初回限定盤A)(2CD)

愛、かましたいの(初回限定盤A)(2CD)

いま『ハイテンション』の歌詞見てたんだけど、二番の「ワーカホリックは流行らない スイッチ切らなきゃ壊れちゃうよ マジメにやってもストレス溜まるだけ」ってオレのことじゃねぇか!!偶然にもほどがある!!