くりごはんが嫌い このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2016-06-27

[]人におすすめされなければ絶対に観てない『超高速!参勤交代10:08 人におすすめされなければ絶対に観てない『超高速!参勤交代』を含むブックマーク

超高速!参勤交代』をレンタルDVDで鑑賞。

職場の上司と「自分では絶対にレンタルしないけど、人におすすめされて観て、それでいておもしろかったといえる映画を貸す」という遊びをしていて、その人は基本的に映画を観るという行為をあまりする人ではなかったし、さらに好きな映画は『ワイルド・スピード』シリーズだったので、真逆の『用心棒』を貸した(ホントは『トルク』を貸したかったんだけど、人に貸してたので貸せなかった)。モノクロ映画も色がついてないから嫌いという人であったが、ちゃんと仕事終わりで寝ずに観て、おもしろかったと言ってすぐにDVDが返ってきた。「いやー、絶対に観ないと思ってましたよ、時代劇だしー」と聞いたら「時代劇好きだよ。『超高速!参勤交代』とか、ちょーおもしろかったし、二回も観たし」と返されてそこではじめてその映画の存在を知った。

調べたらヒットしているようで、なんと今年に続編が公開されるというではないか。なぜ知らなかったのだろうと思ったら、公開されたときは『アナと雪の女王』フィーバーで、そっちに目がいっていたようである。

とはいえ、基本的に『超高速!参勤交代』という、映画館に足を運ぶことはおろか、死んでもレンタル店で手に取ることのない、ダサいタイトルだ。知っていたとしても観ることはおそらくないだろう。しかも監督は中の下くらいの映画「しか」撮っていない人で、まぁこの人の新作が公開されたからといって率先して観にいく映画ファンなど、この日本に存在するのだろうかという感じ。言われてからレンタル店でパッケージを観ても全然ピンとこなかったし、二週間くらいスルーしていたのだが、「絶対観た方がいいよ!むしろ観て!マジでおもしろいから!」と執拗に連日言われたので、軽い接待のつもりで観た。そうしたら驚いた。

これがものすごくおもしろかったのである。

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結構ややこしく込み入ってるあらすじだが、要約すると、ある老中の陰謀により、8日かかる参勤交代を5日で完遂しなければならなくなった小藩の話。

浅田次郎も『一路』という小説を書いているが、プロットはそれとほぼ一緒。古くからは『オデッセウス』という物語もあるが、ある場所からある場所へ移動するさい、次から次に無理難題や難関が押し寄せ、その度に少人数の隊が知恵を絞って突破していくという骨格があり、明らかに『隠し砦の三悪人』を下敷きにしている(しかもその少人数の隊は7人で菊千代という名前の猿がいるという『七人の侍オマージュもあり)。

丁寧な前フリとロケハンが見事なウエルメイドな映像。全体的に地味ながら分かってるキャスティング。参勤交代という映画にして持つのかわからないテーマでありながら、コメディ、ラブストーリー、アクション、泣き、裏切りとエンターテインメントの随を集めたような展開でもって、一秒たりとも飽きさせない。

しかも福島が舞台ということで、参勤交代ができないともしかしたら住むところがなくなってしまうかもしれないというくだりや「福島の土をこれからも大事にしろ」というメッセージなど、全体的に3.11のことが根底にあり、飢饉のときに米を送るなど、わりと顕著にそういったシーンも出てくる。

基本的に殿様が馬に乗らずに走るとか、籠に乗らないとかありえない部分もあるが(しかし、籠に乗らないという部分は閉所恐怖症という見事な設定で突破)、ここまでのことをされたら細かい部分に文句をいう気もない。親父にも見せたら「ここ最近観た映画で一番おもしろかった」と言っていたし、一日一本映画を観るわりに、つまらなかったらすぐ寝るおかんも寝ないで最後まで楽しんで観ていたので、まぁそういう映画だと思っていただければ間違いない。普通におすすめ。続編も観たい。

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2016-06-22

[]山崎貴の気になる監督とは……『寄生獣 完結編』 15:44 山崎貴の気になる監督とは……『寄生獣 完結編』を含むブックマーク

寄生獣 完結編』をレンタルDVDで鑑賞。

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DEATH NOTE』にはじまり、近年、漫画原作の映画は前・後編で二部作になることが多いが、そのなかでもわりと失速せずに前編のいきおいのまま、突っ走ってる部類で、むりやりふたつに分けてる感じがなく、もっといえば二本合わせて4時間弱なのにムダがない。おもしろさがドンドン加速していき、そこそこスケールも大きくなり、残虐な描写もパワーアップしていく。といっても『るろうに剣心』とか観てないんだけども。

特に前作以上に冴えているのが脚本家古沢良太の悪意である。

リーガル・ハイ』あたりからにじみ出てきた古沢良太の人間に対する不信感と憎悪が「寄生獣」というフィルターを通して爆発しており、今作ではそれを人間以外の生命体から語らせるという荒技に出た。かなりオブラートに包んでいるものの、要約したら「人間とはどうしようもなく愚かで、一人残らず死んでもよいクズのようなもの」ということを真っ正面から訴えており、ある意味で危険な凶悪作ともいえる。山崎貴もそれに引っ張られる形となり、PG-12という縛りの中でやれることはやったのではないかと。

アクションシーンはお見事で、クライマックスはハラハラしっぱなし。橋本愛の濡れ場もかなりリアルでなまなましく、別にヌードじゃなくとも艶っぽさは出そうと思えば出せるということで、演出の重要さに改めて気づかされる。

原作がそうであったようだが、『スピード』みたいな二段構えのクライマックス(古くは『駅馬車』からだが)は蛇足だと思った。放射能の扱いに関しては批判も多いだろうし、いらない気もしたが、まぁ『探偵はBARにいる2』でもやってたので、やりたかったことなのだろう。

そういえば、山崎貴が「加藤浩次の本気対談!コージ魂!!」にゲストとして呼ばれた際「気になる監督はいるか?」という質問に対し、即答で名前を挙げたのが樋口真嗣だった。同じVFXあがりでカテゴリーとしては一緒と語り、「樋口さんが攻撃されてるとおいふざけんなよと思うわけですよ。樋口さんにしか撮れない映画撮ってんだよって。樋口さんの映画が当たるとすごい嬉しいし、当たりすぎるとムカつくし、複雑な感覚ですよね」と言っていた。

すごくわかりやすいというか、正直な人だなと思ったのだが、そんなふたりが奇しくも同時期に同じ人気漫画原作でしかも前後編の二部作という、似たような作品で真っ向勝負することになったというのはおもしろい。売り上げこそ若干低かったものの、作品のおもしろさだけでいえばぼくは『寄生獣』に軍配があがるなと思った。山崎貴はどのような気持ちで『進撃の巨人』を観たのだろうか。是非とも感想が聞いてみたいものである。

と、あまり書くこともないので、こういうことでお茶を濁してみた。

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2016-06-20

[]山崎貴、12年振りの傑作『寄生獣11:21 山崎貴、12年振りの傑作『寄生獣』を含むブックマーク

寄生獣』鑑賞。かなり前にテレビで放送されたバージョン。

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言わずもがなの超人気漫画の映像化。山崎貴自身原作の大ファンで映像化されるされないの前から自身が所属する特撮会社で勝手にデモ映像を作っており、もし監督できなくてもなんらかの形で関わりたいと思ってたくらい念願だった企画。

原作を読んでるときの印象でいえば、大友克洋の『童夢』よろしく、普通の生活に入り込んでくる奇妙さといったものが根底にあり、そこにバイオレンスとグロ描写を青年誌用にアップデートして乗っけたバトル漫画という印象だったのだが、それがハッキリ映画としてのフォーマットに乗ると、あ、これ“ボディ・スナッチャー”だったんだなと気づかされたし、何よりも『ゼイリブ』感があるなと思った。この手のSFって日本で作っても違和感ないんだということを映画によって認識させられたといってもいいかもしれない。

特に今作では人物描写というか、キャラクターの関係性や立ち位置、セリフの組み立て方、演技指導とそれに応える役者の演技が良い。原作から抜け出してきたような時代錯誤感ある髪型の橋本愛はさておき、あからさまにライミ版『スパイダーマン』の演技メソッドを貼り付けられてしまった童貞臭い染谷将太。顔も体型も良いのに演技が致命的にヘタクソ(しかも一向にうまくならない)という部分を最大限に利用された東出昌大。実は冷徹な暗い容姿だということにやっと気づいて掘り起こされた深津絵里。笑顔が薄気味悪いピエール瀧。毎度同じ役での安定感、國村準などなど、各々が「海背川腹*1」的に調理されてる感じがよく出ている。

そしてミギーというキャラクターが完全に古沢良太と同化しており、いかにも『リーガル・ハイ』あたりに出てきそうな欺瞞に対する怒り、アンビバレントな思想に対する容赦のないツッコミが連発され、彼であることがいかんなく発揮されている(なぜこれが『エイプリル・フールズ』で出来なかったのが謎だ)のも特筆すべき点であろう。

あとおもしろいと思った点は観ていてノイズになったというか「あれ?これってこうなったらマズくない?なんでほったらかしとくの?もしかしてミス?」となんとなく観ている最中から頭のかたすみにあるボンヤリした謎をキッチリ自然に回収してくれるという点である。

例えば、主人公の染谷はあきらかに童貞でいきなり右手に奇怪な生物がくっついてしまうも、早々にわりとそれの状況を楽しんでる節があり、そこまで余裕があったらオナニーはどうするのか?という疑問も沸いてくるが、ちゃんとそういうところをツッコんでいるし、寄生生物を殺しておきながら凶器は指紋を残したまま現場に捨てたりして、そんなことしたら警察にマークされちゃうよ?と思うと、しっかり警察が指紋が残っていることを分かっているなど、気持ちよくQに対するAがなされている。これが意外とできてない映画も多いのだ(というかオナニーのくだりは原作にあるっぽいのだが、だいぶ前に読んだっきりで完全に忘れているし、山崎貴はそこをばっさりとカットしても平気だよーんとか思ってるクソバカ野郎なのでむしろ関心した)。

もちろん、血しぶきや切株&人体破壊描写はもっとやってくれよとも思うし、ちょっとクサいかなと思うような演技も散見されるし、そもそもミギーの回想という構成も最初よくわからなかったしで、気になるところもあるにはあるが、あの『ALWAYS 三丁目の夕日』で酒を飲んだ医者が帰りにスクーターを押して歩いて帰るという品行方正なトンデモ演出をし、さらには『BALLAD 名もなき恋のうた*2』で「金打」を削るという到底許しがたい改悪をした山崎貴映画とは思えないほどはっちゃけてる。

そういう下がり切ったハードルがあったからともいえるが、まぁ上から目線で『リターナー』以来、12年振りの傑作といわせていただく。おもしろかったよ、山崎監督。

*1:海の魚は背中…皮から、川の魚は腹…身から焼けという意味。ちなみに逆のいい方もあり、その辺は曖昧

*2:タイトルも忘れたので「戦国大合戦 リメイク」で検索しちゃったい

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2016-06-17

[]演劇のえじき『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド18:29 演劇のえじき『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』を含むブックマーク

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』をレンタルDVDで鑑賞。いわゆる後編。いいかげんほとんどの人が観てると思うのでネタバレします。

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「うそだろ?」と言われるかもしれないがマジでおもしろかった。しかも観た人全員が怒り狂ったであろう、前半の50分が特に。理由は至極単純。演劇調で『死霊のえじき』をしていたからである。

死霊のえじき』はゾンビ映画の始祖、ジョージ・A・ロメロゾンビ三部作のフィナーレをかざる作品だ。もうすでにゾンビに覆いつくされてしまった世界のなか、地下の軍事基地にこもって生き延びた集団にスポットがあたる。特に『死霊のえじき』はゾンビを相手に暴れまくるというサバイバルアクションは少なめで、人間同士の争いがほぼ全編にわたって繰り広げられるというのが特徴。ゾンビ科学的に研究しはじめたりして、説明的なものが入り、全体的には地味。「ロメロのゾンビ三部作のなかで一番好きなのどれ?」というのは映画ファンなら誰もがしたことある会話だと思うが、意外と『死霊のえじき』を選ぶ人は少なく、毎回アレがベストだというと、もれなくブーイングを喰らう。

話が少しだけそれたが、この『進撃』の後編。重要なファクターであるはずの“巨人”は背景のひとつにすぎず、じゃあ戦わずに何をやってるのかといえば、巨人化したエレンをどうすべきかという問題を、軍の司令部と前線部隊と元・科学者が、やいのやいの言い合いしているだけである。その最中、司令官の勝手な判断である人が撃たれ、一気に緊張が高まった瞬間……!ウルトラゴア描写が画面を覆いつくすと、概要だけ書けばまさに『死霊のえじき』を30分に圧縮したものになっている(巨人に知性がどうのこうのというくだりは“バブ”も連想させる)。

しかも、それを大凡金のかかっている映画とは思えないセットで、ある劇団の演劇のように演出しているから驚きだ。それはまるで『死霊のえじき』を舞台でやったらこうなるといわんばかりだ。

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こんな感じで30分延々と

さらにそこから20分、その演劇は『マトリックス』や『ストーカー』のような禅問答になり、やがてそれぞれのキャラクターによる大演説がそこかしこから聞こえてくるというスケールのデカいものになっていくのだが、このみんながつまらないと思ってる部分をおもしろいと感じた段階で、そのままアクションシーンになだれ込むため、少なくてもぼくはまったく退屈しなかった。前編のドラマのつまらなさは、巨人が暴れ回るシーン以外いらないという映画のキャラクターにいろいろ付け加えたからであり、今回の後編のように「これからどうしていくのか?」とストーリーの根幹に関わる部分であれば、否が応でも引き込まれてしまうし、伏線が回収されていくことに快感をおぼえるぼくのような単細胞はそれだけでも「え?それでそれで!?」とそのまま物語への興味が続いていくことになる。押井守を猿真似した宇多田の元旦那の映画みたく、突っ立ってベラベラ喋ってるだけなら早送りもしたくなるが、ムダにカメラがグリングリン動きまわることで視覚的にも飽きさせない。

おそらくぼくはこういう大げさな演劇めいた、学芸会っぽい感じの役者への演技指導が好きなのかもしれない。それに気づかされてしまった。そこを受け入れられるかが評価の別れ目なんだと思う。もちろんクライマックスは最高だったし、87分しかないのもいいし(だったら、二本くっつけて余計な部分カットして二時間で公開しろとも思うが)「もはや『進撃』全然かんけーねー」なエンドクレジットあとのオチも気に入った。悪しき邦画の一本かもしれないが、ぼくはそのなかでも幾分まともだと思いました(だからといって他に観てないけど、ホットロードとか)。おすすめはしないけど好きです。

死霊のえじき [Blu-ray]

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2016-06-16

[]越えろ!『パシリム』の壁を!『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』 07:30 越えろ!『パシリム』の壁を!『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』を含むブックマーク

遅ればせながら『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』をレンタルDVDで鑑賞。いわゆる前編の方。

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いきなり言うがおもしろかった。

原作は三巻まで読んで飽きてしまったので、すっとんきょうなこと言うかもしれないが、まず、100年前にかつて巨人に襲われた村が、もう一度来るかもしれない巨人に備えて訓練をし続け、襲われても大丈夫なように壁で囲ってるという設定が、いつかくるいつかくると言われ続けている未曾有の災害(南海トラフ巨大地震的な)に対してのメタファーになってて興味深い。しかもその相手と戦争しかけなければならないというのもいわゆる「集団的自衛権」の問題とかぶり、軍艦島でロケしたり、あえて日本人っぽい名前のキャラクターを出すなど、今現在、日本が置かれてる状況を下敷きにしたのは大正解だし、さすがだなと思った。

そして暴れ回る巨人こそが主人公という潔い脚本が良い。

恐らく、今作に最も影響を与えたのは良い意味でも悪い意味でも『パシフィック・リム(以下、パシリム)』だと思う。

あの映画を思い返してみると「努力、友情、勝利」の「努力」が完全に抜け落ちており(友情もないかな)、世界観の説明は冒頭、数分のダイジェストですませ、登場人物はコマでしかなく、巨大ロボットと巨大な怪獣が戦うだけというモノであった。主人公はロボと怪獣だと言わんばかりである。

何よりも壁で街を囲うも意味がなく、じゃあ巨大な怪獣に立ち向かえるだけのロボットを作って、ステゴロでぶちのめそう!という設定が今作の後半部分とかぶる。もちろんそれは原作にあったことなのだけれど、ドラマ部分を削ぎ落とし、ストーリーを圧縮した結果、それが目立つ形になり、最終的にこの映画から響いてくるのは「『パシリム』を日本でやったろうじゃないか」という満ち満ちた気概である。実際、戦士たちがメシを喰ってる最中にイヤミを言いあって殴り合いのケンカに発展するなど、似たようなことをしているシーンもある。

そもそも監督は平成ガメラシリーズの樋口真嗣であり、脚本はボンクラ映画雑誌「映画秘宝」創刊者、町山智浩である。怪獣映画に造詣が深いこのふたりが関わってる時点で、リヴァイが活躍するだとか、超絶に強いエレンのドラマなんか観たいだろうか?少なくてもぼくは観たくはない。それが観たいならアニメを観るし、もっといえばマンガを読む。ぼくが観たいのは巨人が暴れ回り、人間が虫けらのように死ぬ一大カタストロフィであり、阿鼻叫喚の地獄巡りなのである。それをしっかりやってのけてくれたのは感動を覚えたし、涙も出そうになった。しかも主人公が明らかに童貞であるという感じもオタク臭がして共感を覚える。

じゃあ、これが日本からの『パシリム』の解答になったか?と言われればぼくはNOと答える。

理由は多くの人と同じように、ドラマ部分がいささか退屈だったからである。

かなり削ぎ落しているものの、そもそも立体機動装置を付けてビュンビュン飛んでくれればいいだけのキャラクターであり、画的にそれが観れれば、この人たちのバックグラウンドなどマジでどうでもよく、ただでさえ興味ない人たちの興味ないやりとりが延々続くのは苦痛でしかなかった。例えるなら試合シーンのかっこよさだけで見せ切った『スラムダンク』のキャラクターたちに「家族がどうした」とか「彼はこういう生まれだった」というドラマパートがあったらおもしろかったか?ということである。

もしかしたら時間を計れば上映時間の三分の一くらいなのかもしれないが、そこをおもしろく見せられなかったのは監督の力量のなさだといえるし、失敗だといえる。

とまぁ、巨人が暴れ回るだけの映画なのに大きなマイナス点があるという妙なバランスだが、それでもみんながブーブー言うほどの駄作ではないと思う。テンションが高すぎてすべり散らしてる石原さとみも、戦闘のまっただ中に上から目線でビルの屋上に立ってワーワー言ってるだけの長谷川博己も、背負い投げで巨人を倒してしまう松尾諭も問題なかったし、蜷川幸雄シェイクスピア劇か!というオーバーアクトもあの画には合ってるような気もした。たかみなにも驚かされたし*1

ただ、主人公のエレンが未亡人に誘われておっぱい触るんだけど、おっぱい触ってることに集中しすぎて、目の前に近づいてる巨人に気づかないという演出はどうかと思った。いや、童貞だし、エロサイトはおろか、エロ本もない世界でおっぱいでしょ。わからんでもないが、逆にどれだけ見事なおっぱいだったんだと気になってしまったじゃないか。


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